基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (27)

2019年7月10日

中国工場での品質管理の進め方 ~不良品を流出させない仕組みを作る~①

徹底した基本管理で不良発生防ぐ

 

中国工場での品質改善の順序

第25回の記事の中で、中国工場改善の順序は工場のレベルによって決まると書きました。

本来は工程の作り込みで不良の発生をなくすことが本筋であり求められることですが、中国工場では必ずしもそうではないのです。

日系も含め多くの中国工場の品質が悪いと言われる要因は、工場での管理や工程での品質の作り込みが不十分で不良を発生させていることにあります。一方で、その不良品を工場内で見つけ取り除くことができず顧客に渡ってしまっている、流出してしまっていることが2次的な要因としてあるのです。

 

顧客への不良品流出が継続的にあり顧客クレームが頻発している中国工場では、不良品の流出を止めることをまずやるというのがわたしの持論です。

不良発生対策がすぐにできるものはやるべきですが、不良発生対策というのは、往々にして時間がかかるものです。その間も作ってしまった不良品を顧客に納入し迷惑をかけ続けるのでしょうか?

顧客の立場になって考えてみてください。顧客は良いもの、良品だけの納入を求めているのです。ですから、自社工程の不良率に関係なく良品だけを顧客に納入する体制を作ること、つまり不良品の流出を止める体制を作ることが求められているのです。

まずは不良品の流出防止を実現し顧客に迷惑をかけている状況から脱しましょう。クレームが減れば顧客からも徐々に信頼されるようになります。その後に不良低減に腰を落ち着けて取り組むのです。

 

不良品を流出させない仕組みを作る

前置きが長くなりましたが今回は、不良品を流出させない仕組みをどのように構築するか、また、仕入先工場でどのように指導するかについて書きたいと思います。

不良品を流出させないためには、大きく2つの要素があります。

1.検査を機能させる
2.工場基本管理の徹底

検査で不良品を確実に見つけ取り除くこと。そして、工場基本管理を徹底することで見つけた不良品の処置を確実にして、外に出さないことです。そのためにやるのが次の項目です。

 

1.検査を機能させる

①検査で不良品を検出する

不良品を顧客に納入している工場でも、まったく検査をしないということはありません。

検査をしているにも関わらず不良品が検査から漏れて顧客にいってしまっているのです。つまり検査が機能していないということです。実施している検査で不良品を確実に検出することが必須です。

 

2.工場基本管理の徹底

①5S

②識別管理

③不良品が発生したときの処置

④製品の扱い

この①~④は、どこの工場でもやっているまさに工場の基本管理の部分です。

ここでのキーワードは「徹底」です。「だいたい」できているではダメなのです。100%完璧を目指さなくてはいけません。

 

ニューヨークの地下鉄の話を事例にとって説明します。

みなさんニューヨークの地下鉄が犯罪、しかも凶悪犯罪が非常に多いことで有名だったのはご存じだと思います。あるとき市の交通局長がこの対策に乗り出したのですが、行ったのは軽犯罪を徹底して取り締まることでした。地下鉄の軽犯罪とは、無賃乗車や落書きなどがあります。

ニューヨーク市民が求めていたのは、殺人や強盗などの凶悪犯罪の撲滅ですから、交通局長の対策には疑問だったようです。ところが、軽犯罪を徹底して取り締まることで軽犯罪はもちろん減ったのですが、なんと凶悪犯罪も激減したそうです。

軽犯罪を放置すると凶悪犯罪が発生します。つまり軽犯罪は凶悪犯罪を生む温床となっていたのです。

 

中国工場でも同じことが言えるのではないでしょうか。小さなミスや不良、ルールを守らないなどちょっとしたことを見逃したり放置していると重大な不良が発生する。そうした小さなことが重大不良を発生させる温床となるということです。

ですから、「これくらいはいいか」などと甘く考えるのではなく、基本管理を徹底して行うことが重大不良の発生を防ぐことにつながると考えてください。

 

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◆根本隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など。