第9回ロボット大賞 決定

2021年3月17日

ロボットの社会実装を反映 ロボットの本格活用時代のはじまり

第9回目となる「ロボット大賞」の受賞製品が発表された。工場内の自動化を担う産業用ロボットはもちろん、建設や農業、介護といった労働力不足が最も深刻な産業に対する解決策としての専用ロボットや、ロボット開発者やシステムインテグレータ等の業務に役立つ調達サービスなど、社会実装済または実用化に近い多種多様な製品・サービスが選ばれた。また宇宙空間や深海といった人間では到達できない領域を開拓するロボット技術も選ばれ、これからのロボット産業とロボット活用社会の底上げを期待させるものとなった。

新・協働ロボット、未活用領域への導入に期待大

すでにある程度の市場や用途が出来上がっている産業用ロボットやFAや自動化領域。次の段階が期待されるなか、今回の経済産業大臣賞に選ばれたのが、ファナックの協働ロボット「CRX」。安全や導入の容易さの機能・性能が、まだロボットを活用していない領域への拡大、ロボット導入のハードルを下げるものとして高く評価された。

同製品は「安全、使いやすい、壊れない」をテーマに開発さ、各軸にセンサを搭載して高い接触停止機能を実現。衝突による人への危険と故障発生を最小限にし、高い安全と稼働率を両立させている。またダイレクトティーチングやタブレットを使った直感的なプログラミングで教示作業が簡単にできるようになっている。

農業、建設土木、介護もロボット活用が進む

高齢化と過疎化が進む農業、慢性的な職人不足に悩まされる建設・土木業、高齢化社会でサービスを受ける人が急増して人手が足りなくなっている介護産業。これら労働力不足が深刻化している産業向けでもロボット活用が広がっており、今回選ばれている。

農業では、inahoの自動野菜収穫ロボットとRaaSモデルによる農業者向けサービスが農林水産大臣賞に選ばれた。自動野菜収穫ロボットを農業者に貸し出し、収穫高に応じて利用料を払ってもらうサービスで、農業者のロボット導入時の初期費用が軽減できるサブスクリプションのビジネスモデルが高く評価された。

優秀賞 農林水産業・食品産業分野に選ばれたトプコンの農機向け後付け式の自動化システムは、既存の農機具に後付けして自動化機能を付与できるものとなっている。

建設・土木では、国土交通大臣賞となった西日本高速道路・清水建設・岐阜工業によるトンネル覆工コンクリート自動施工ロボットシステムは、山の中のトンネルを作る際の覆工コンクリートの打込みから締固め、打止め、脱型枠までの一連の作業を自動制御するもの。従来は熟練者の経験と勘、人力で行っていたものを完全自動化した。すでに複数のトンネル工場でも実績が上がっているという。

鹿島建設の「建設機械の自動運転を核とした次世代建設生産システムA4CSEL」は、作業データを送ると、自動化された建設機械が定型的な作業や繰り返し作業を自動、無人で行い、必要最小限の人員で多数の機械を同時に稼働させて生産性と安全性を飛躍的に向上させる。FAの自動化手法を建設業に応用した形で、優秀賞(社会インフラ・災害対応・消防分野)に選ばれた。

介護向けでは、排泄介助向けに開発されたFUJIの移乗サポートロボット「HUG T1-02」が厚生労働大臣賞に選ばれた。人をベッドから車椅子、車椅子からトイレに移乗させる際、介助者が人を抱き抱えて行っているものを代替する。排泄介助は現場のニーズがあるにも関わらず、それを補助するものが存在せず、介助者の負担を軽減し、すでに市場からも高評価を受けている点が評価された。

ニッチなアプリケーションもロボット・自動化

特定のアプリケーション向けにシステム化されたものとして、日本ベクトン・ディッキンソンの次世代薬局ロボ(薬剤自動管理)と自動薬剤受取機、デジタル・シェルフOTC販売による薬の受け取りを自動化システムが、優秀賞(ビジネス・社会実装部門)に選ばれた。薬の受け取りを自動化するシステムで、次世代の薬局を実現するものとして期待される。

グローバル・リンクス・テクノロジーの研究用マウス飼育自動化システム「RoboRack」(優秀賞 介護・医療・健康分野)は、年間約1千万匹の研究用マウスが必要とされるなか、その飼育を自動化し、飼育を担う若手研究者の負荷と、研究用マウスにストレスを与えない自動飼育環境を実現し、飼育を担う若手研究者とマウスの両方に負荷を与えずに目標を実現できるシステムとなっている。

ロボット産業を支える部品調達の効率化も

ロボットは本体だけで機能を果たせる訳ではなく、いくつもの部品を組み合わせてシステムとして成立させることで完成する。そこで使う部品は標準品だけでは足りず、カスタムや一品もののニーズが高い。そうしたカスタム部品の調達がロボット開発やシステム完成の効率化のカギを握る。

そうした部品調達をデジタル化して効率化するものとして、日本機械工業連合会会長賞に選ばれたのが、ミスミグループ本社のオンライン部品調達システム「meviy」(メヴィー)。欲しい部品の3Dデータをアップロードするだけで見積もりから発注までオンラインで行え、短納期で部品を調達することができる。部品点数が多く、特有の部品を設計する必要性が高く、試作が繰り返されることが多いロボット領域には極めて有用な仕組みとして高く評価された。

総じて、前回までは社会実装前の開発や実証実験ベースのものも多く選ばれていたのに対し、今回はすでに社会実装が行われて実績を上げているもの、それに近いものが選定され、導入や操作が容易で、普及・活用を促進しやすい点が評価された。例えば、日本機械工業連合会会長賞のSEQSENSEの自律移動型警備ロボット「SQ-2」は、ソフトバンク本社が入居するスマートビルの東京ポートシティ竹芝で運用稼動している。いよいよ日本のロボット産業も社会実装の段階に進んでいる。

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