基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (36)

2020年1月15日

購買業務について回る不正行為④ ~中国工場の不正行為事例~

不正監視 常にチェック姿勢で

 

③発注数量と納期の決定

部品や材料に関する発注数量と納期は、どこの工場でもMRPなどのシステムを回して決めていると思います。販売計画から生産計画が決まり、それを元に所要量計算されているはずです。これらシステムで回しているのであれば問題は起こりにくいと言えますが、発注数量を購買担当者が手計算で行っている場合は、注意が必要です。

購買担当者と取引先が癒着していた場合、時に取引先の都合に合わせた発注を行うことが起こります。

取引先で生産に余裕がある場合に、その余裕分を含めて生産したいという取引先の求めに応じて、購買担当者が発注数量を増やしていたことがありました。また、取引先の資金繰りのために、先々の発注予定分を前倒しして納入させていたこともありました。担当者の感覚としては、どうせ生産で使用するのだから問題ないというものでした。

 

④買掛金残高管理

これは購買部門ではなく経理部門の仕事となっている工場も多いと思います。どの部門が担当するにしても、これをしっかりやっておかないと不正によって経営に大きな影響を与えることにもなりかねません。

買掛残高管理が不十分なことにより発生する問題は、2重請求や請求金額の水増しなどの不正です。これらの不正は業者だけでできることではありません。社内の担当者と業者が結託して行います。

多くの場合、担当者も最初からこのような不正をやろうと思っていたわけではありません。会社の管理が甘く2重請求などの不正が可能だと判断したからやるのです。従って大事なことは、不正が簡単にできない仕組みや管理にして、常にチェックする姿勢を見せることです。

 

まとめ

中国工場において金銭を扱う購買部門は、担当者と業者との間で不正が起きる可能性が高い。また、中国人は、購買担当者がキックバックやリベートを受け取るのはある意味当然と考えており罪悪感は持っていないことを日本人駐在員は認識する必要がある。

会社として、キックバックやリベートは不正行為として認めないという方針であるならば、そうした意志を従業員に対して見せることが必要である。

具体的には、価格や発注先決定に関する承認のプロセスを明確にして、チェック機能が働くようにするとともに、担当者に常にチェックされていると思わせることが大事。当然のことながら承認の証明となる帳票類も整備し、後からチェックできるようにすること。

会社として不正行為は認めないという強い姿勢を示すことと、担当者に不正行為はできないと思わせる管理体制を作ることが大事。

 

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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。