「つなぐ」支える 配線接続機器、幅広い領域で採用増加

2020年2月26日

端子台やコネクタ・ソケット、ケーブルアクセサリなどの配線接続機器は、電気機器に電気やデータを送る配線と一体で使用される。比較的シンプル構造の部品であるが、「つなぐ・つなげる」用途で大きな役割を果たしている。

製品は小型・薄型に加え、配線作業性、接続信頼性、耐環境対応などをポイントに開発が進んでいる。

 

 

人手不足でスプリング式端子台に追い風

IoT、5G需要に期待

国内の配線接続機器の市場は4500億円前後で、コネクタが約4000億円、端子台・ソケットが400億円、ケーブルアクセサリ類が100億円ぐらいとみられる。

このうち端子台は、製造業をはじめ、社会インフラ、電力・新エネルギー関連、ビル設備向けなどを中心に安定した市場を形成している。製造業向けは自動車関連が堅調に推移しているが、工作機械、半導体製造関連、ロボット関連向けは停滞気味となっている。

その一方で社会インフラやビル、通信関連が拡大基調になっている。都市再開発や交通インフラ整備、それにIoTや5Gに絡んだ新たな通信インフラとして、通信基地局やデーターセンター建設への投資が継続し需要を支えている。さらに、エネルギー問題に絡み、EV(電気自動車)や蓄電設備などの新たな市場も形成を始めており、端子台市場の拡大に牽引役を支えようとしている。

 

最近の端子台は小型・省スペース化に加え、配線工数の削減とDCの高耐圧化などがトレンドとして挙げられる。

中でも最近の端子台に関する大きな話題としては端子台の配線接続方法である。日本で主流となっているねじ式、欧米で主流となっている圧着端子を使用しないスプリング式(ねじレス式)に対する評価に変化が生じはじめていることだ。その背景には、配線接続作業の省力化を求める声の強まっていることがある。

日本ではねじを使った丸圧着端子台(丸端)が長年使用され、定着している。特に高圧・大電流用途や振動の多い用途ではねじ式の使用が多い。接続信頼性が高いことも大きな理由だ。しかし、このところの人手不足の深刻化への対応策としてスプリング式への評価が急速に高まっている。ケーブルを挿し込むだけで配線作業が完了し、ネジ締め作業や締める加減も不要なことから、配線作業省力化の切札として採用が増えているもの。

まだ配線作業が不慣れな初心者であっても簡単に作業ができることから、人手不足の中、熟練作業者でなくても配線技術習得に時間がかからず、懸念されていた振動での配線の緩みや経年での信頼性に対する心配も使用実績を重ねることで払拭され、採用加速への追い風になっている。

 

省スペース、省工数で工夫

スプリング式もメーカーによって接続方法には多少違いがある。最近開発されたのが、レバー操作タイプのスプリング式。結線作業用のレバーを内蔵しており、圧着端子や専用工具が不要で、電線をむき出し指操作での電線接続ができる。レバーを上げた時はスプリングが開き、レバーを下げればスプリングは閉じる構造で、レバーの位置でスプリングの開閉状態がはっきりとわかり閉め忘れなどの作業ミスを防止でき安全性が高いという効果も見込める。

従来スプリング式は制御用や小電力用を中心に普及が進んでいたが、ここにきて電磁開閉器や配線ブレーカーの国内大手メーカーがスプリング式端子台を配線部に採用したことで、動力用途での使用が増えている。

操作用スイッチやスイッチング電源など、従来はネジ式接続が使用されていた機器でもスプリング式端子台の採用が増えつつある。さらに、大電流用でのスプリング式端子台のラインアップも急速に拡充している。1500Ⅴ/300Aの高圧・高電流の動力・電源用途に対応したり、電線径200平方㎜という太線でもドライバーを使ってワンタッチで裸の電線接続が可能な端子台も販売されている。

大電流用は、配線後の増し締めをする丸圧着端子台(丸端)のカルチャーが定着し採用が進んでいなかったが、接続信頼性の高まりに加え、人手不足も重なり、徐々にこの壁がなくなりつつあり、トータルコスト面も優位性が高いとしてスプリング式の採用を始め、市場に大きな変化が出始めている。

 

現在、日本市場ではネジ式が70%、スプリング式が30%と言われており、スプリング式の発祥である欧州市場でもスプリング式は50%前後となっており、ねじ式の使用は多い。日本でも公共建設物や送配電分野ではネジ式が使用されている。

最近は欧州を中心に、プリント基板に外部端子を使用しないで直接給電するための大電流対応コネクタの要求が高まっている。大容量の電源、インバータ、サーボアンプなどでプリント基板に直接給電することで、大幅な小型化と電力損失の低減が図れ、省エネ化につながるというものだ。コネクタの採用で電線のハーネス化による組立性やボード交換などのメンテナンス性向上が図れるという効果も見込める。

最近発売されて注目されている端子台として、配線を端子側面から挿入するプッシュイン端子台で、設置高さ方向のスペースに余裕のない場合でも配線が容易に行える。丸端などのネジ式配線接続式と方向が同じのため、ネジ式端子台からの切り替えも進めやすく、側面配線のため、ケーブルダクトまでの配線曲げも不要になるなどの利点がある。

 

もう一つ注目されている端子台が、配線方式にプッシュイン式を採用して配線工数と端子スペースの削減を図るとともに、取外し可能な足を取り付けることで、縦横兼用で使用できるコネクタ端子台だ。足を外した場合は縦向きに、足を付けたままの場合は横向けにと、1台で縦向き・横向きの両方に対応可能になる。在庫を削減でき、盤の小型化にも貢献する。

ネジ式端子台で注目されているのが、筐体にアルミニウム合金を採用した製品だ。軽量化が図れるのが特徴で、本体色も白色のため、黒色の端子台との識別も容易になる。圧着端子やケーブルなどもアルミを採用することでさらなる利点が生まれる。

また、ネジ式端子台では感電などの防止用に配線カバーが装着されているが、このカバーの色は一般的に透明色が多い中でブルー色を採用したカバーが注目されている。配線作業時に床などに落とした時に色がついていることで紛失を防げるというメリットがあり、探すといった時間を無くす効果につながる。

高温や低温下の使用周囲環境を考慮した端子台も用途が増えている。マイナス50℃やプラス150℃といった周囲温度にも耐える端子台や、材質もセラミックやフェノール樹脂などを使用しているが、最近は取り扱いが難しいセラミックに代わって、不飽和ポリエステル樹脂を使用した端子台も発売されている。

 

新配線方式に注目

配線接続機器の中で新発想の配線方法として注目されているのがケーブルマネジメントシステムだ。コントロールユニットや制御盤の筐体面から取り出す多数のケーブル、ホース、コンジット類を集約し、専用工具不要で簡単に組み立てができるもの。コネクタや圧着端子が付いた状態のケーブルを、分割式フレームと分割形ケーブルグロメットを使用することで、素早く簡単にアッセンブリすることができる。保護等級も最大IP68に対応できる。

さらにハイブリッドな製品として、ねじレス端子台とヒューズホルダーを一体化した製品も注目されている。配線作業が一挙に省力化でき、DINレールにも取り付けが容易になるなど、ヒューズホルダーの新領域開拓につながることが見込まれている。このように配線接続機器には次々と使いやすさを目指した製品開発が進んでおり、今後も期待市場として目を離せない状況が続きそうだ。