基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (35)

2019年12月4日

購買業務について回る不正行為③ ~中国工場の不正行為事例~

「不正許さぬ」徹底したポリシー

②発注先の決定

これについても購入価格の決定と同じように部品や材料、一定以上の金額の金型や設備などの発注先決裁者は、原則として経営トップである総経理または工場長とすること。

発注先に関して、工場技術部門や生産部門から「この業者でないとこちらの要求に応えられないから、ここに発注するように」などと発注先の指定があった場合は要注意です。

技術的な問題で他の業者からは購入できないこともあるとは思いますが、それを理由として業者と癒着しているケースもあります。

 

事例3

治工具などは納入され検収が完了してから代金の支払いをする仕組みにしているはずです。検収なしで支払うことはしていないでしょう。しかし、発注と検収を実施する部門や担当者が同じ場合には、不正が起きる可能性があります。発注と検収は違う部門が行うようにし、お互いに牽制する仕組みにしておきます。

ある日系工場では、生産用治工具の購入に関して生産技術部門を窓口にしていたところ、その生産技術担当者が長期にわたって業者にキックバックを要求していました。担当者の要求がエスカレートしたことで、逆に業者が通報してきて事実が判明しました。発注と検収を同じ窓口としていたこと、長期間担当を変更しなかったことでこのようなことが起きたのです。

 

事例4

会社では部品や材料だけでなく多くの物品を外部から購入しています。物品によって購入担当部門が異なる場合、購買業務コストが増大するだけでなく、それだけ不正の機会が増えることにつながります。ですから、なるべく購買窓口業務は、分散せずに集約するべきです。

ある日系工場では、部品や材料、金型や設備、副資材に加えて、食堂で使う食材まで全ての購入を購買部門が担当しています。もちろん、部門の中で購入品ごとに担当が分かれています。

その工場では、業者との癒着などの不正は認めない、許さないという方針でした。あるとき経営トップである総経理が任期となり新しく日本から赴任してきた人と交代しました。

 

この工場は既に設立してから20年近くたっており、現地化も進んでいました。日本人駐在員は何人かいましたが、総経理以外は部門責任者に就くことはなく、顧問という肩書でした。つまり、部門の責任者は全て中国人が就いていたのです。

新しい総経理は、着任後しばらくは工場の状況把握に努めていましたが、全体を把握した段階でいろいろな改革に取り組みました。

その一つが購買部門での不正防止でした。それまでに購買部門で業者との間に不正があったという事実はありませんでしたが、それを徹底するようにしました。具体的に何をやったかと言うと、購買部門の責任者を2年で定期的に交代させたのです。総経理は通算8年駐在していましたので、その間4人が購買部門の責任者を務めました。

もちろん責任者だけを定期的に交代すれば済むという問題ではありませんが、この人事には総経理の不正は許さないという強い姿勢が表れています。当然、購買部門を含めた全社にこの姿勢は伝わります。そうすることで不正をやろうという気持ちを起こさせない、これが大事なことです。

 

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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。