進む自動化人手不足でニーズ拡大 重要性高まる 配線接続機器

通信、自動車、産業機械中心に伸長

配線接続機器に注目が集まっている。5GやIoTなどに代表される情報通信市場、自動車の自動運転で注目されるCASE関連市場、無人化・自動化が進む製造業などを中心に需要が大きく拡大しているからだ。加えて、コロナ禍と中国や米国を中心に急速な景気回復で需要が拡大した結果、品不足と素材価格の高騰が加わり、未曽有ともいえる状況が生じている。端子台、コネクタに代表される配線接続機器は、機器・装置の配線をつないで電気や信号をなど伝える重要な役割を果たしており、用途も微少電流から高容量電流まで幅広い。昨今の人手不足や新型コロナ感染症などもあり、作業性の向上、省人化対応など多様なニーズが求められている。つなぐ技術と省力化の2つの大きな流れの中で、配線接続機器の重要性はますます高まりそうだ。

2020年、21年の2年間にわたって続く新型コロナ感染症は、依然終息の先行きが見えない。しかし、その影響は20年と21年では大きく異なっている。20年は感染拡大に伴う経済活動があらゆる面で制約されたことで、生産、消費とも大きく落ち込み、大きなマイナスの影響を受けた。これに対し、21年はコロナの感染者数は依然多いものの、対応策も進み、飲食や交通、旅行など第3次産業で影響が残っているものの、第2次産業を中心に大きく回復を見せている。米中の貿易摩擦の影響を最小限に抑えられていることもあり、欧米、中国など海外市場の需要が急速に回復して、市場をけん引している。こうした急速な需要回復の結果、納期遅延や原材料の高騰、物流網の混乱などが大きな問題になっている。半導体の不足が大きな話題になっているが、配線接続機器の材料となる樹脂、金属、銅なども不足気味で、価格も上昇している。材料不足で生産が追いつかない結果、受注だけが膨らみ続けており、依然解消の目途が立っていない。機械・装置を裏から支える部品だけに、その影響は大きい。

いろいろな要素が複雑に絡んだ納期問題であるが、その背景のひとつに急速な情報化の進展があげられる。現在大きな品不足に陥っている半導体は、自動車向けの急速な電子制御需要があげられている。CASEという言葉で代表される自動車の新しい領域への展開は半導体無しでは進めることができない取り組みとなっている。半導体の需要は自動車に加え、5GやIoTなどに代表される情報通信機器の急速な普及も大きな要因。皮肉にもコロナ禍でテレワークやウェビナーなどの活用が定着したことで、パソコンや携帯電話などの普及が加速し、学校のGIGAスクール投資、巣ごもりによるゲーム市場の拡大なども顕著だ。これを支えるコンピュータサーバー需要増やデータセンター開設なども半導体需要を大きくけん引した。

コロナ禍は工場の生産方法にも大きな影響を与えており、できるだけ人の介在しないような生産方法を思考し始めている。遠隔監視や遠隔制御などが代表的な取り組みだ。加えて、コロナ禍で外国人労働者の確保が難しくなり、これまでも人手不足気味であった製造業や建設、サービス、さらには農業でも一層の自動化投資や省人化投資を行わざるを得ない状況になっている。自動化投資ではロボットの活用が代表的であるが、省人化や遠隔監視など少ない人数で作業性を向上させようというニーズも高くなっている。配線接続器機器では、省配線化や省工数につながる製品への関心が集まっている。

配線接続機器のうち、端子台は小型・省スペース化に加え、配線工数の削減とDC(直流)の高耐圧化などを目指した開発が著しい。端子台の配線作業の省力化ニーズは人手不足も加わりますます高まっている。従来は、微少電流の電子機器用途での採用が多かったが、最近は電力の送配電、ビル制御などの高電流用途でも採用する動きが強まっている。

スプリング式の採用増える

端子台に配線接続方法は、日本で主流になっているねじ式、欧米で主流になっている圧着端子を使用しないスプリング式(ねじレス式)という大きく2つの方式がある。まだねじ式の採用が多いものの、人手不足から配線接続作業の省力化対策として、スプリング式の採用が増えている。

日本ではねじを使った丸型圧着端子台(丸端)が長年使用され、定着している。特に高圧・大電流用途や振動の多い用途ではねじ式の使用が多い。接続信頼性が高いというのが大きな理由だ。スプリング式はケーブルを挿し込むだけで配線作業が完了し、ネジ締め作業や締める加減も不要など、省力化効果は大きい。まだ配線作業が不慣れな初心者であっても簡単に作業ができることから、熟練作業者でなくても配線技術習得に時間がかからず、懸念されていた振動での配線の緩みや経年での信頼性に対する心配も使用実績を重ねることで払拭され、採用加速への追い風になっている。

スプリング式もメーカーによって接続方法には多少違いがある。配線工具を使用する方法が多かったが、最近は工具不要の方法も増えている。また、配線ケーブルの先にフェルールを装着した方法から、フェルールなしで被覆したケーブルをそのまま端子台に差し込むことができる方法も登場してきている。配線がきちんと接続できているかのインジケータ表示も可能なことから、作業ミスなど接続不良の防止にもつながる。

従来、スプリング式は制御用や小電力用を中心に普及が進んでいたが、ここ数年、電磁開閉器や配線ブレーカーに加え、操作用スイッチやスイッチング電源など、従来はネジ式接続が使用されていた機器でもスプリング式端子台の採用が増えつつある。さらに、大電流用でのスプリング式端子台のラインアップも急速に拡充している。1500Ⅴ/300Aの高圧・高電流の動力・電源用途に対応したり、電線径200㎟という太線でもドライバーを使ってワンタッチで裸の電線接続が可能な端子台も販売されている。

大電流用途では、丸型圧着端子台(丸端)で配線後の増し締めをするという習慣が定着しているが、スプリング式の接続信頼性への評価の高まりに加え、人手不足も重なり、徐々にこの習慣がなくなりつつある。増し締めが不要になることで、トータルコスト面もスプリング式の優位性が高くなってきており、市場に大きな変化が出始めている。日本では公共建設物や送配電分野ではネジ式が多く使用されているが、法的な規制が徐々に見直される流れにあり、早晩この分野でも普及が進みそうだ。

最近は欧州を中心に、プリント基板に外部端子を使用しないで直接給電するための大電流対応コネクタの要求が高まっている。大容量の電源、インバータ、サーボアンプなどでプリント基板に直接給電することで、大幅な小型化と電力損失の低減が図れ、省エネ化につながるというものだ。コネクタの採用で電線のハーネス化による組立性やボード交換などのメンテナンス性向上が図れるという効果も見込める。

最近発売されて注目されている端子台として、配線を端子側面から挿入するプッシュイン端子台で、設置高さ方向のスペースに余裕のない場合でも配線が容易に行える。丸端などのネジ式配線接続式と方向が同じのため、ネジ式端子台からの切り替えも進めやすく、側面配線のため、ケーブルダクトまでの配線曲げも不要になるなどの利点がある。

もう一つ注目されている端子台が、配線方式にプッシュイン式を採用して配線工数と端子スペースの削減を図るとともに、取り外し可能な足を取り付けることで、縦横兼用で使用できるコネクタ端子台だ。足を外した場合は縦向きに、足を付けたままの場合は横向けにと、1台で縦向き・横向きの両方に対応可能になる。在庫を削減でき、盤の小型化にも貢献する。

配線接続機器の中で新発想の配線方法として注目されているのがケーブルエントリーシステムだ。コントロールユニットや制御盤の筐体面から取り出す多数のケーブル、ホース、コンジット類を集約し、専用工具不要で簡単に組み立てができるもの。コネクタや圧着端子が付いた状態のケーブルを、分割式フレームと分割形ケーブルグロメットを使用することで、素早く簡単にアッセンブリすることができる。保護等級も最大IP68に対応できる。EMC対策にもつながることで、評価を高めている。

用途も工作機械、鉄道、建機などに加え、人体に影響を及ぼす食品機械や医薬製造機械などにも広がりつつある。

配線接続機器の需要は産業機器から民生機器、車載、社会インフラまで需要の裾野が非常に広いことから、安定した市場を形成している。通信、車載など、今後急拡大が予想される市場も多い。社会生活や産業を下支えする大きな役割を小さな部品が果たしている。

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