製造業は”人”にとって働きやすい職業・現場なのか?

2021年3月9日

「製造業の未来予測。グッドなシナリオとバッドなシナリオを考える」という趣旨のオンラインイベントに参加した。主催はチームクロスFAで、製造業を盛り上げたいと熱い思いを持っている人たちが集まり、フランクに議論をした。そのなかでひとつ、興味深い気づきがあった。それは「製造業で働く女性はなぜ少ないのか?」というテーマになった時に起きた

▼自動車メーカーで働く女性の参加者が、上記のテーマで意見を求められた時の回答で、彼女曰く「単純に、ワークが重く、持ち上げたり、運んだりするだけで重労働。ロボットがもっと製造現場に普及して、仕事を補助してくれたり、一緒に働いたりする環境になって欲しい」とのこと。

極めて真っ当でごく当たり前の意見だが、実際に現場で苦労している姿を想像すると、目から鱗がポロリ。自動車部品であれば5kg、10kgのワークは当たり前。確かに人が手で持てる重さだが、ここで想定されている「人」とはイコール「成人男性」。成人男性であれば10kg程度であれば普通に持てる範囲だ。しかし女性の立場に立って考えてみたらどうだろう?10kgのワークを取り扱うのはなかなか酷な話だ。

10kgのワークを手で扱う現場は、これまでの社会または男性だけが扱うことと前提とするならば「普通の現場」だ。しかし女性や年配者も含めて、総合的な「人」というくくりで捉えると「3Kの現場」という認識に変わる。「いまの製造業の現場は女性にとって働きやすい職場ではない」彼女の発言で気付かされた

▼そこで改めて問う。

「いまの製造現場は“人”にとって働きやすい職場と言えるのか?」

いま日本の労働人口は6600万人を超えた。人口が減少するなか、労働人口は増えている。しかし製造業は減少傾向が続き、新たな労働者を獲得できていない。「自動化が進んでいる」「生産拠点が海外に移っている」「量より質」という見方もあるが、大局から見れば、人の知と力の結集力が弱まっているのは確かだ。特にこれからは「知」が重要な時代。一人でも多くの知が加わることが競争力を高める。そのためには製造業は変わらなければならない。

本当に必要なのは、いま流行のDXやデジタル化ではない。もっと根本のところだ。「誰でも快適に働ける現場」にし、製造業に多くの人を迎え入れることだ。

FA・自動化技術はそこに貢献できる重要な産業だ。私が考えるこれからのFA業界のキーワードは「Automation Makes Us Happy 人が働きやすい現場づくりにFA技術で貢献する」。一人でも多くの人の心に刻んで欲しいと願う。