JSS、画像処理の検証と導入支援を担う「画処ラボ(ガショラボ)」を相模原市にオープン

2020年2月21日

 ロボットシステムインテグレーターであり、工場の自動化装置メーカーでもある日本サポートシステムは、神奈川県相模原市のSICさがみはら産業創造センターに、画像処理システムの技術検証と導入を支援する「画処ラボ(ガショラボ)をオープンした。画像処理システムは選定や検証に高い専門知識が必要とされ、装置化して工場で稼働するまでにも多くの手間と苦労を要するが、画処ラボはそれらをすべてまかなうことで、ものづくり企業の最適な画像処理システムの迅速な実現を全面的に支援する。

画像処理の需要熱が高まる反面、高い導入ハードル

 工場や製造装置において画像処理が使われる場面は拡大している。特に近年のロボットシステムの普及にともない、それらの「目」の役割を果たす画像処理システムへの関心が急速に高まっている。

 しかしながらカメラやレンズの選定、ワークへの照明の当て方、距離や角度によって得られる画像の質は大きく異なり、ユーザーがいざ導入しようとしてもなかなか大変。ワークの検証はカメラメーカーや関連機器メーカーといった専門家に頼らざるを得ず、システム化や製造装置への組込みに関しても、画像処理を得意とするシステムインテグレーターや自社の生産技術部門、外部の設備業者に依頼して製作するのが一般的。窓口がバラバラで取りまとめが大変な上に、大きな時間とコストがかかってしまうという課題があった。
 また検証はカメラメーカーが行うため、その後のシステム構築はそのメーカーの機種に偏りがち。客観的に顧客が公平で最適なシステムを望んでいても、実際はメーカーの都合でそれが難しいという難点があった。

 画処ラボはそうした従来の画像処理の導入の課題を解決することを目指して開設された。同社社長の天野眞也氏は「ロボットが世の中に周知されてきているが、ロボットは目や脳がないと動かない。画像処理という技術が核となり、これからの技術を進めていくということを画処ラボから発信していきたい」としている。

 

検証から装置化まで一貫対応、マルチメーカー、遠隔サポート

 画処ラボの特長は大きく3つ。
 1つ目は、ワーク検証から機器やソフトウェアの選定、装置化までの画像処理システム導入、サポートの全行程を一気通貫で行えること。前述の通り、従来の画像処理システムの構築フローの場合、検証から始まる全工程で依頼・調整する窓口が異なるため、それが大きな手間となり、ハードルとなっていた。
 それに対して検証から機器・ソフトウェア選定、システム化は画処ラボが担い、その先の画像処理システムを組み込んだ製造装置の設計製造についても引き続き同社で行える。ロボットシステムや自動化装置は同社の得意分野であり、画像処理の相談から装置化まで一連の業務をすべてサポートしている。これにより画像処理だけ試したいユーザーも、装置化を検討しているユーザーも両方対応できるようになっている。

 特長の2つ目はマルチメーカー対応。案件は要求する内容とレベル、予算等によって異なり、それぞれに最適な製品やソフトウェアの組み合わせも変わってくる。同社は独立系システムインテグレーターとして全方位的にメーカーとほどよい距離感を保ち、案件ごとに最適なメーカーを選んでシステムの構築が可能となっている。オープン当初、画処ラボではカメラ5メーカー30台、照明3メーカー50台、画像処理ソフト12社、AI5社、レンズ他多数を取り揃え、最適な組み合わせを検証し提供できるようになっている。
 定番の画像機器に加え、X線ほか新技術の検証にも意欲的に取り組み、技術・生産本部/相模原事業所 加藤俊介所長は「多くのメーカーから画処ラボに置きたいという声はいただいていて、これからも取り扱い製品は増やしていく予定だ。液体レンズなど新しい技術も積極的に取り入れ、最新情報を発信していきたい」としている。

検証スペース脇にはカメラや照明、レンズがズラリと並ぶ

 3つ目の特長は、手厚いサポート対応。そもそも画像処理は専門的な知識と技術が必要で、社内に詳しい人材が少ないのに加え、最近の多品種少量生産や変種変量生産、製品ライフサイクルの短期化によって調整やメンテナンスの重要度が増している。ユーザー企業では人手不足で対応しきれないところを画処ラボがサポートするのに加え、装置のIoT化によって遠隔監視を実施。PLCや画像データ、装置前後の動画データを収集してクラウドで管理し、トラブル要件を解析して迅速なサポートを提供できるようになっている。

ルール型画像処理で1万件超の実績 AI活用も

 同社はこれまでに画像センサを使ったルールベースの画像処理で1万件以上の検証の実績がある。具体的には、乳製品メーカーの粉ミルクの缶の凹凸を見る外観検査装置や、外国語で欠かれたラベルをパターンマッチングで文字認識をして検査する装置、トンネルの掘削機のオイルの汚れ具合を見るための流体検査装置など。
 さらにAIを使った画像検査もスタート。Preferred Networksをはじめとして5社のAIで活用に取り組んでいる。

画処ラボ内部紹介

画処ラボの内部レイアウト

 部屋中央にレボックス製の光学系自動調整装置OPTAGISを設置。これまでカメラと照明、レフ板の選定と調整は専門家が時間をかけて行っていたが、この装置は自動で光学系の最適な組み合わせを割り出し、リアルで再現。調整の手間を大きく省くことができ、画処ラボにある多くの製品から最適な組み合わせと設定を導き出すコア装置となっている

 デンソーウェーブの外観検査ソリューション「Dvision」。30分で簡単立ち上げができるというもので、CAD取り込み、3Dスキャンをすれば移動経路はロボット自らが設定

検証エリアではカメラや照明を交換しながら最適な組み合わせを探すことができる

大型ディスプレイを見ながら打ち合わせが可能。またAIスピーカーALEXAを使って照明のONOFFやブラインドの開閉などが可能になっている

テスラ サイバートラックを社用車に採用

 また画処ラボではテスラのサイバートラックを社用車に採用することを決定。加えてオプションの荷台も検討しているという。荷台についてはデザインラッピングを施す予定で、3月からそのデザインを一般公募して決めたいとしている。

ラッピングデザイン応募はこちら

■参考:画処ラボ特設ページ