【寄稿】ラムリサーチ、IoTおよび車載用途向けに300mmの技術を200mmで活用

2020年6月3日

ラムリサーチ
カスタマーサポート事業部ストラテジック・マーケティングシニアディレクター
デイヴィッド・ヘインズ博士

 

IoTおよび車載市場では、様々な技術ノードで製造されたデバイスが使用されています。歩留まりと生産能力の向上を迅速に実現する上で、適切なコストの戦略は、300mm用装置で達成した技術の進歩を200mm用装置のアップグレードで応用することです。

この業界における売上はもはやパソコンやサーバー、携帯電話、タブレットなどのコンピューティング用途からのみではなく、クラウドストレージ、機械学習や人工知能(AI)、仮想現実(VR)および拡張現実(AR)、ロボティクス、医療、自動運転車を含む車載分野などの多岐にわたる市場が、業界の原動力となっています。

フランスの市場調査/戦略コンサルティング企業、Yole Développementは、2035年までに販売される全車両の50%超がレベル3の自動運転車になると考えています。つまり、運転者が常に道路を見ていなくても、車両は自動運転で走行するようになります。

モノのインターネット(IoT)は、そうした様々な市場セグメントをつなぐ、いわば「糸」です。市場調査会社であるIHSは、IoTにおけるコネクテッドデバイス数の増加は衰えることなく、2020年までに300億台に増加すると予測しています。

 

ICの売上に対する影響

センサーが不可欠なデバイスである一方、IoTもまた通信やインテリジェンスに必須の要素です。IoTは、マイクロコントローラーや電力管理ICのほか、アナログチップおよびミックスドシグナルチップを必要とします。通信システムには、RFデバイス、MEMSデバイス、光電子ICが必要です。情報を処理するデータセンターでは、さらに多くのロジック、メモリ、ストレージ、シリコンフォトニクスが求められています。

IoTには、センサーだけでなく、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供するためのセンシングIC、通信IC、コンピューティングICが必要です

将来的に、完全自動運転が可能なレベル5の自動運転車は、高度なセンサーを活用するだけでなく、実質的に「タイヤが付いた自己認識型サーバー」になるでしょう。

 

共通の課題

工場は、エッチング深さおよび配線寸法(CD)の制御の均一性を維持するという課題に直面しています。エッチングの形状または傾斜でさえも歩留まりに大きな影響を及ぼす可能性があります。これらはすべて、最先端の技術ノードで対処しなければならない問題です。

300mmウェハでは、ダイサイズによって、外側8mmのエッジにダイの約10%が含まれ、外側2mmのエッジはダイの3%となるため、エッジの状態が生産性全体に重要な影響をもたらします。

したがって、エッチング工程の材料、温度、電場におけるエッジの不連続性は、歩留まりに重大な影響を及ぼします。

 

200mmの先進的ソリューション

工場は技術的な課題の他に、コストが適切な生産能力を構築するという課題にも直面しています。既存の工場は今や、最先端の技術ノードに装置を追加するよりもはるかに低い価格ポイントで、IoT市場および車載市場に対処できるようになりました。

その一例として、Versys® Kiyo45™導体エッチング装置が挙げられます。この装置は、ラムリサーチの300mmウェハの最先端技術から得た知見を200mmウェハに応用し、再現性、ウェハ間の均一性、スループットの向上、欠陥品の削減を実現しています。同様に、主要な300mm対応プラズマ化学気相成長(PECVD)用途で市場シェアを拡大しているラムリサーチのVECTOR®プラズマCVD(PECVD)装置も、もともとは200mm用装置として発売されたわけではありませんでしたが、300mmで達成できたことは200mmでも可能であるとして顧客からの関心を得ました。そのため、昨年発売された200mm用装置は200~300mmに対応するブリッジ装置となっています。

200mmで先進技術を応用する効果はそれだけではありません。電力、ミックスドシグナル用途、MEMS、CMOSイメージセンサーのほか、SiP(System in Package)などの一部のパッケージング用途でも、ラムリサーチの300mm Versys® Kiyo45™システムおよびSyndion®シリコン貫通ビア(TSV)エッチング装置から得た知識と機能を取り入れた最新世代のディープシリコンエッチング(DSiE™)モジュールを200mmに導入することで、メリットを得られます。

 

アップグレード戦略の試み

現場には何千台ものラムリサーチの200mm用Alliance®装置があり、その多くが10年以上前に導入されたものです。それにもかかわらず依然として使用頻度が高く、ラムリサーチのReliantシリーズでは新品とリファブの両製品の製造を継続し、お客様をサポートしています。

お客様も、ラムリサーチの2300のプラットフォームの先進的な制御システムとソフトウェアアーキテクチャーで旧型のAlliance®装置をアップグレードできます。このAlliance® Cアップグレードでも、もともと設計されていなかった機能が使用可能になります。

Alliance® Cアップグレードでは、制御システムのアーキテクチャとソフトウェアをアップグレードするだけで、装置のタイミングと再現性が向上します。

また、Alliance® Cアップグレードは、スループット最適化(TPO)、自動予防メンテナンス(AutoPM)、ウェットクリーニング最適化(WCO)といった他のアップグレードの追加にも対応しています。プロセスを変更する際や、装置を他の用途で使用する際には常に、TPOソフトウェアのアルゴリズムが設定の分析と最適化を行い、装置の性能を向上させます。

AutoPMは、スクリプトを実行して多数の手動による作業を自動化し、装置を体系的かつ再現可能な方法でオンラインに戻すことで、エンジニアリングの人員が他のシステムに取り組めるようにします。WCO機能は、特定の装置仕様へのカスタマイズやお客様の現地語での提供が可能なソフトウェアガイド型のクリーニングガイドです。複数のお客様の現場で、作業時間の短縮や予定外のクリーニングの低減につながっています。

 

将来のアプリケーション需要への対応

ラムリサーチは、300mmの技術的な専門知識を構築し、圧電材料やワイドバンドギャップ材料、高性能ディープシリコンエッチング用途など、特定のニーズに対応する広範な製品を製造してきました。

ラムリサーチは現在、既存の200mm製品ラインのハードウェアおよびソフトウェアのアップグレードに、300mm用装置で達成した技術の進歩を応用することにより、適切なコストのソリューションで対処しています。

 

デイヴィッド・ヘインズ (博士)(Dr. David Haynes)

ラムリサーチ カスタマーサポート事業部ストラテジック・マーケティング
シニアディレクター

半導体資本設備や研究機器市場分野のセールスやマーケティング、ビジネス開発において約20年の経験を持ち、技術的なノウハウと商品知識で、顧客のニーズを把握し、ソリューション提供を通じてマーケットシェアの向上に従事。スワンジー大学 電気材料工学(博士課程)同大学材料工学(学士課程)