機器の「命」をつなぐ配線接続機器、通信関連 コロナ禍でも拡大基調

2020年8月26日

基地局・データセンターへの投資継続

電子・電機機器や、通信機器などの電気や信号をつなぐ端子台やコネクタ・ソケット、ケーブルアクセサリなどの配線接続機器は、これらの機器の「命」を吹き込むともいえる重要な役割を果たしている。

微小電流から高容量電流まで広領域をカバーしながら、高い信頼性を確保している。製品は小型・薄型に加え、配線作業性、接続信頼性、耐環境対応などをポイントに開発が進んでいる。

 

国内の配線接続機器の市場は4500億円前後で、コネクタが約4000億円、端子台・ソケットが400億円、ケーブルアクセサリ類が100億円ぐらいとみられる。

このうち端子台は、製造業をはじめ、社会インフラ、電力・新エネルギー関連、ビル設備向けなどを中心に安定した市場を形成している。

今年に入って新型コロナウイルス感染症が各産業に大きな影響を与えており、景気停滞感が強まっている。とりわけ、自動車、工作機械、ロボットといった主要産業が大きなダメージを受けている。加えて、電力やビル設備向けも影響を受けつつある。

 

その中にあって、通信関連が拡大基調を維持している。IoTや5G、テレワークなどをキーワードにした通信基地局やデータセンター建設への投資が継続し、さらに、コロナ禍の巣ごもり消費のひとつとしてゲーム機市場が急増し、需要を支えている。関連して半導体需要も伸長していることから、半導体製造装置関連の受注も拡大し、唯一といっていいほど気を吐いている。

配線接続機器のうち、端子台は小型・省スペース化に加え、配線工数の削減とDCの高耐圧化などを目指した開発が著しい。コロナ禍で人手不足感はこのところ小康状態となっているが、将来的な労働者不足の点から端子台の配線作業の省力化ニーズは強い。

日本で主流となっているねじ式、欧米で主流となっている圧着端子を使用しないスプリング式(ねじレス式)という2つの方式のバランスが大きく変わろうとしている。その背景にあるのが人手不足で、配線接続作業の省力化を何とかしたいという声である。

 

「スプリング式」評価高まる

日本ではねじを使った丸圧着端子台(丸端)が長年使用され、定着している。特に高圧・大電流用途や振動の多い用途ではねじ式の使用が多い。接続信頼性が高いことも大きな理由だ。

しかし、このところの人手不足もあり、スプリング式への評価が急速に高まっている。ケーブルを挿し込むだけで配線作業が完了し、ネジ締め作業や締める加減も不要なことから、配線作業省力化の切札として採用が増えているもの。

まだ配線作業が不慣れな初心者であっても簡単に作業ができることから、人手不足の中、熟練作業者でなくても配線技術習得に時間がかからず、懸念されていた振動での配線の緩みや経年での信頼性に対する心配も使用実績を重ねることで払拭され、採用加速への追い風になっている。

 

スプリング式もメーカーによって接続方法には多少違いがある。最近開発されたのが、レバー操作タイプのスプリング式。結線作業用のレバーを内蔵しており、圧着端子や専用工具が不要で、電線をむき出し指操作での電線接続ができる。レバーを上げた時はスプリングが開き、レバーを下げればスプリングは閉じる構造で、レバーの位置でスプリングの開閉状態がはっきりとわかり閉め忘れなどの作業ミスを防止でき安全性が高いという効果も見込める。

従来スプリング式は制御用や小電力用を中心に普及が進んでいたが、ここにきて電磁開閉器や配線ブレーカーでもスプリング式端子台を配線部に採用を開始しており、動力用途での使用が増えている。

操作用スイッチやスイッチグ電源など、従来はネジ式接続が使用されていた機器でもスプリング式端子台の採用が増えつつある。さらに、大電流用でのスプリング式端子台のラインアップも急速に拡充している。1500㈸/300Aの高圧・高電流の動力・電源用途に対応したり、電線径200mm2という太線でもドライバーを使ってワンタッチで裸の電線接続が可能な端子台も販売されている。大電流用は、丸圧着端子台(丸端)を配線後の増し締めをするという習慣が定着しているが、

スプリング式の接続信頼性への評価の高まりに加え、人手不足も重なり、徐々にこの習慣がなくなりつつある。増し締めが不要になることで、トータルコスト面もスプリング式の優位性が高くなってきており、市場に大きな変化が出始めている。

 

小型化、省エネ、作業性向上

現在、日本市場ではネジ式が70%、スプリング式が30%と言われており、スプリング式の発祥である欧州市場でもスプリング式は50%前後となっており、ねじ式の使用は多い。日本でも公共建設物や送配電分野ではネジ式が使用されている。

最近は欧州を中心に、プリント基板に外部端子を使用しないで直接給電するための大電流対応コネクタの要求が高まっている。大容量の電源、インバータ、サーボアンプなどでプリント基板に直接給電することで、大幅な小型化と電力損失の低減が図れ、省エネ化につながるというものだ。コネクタの採用で電線のハーネス化による組立性やボード交換などのメンテナンス性向上が図れるという効果も見込める。

最近発売されて注目されている端子台として、配線を端子側面から挿入するプッシュイン端子台で、設置高さ方向のスペースに余裕のない場合でも配線が容易に行える。丸端などのネジ式配線接続式と方向が同じのため、ネジ式端子台からの切り替えも進めやすく、側面配線のため、ケーブルダクトまでの配線曲げも不要になるなどの利点がある。

 

もう一つ注目されている端子台が、配線方式にプッシュイン式を採用して配線工数と端子スペースの削減を図るとともに、取り外し可能な足を取り付けることで、縦横兼用で使用できるコネクタ端子台だ。足を外した場合は縦向きに、足を付けたままの場合は横向けにと、1台で縦向き・横向きの両方に対応可能になる。在庫を削減でき、盤の小型化にも貢献する。ネジ式端子台で注目されているのが、筐体にアルミニウム合金を採用した製品だ。軽量化が図れるのが特徴で、本体色も白色のため、黒色の端子台との識別も容易になる。圧着端子やケーブルなどもアルミを採用することでさらなる利点が生まれる。

また、ネジ式端子台では感電などの防止用に配線カバーが装着されているが、このカバーの色は一般的に透明色が多い中でブルー色を採用したカバーが注目されている。配線作業時に床などに落とした時に色がついていることで紛失を防げるというメリットがあり、探すといった時間を無くす効果につながる。

高温や低温下の使用周囲環境を考慮した端子台も用途が増えている。マイナス50℃やプラス150℃といった周囲温度にも耐える端子台や、材質もセラミックやフェノール樹脂などを使用しているが、最近は取り扱いが難しいセラミックに代わって、不飽和ポリエステル樹脂を使用した端子台も発売されている。

 

成長見込める自動車関連

配線接続機器の中で新発想の配線方法として注目されているのがケーブルエントリーシステムだ。コントロールユニットや制御盤の筐体面から取り出す多数のケーブル、ホース、コンジット類を集約し、専用工具不要で簡単に組み立てができるもの。コネクタや圧着端子が付いた状態のケーブルを、分割式フレームと分割形ケーブルグロメットを使用することで、素早く簡単にアッセンブリすることができる。保護等級も最大IP68に対応できる。

用途も工作機械、鉄道、建機、などに加え、人体に影響を及ぼす食品機械や医薬製造機械などにも広がりつつある。

さらにハイブリッドな製品として、ねじレス端子台とヒューズホルダーを一体化した製品も注目されている。配線作業が一挙に省力化でき、DINレールにも取り付けが容易になるなど、ヒューズホルダーの新領域開拓につながることが見込まれている。

配線接続機器は、今後自動車向けの需要拡大を見込んでいる。車載向けは、ワイヤーハーネスとして従来から一定の市場を形成しているが、今後は車の自動運転に代表される電子機器の塊としてたくさんの配線接続機器が使用されることが確実で巨大な市場が見込まれている。自動車ではEV(電気自動車)も周辺で充電スタンドやバッテリなどの市場が形成されつつある。

配線接続機器は今後も成長市場として目を離せない。