【2020年年頭所感】電子情報技術産業協会「企業間での共創は不可欠」遠藤信博 会長

2020年1月8日

電子情報技術産業協会 遠藤信博 会長

 

年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

昨年は、日本の各地で、大変多くの自然災害があり、多くの方々が被災されました。心よりお見舞い申し上げると共に、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

一方、令和の時代に入り、新たな日本の期待が感じられる年でもありました。私ども企業活動の観点からは、人間社会は、情報社会からデータ社会への変遷の狭間にあり、価値の源泉が情報からデータに大きく移行しつつあります。これを受け、日本においてはSociety5.0が語られる場が増え、Society5.0に向けた動きが社会全体として感じられるようになりました。

「データ、AI、デジタルプラットフォーム等を活用することにより、誰もが価値を創り出すことができる人間中心の社会。さらには、この価値創造を通して人間社会の持続性が可能になる社会」がSociety5.0が目指す社会像であると思います。

コンピューティングパワー、5G(第五世代移動通信システム)ネットワーク、AI等、データを源泉とした価値創造能力の環境が劇的に進化することによって、データによる価値創造の適用範囲が広がり、また広範囲からのデータを集めることで、部分最適から全体最適へと広がる高い価値が得られるようになってきています。この全体最適解を得るためには、まず高次の価値目標、すなわちKGI(Key Goal Indicator)を共有するチーム形成が必要であり、価値を共有する人間社会、企業間での共創なくして大きな価値は創造できません。

これら、社会の変化に歩調を合わせるように、JEITAもここ数年で大きく変わりました。2017年度より事業指針に「Society5.0の推進」を掲げ、業種・業界を超えて社会課題の解決に向き合う、あらゆる産業が集うプラットフォームとしての業界団体になるべく、変革に取り組んでまいりました。会員制度に関する定款を変更し、IT・エレクトロニクス業界のメーカーに限らず、そのユーザー企業をはじめとするIoTに密接に関係する企業に正会員の門戸を拡げました。以降、多様な業種の皆様にJEITAの活動にご参画いただき、ここ数年、正会員数は右肩上がりに増加しています。

JEITAは業種・業界の枠を超えたルールの策定や標準化などに率先して取り組んでおり、製品ごとの分野別部会・委員会に加え、スマートホームやスマート保安といった業際分野となるテーマを新たに扱い、業種・業界を超えた議論を進めています。

大きな期待を担うSociety5.0を支え、さらに発展させるコミュニケーションネットワーク基盤が、今年から始まる5Gです。5Gは高速大容量、同時多点接続、超低遅延等の特性を持ち、特に超低遅延はMtoM(Machine to Machine)のコミュニケーションを可能として、リアルタイムでマシン同士が会話することで新たな価値を創造します。5Gの技術はさらに自営網をも構築でき、「ローカル5G」としてその活用が広がり、価値が多様化することに対しても期待が高まります。これはまさにコネクティビティの輪(範囲)が広がることを意味しており、新たな活用による価値創造の範囲が広がることが期待できます。

昨年12月、JEITAは5Gに関する調査結果をまとめ、5G市場の世界需要額は初期段階では年平均63.7%増で成長して、2030年には168.3兆円に拡大する見通しであることを発表しました。新たな市場創出の期待を集めるローカル5G市場の世界需要額は、2030年には10.8兆円にまで成長する見通しです。JEITAはIT企業のみならず、OT企業も参画しているという特性を活かし、IT企業とOT企業をつなぎ、共創を促すことで、5Gそしてローカル5Gの市場創出に取り組んでまいります。

JEITAは、新たなイノベーションや付加価値を生み出し、国際社会でリーダーシップを取っていくために、日本企業の国際競争力向上に資する事業環境整備にも取り組んでおり、デジタル化対応への税制要望や規制改革要望、さらには海外の産業界と連携した、保護主義の拡大阻止と越境データ流通の自由化を目指す活動などにも引き続き精力的に推進してまいります。また、CEATECをはじめとする、テクノロジーの社会実装を促す市場創出の取り組みもさらに強化していく方針です。Society5.0に向けた動きを加速させるため、社会全体に向けた発信を継続的に実施してまいります。

JEITAは産業と産業をつなぐ役として、新たなビジネス創出を促すことで、世界に先駆けた超スマート社会:Society5.0の実現とともに、日本経済のさらなる活性化やSDGsの達成に貢献していきます。政府をはじめ関係各所や会員と密に連携しながら、積極的に事業を推進してまいります。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の成功と、わが国のさらなる飛躍の年になることを心より祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

 
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