基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (30)

2019年8月28日

生産管理に関する中国工場の問題事例①

生産計画の変更が恒常的に発生

 

今回から工場の生産管理の話です。

工場生産管理の概要を記しながら、その中で、中国工場で見かけた問題点、起きている問題を取りあげますので、反面教師としていただければと思います。

 

生産管理とは

生産管理とは、次の4項目からなり、生産計画通り生産が進むよう、下記2~4の作業を行うことです。実際の生産では、全てが計画通りに進むことはありませんから、ズレが生じたときは生産計画(作業計画)を見直し調整することで、最終的に顧客と約束した納期に遅れが生じないように管理しなくてはなりません。

1.生産計画(作業計画)
2.生産段取り
3.進捗管理
4.在庫管理

 

1.生産計画(作業計画)

生産計画を立てるうえで必要なのが、
①工場全体そして各工程の生産能力を把握すること
②生産するために必要な部品や材料の所要量を計算して調達すること、です。

 

①生産能力の把握

各工程そして工場全体の生産能力を把握するために、どこの工場でも生産設備や作業者の作業に関して、標準工数が設定されています。加えて設備や工程ごとの能力バランスが大事になります。

中国工場の問題点

ここで問題になるのは、標準工数と実際の工数に違いがあることです。特に標準工数よりも実際の生産の方が工数がかかる場合、予定の時間(リードタイム)通りにものができない、コストも設定されている額よりも高くなるということになります。

こうした傾向にある日系中国工場は少なくありません。その原因として、日本で生産していたときの標準工数を中国工場でもそのまま適用していることがあります。日本生産時と同じ工数での生産を中国工場でもできる、または、やらなくてはいけないとして計画を作るのですが、中国工場では作業者の定着やスキルなどの問題があり、想定通りの工数での生産となりません。

こうした現実があるにも関わらず、本社からの強い意向や本社に都合の悪い報告はできないことなどがあり、標準と現実に差が生じた状態のままになっているのです。

 

標準工数は目標値に届いていなくても、現状を正しく反映させることが大事です。それは現在の工場の実力を示す指標のひとつであり、標準コストと実際コストとの乖離による財務上の矛盾を生じさせないためでもあります。工場現場サイドの努力により標準工数が改善されたときに、それを反映していくことで工場の実力や収益力を高めていきます。本社サイドもその改善を適切に評価すべきです。

※日程計画
生産計画は、日程計画を立てることでもあります。日程計画とは、個別の作業(加工)予定を立てることです。この日程計画は、その期間により「大日程計画」「中日程計画」「小日程計画」に分かれます。大→中→小となるに従って、精細な計画になっていきます。

・大日程
大日程計画は、業種によっても異なりますが、およそ3カ月~半年の計画で、販売(受注)計画と生産計画の調整を目的としています。

・中日程計画
中日程計画は、月ごとに立てられるもので、1カ月~3カ月の計画となります。

・小日程計画
週または旬ごとに立てられるもので、これをベースに現場では日々の作業計画を作成します。
中国工場の問題点

 

どこの中国工場でも、上記の日程計画(大日程、中日程、小日程)は作成しています。大日程計画の段階では大きな問題が起きることはありませんが、中日程計画・小日程計画の段階で問題が起きます。それはこの段階、特に小日程計画に組み込まざるを得ない短納期のオーダーを受けることが多々あるからです。

中国人営業担当者は、自分のノルマや営業成績のために工場の対応可否を確認することなく短納期のオーダーを受けます。

当然のことながら日々の作業計画にも影響を与えることになり、生産計画の変更が恒常的に発生しているのが実態です。

 

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◆根本 隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。