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防爆機器 高まる需要。熟練技術者減、設備の老朽化「予知保全」強める

危険領域拡大に対応

爆発危険領域での安全を確保する防爆関連機器の需要が増加している。こうした危険場所は増える一方で、熟練技術者の不足や設備の老朽化などから危険性が増す傾向が見られる。

こうした中で、イーサネットの技術を使った新しい防爆制御への取り組みも進んでいる。防爆対応機器も、ワイヤレス化やネットワークカメラなどの利用も増えている。日本では防爆機器の認証機関に海外からの参入が増え、新たな動きになっている。

 

進む「ワイヤレス化」

ネットワークカメラ利用も

石油化学や鉄鋼、食品・薬品・化粧品などの製造現場での爆発事故は依然多い。設備の老朽化に加え、設備の現状を熟知しているベテラン技術者の不足などもあり、予知保全力の弱体なども指摘されている。最近はこうした管理・保守を外部に委託する工場が増加していることもあり、社員が自社の工場を詳しく把握していないことで、事故が起こることも多くなっている。

こうした危険領域での爆発火災などを防ぐ防爆関連機器は、制御機器、モーター、照明器具、計測機器など多岐にわたる。コントロールボックス、バリアリレー、プログラマブル表示器、リミットスイッチ、各種センサ、回転灯、バーコードリーダ、グリップスイッチ、避雷器、ソケット、パソコン、ケーブルグランドなどがあげられる。

また、防爆エリアにおける通信インフラを確保する「防爆ネットワークソリューション」の構築も進んでいる。防爆IP機器には、無線LANアクセスポイント、コントロールボックス、プログラマブル表示器、タッチパネル/モニタ、Webカメラ、コンセント、ブザーなども使用されている。

 

2015年8月31日の厚生労働省通達で、防爆構造規格のIEC(国際電気標準会議)規格改正に伴う見直しが行われ、16年4月1日から施行された。

今回の通達では、電気機械器具の防爆構造規格において、「構造規格」と「国際整合防爆指針2015」との一本化が志向されていたが、結局見送られ、従来通り2つの規格が共存することになっている。

国際整合防爆指針2015と構造規格を一本化することによる作業負荷の増加を避けた形になった。いずれの規格に基づいた電気機器でも検定を受けることはできるが、適用規格はいずれか一方でなければならず、両方の規格の一部分ずつを適用することはできない。販売する電気機器を日本市場だけに販売するのか、海外市場で販売するのかで、選択することが求められる。

 

国際整合防爆指針2015では、新たにグループⅢが設けられた。グループⅢの防爆機器は、それを使用する場所の爆発性粉塵雰囲気における粉塵の性質に応じて細分類を定めている。

また、国際整合防爆指針2015では、機能不全時も含め、防爆機器が点火源・着火源とならない度合いを示す機器保護レベル(EPL)を新たに導入した。

さらに、ケーブルグランド、ねじアダプタ、閉止用部品といったExコンポーネントなどについては、防爆機器に組み込んで使用し、単体では電気機械器具に該当しないため、法に基づく型式検定の対象にはなっていない。ただ、IEC規格では、Exコンポーネントなどは単体でも第三者認証の対象としているため、型式認定機関がExコンポーネントなどにかかわる認証書を発行し、図面、データなどを保有している場合は活用しても差し支えないとしている。

 

石油化学や鉄鋼など大掛かりなプラントでなくても、食品・医薬・化粧品の3品分野、半導体製造関連分野や有機溶剤を取り扱う自動車塗装関連分野、衣料クリーニング関連などでも爆発の危険性は高く、本質安全防爆機器の採用が広がっている。

爆発危険場所は、危険性の度合いおよび防爆電気設備の経済性などを考慮して分類されており、適正な選定が必要だ。

分類内容は、可燃性ガス、蒸気の放出・漏洩の頻度、爆発性雰囲気の存在時間により、次の3つに分類される。

0種場所=爆発性雰囲気が連続して存在するか、長時間存在する場所。1種場所=爆発性雰囲気が正常状態で存在する場所。2種場所=爆発性雰囲気が正常状態で存在することはないが、そのほかの状態で存在しても短時間しか存在しない場所。

 

「イーサネット」活用

低消費電力で「制御」実現

防爆構造の種類については、「耐圧防爆」「内圧防爆」「油入防爆」「安全増防爆」「本質安全防爆」「粉体充填防爆」「樹脂充填防爆」「特殊防爆」などがある。

「耐圧防爆構造」は、防爆性能を備えた容器の中に着火源となる電気機器を入れることで、容器内部で爆発が生じても容器の外部に爆発が及ばないようにした構造。内部爆発に十分耐える強度を持ち、容器の接合面の隙間から通じて火炎が外部へ着火しないことが要求される。容器が性能を満たすものであれば、内蔵する電気機器には制約はない。照明器具などの場合は、容器の一部にガラスなどを使用する。

「内圧防爆構造」は、容器の内部に空気、窒素などの不燃性ガスを加圧して満たし、容器外部の可燃性ガス・蒸気を着火源から隔離する方法。保護ガスの内部圧力に耐えること、保護ガスの漏洩が少ないこと、内圧低下時の保護装置を備えていることが要求される。内蔵する電気機器に制約はないが、保護ガスの供給設備、保護装置が必要で、小型の電気機器には経済的に適していない。

 

「油入防爆構造」は、着火源となりうる部分を絶縁油に浸すことで、着火源を可燃性ガス・蒸気から隔離する方法。絶縁油が外部からの塵埃、湿気などにより汚損されないように全閉構造であることが要求される。油を使用していることから、メンテナンスが難しく変圧器などの用途以外はあまり使用されない。

「安全増防爆構造」は、正常時の運転・動作時は、着火源として作用しない電気機器のみに適用する防爆構造。通常は着火源として作用しない電気機器でも、種々の環境で使用し続けると絶縁不良などで、電気火花などの着火源となりうるので、そうした着火源を生じにくいように安全度を増したものをいう。適用対象となる電気機器には制限がある。

「本質安全防爆構造」は、計測・制御・通信・警報などの低圧電気機器にのみ適用され、これらの電気回路で発生する電気火花には着火源として作用しないか、あるいはある限度内で作用しないように抑制される。

 

「粉体充填防爆構造」は、正常動作時に着火源を有しない電気機器に対し、着火源となりうる部分を石英粉やガラスの粒子などの充填物で完全に覆うことで着火を防止するもの。日本では法規上認められておらず、特殊防爆構造として扱われる。

「樹脂充填防爆構造」は、着火源となりうる部分を絶縁性のコンパウンドで包み込み、ガス・蒸気と隔離したもの。この防爆構造も日本では法規上認められておらず、特殊防爆構造として扱われる。

「特殊防爆構造」は、特定の防爆構造によらず、可燃性ガス・蒸気に対して防爆性能を有することが試験などで確認された構造。

 

「バリアリレー」は本質安全防爆構造の一種のリレー中継装置。爆発危険箇所にあるリミットスイッチや押しボタンスイッチなどのON/OFF信号を、非危険場所へ中継させる。爆発性ガス雰囲気の中で、汎用のリミットスイッチや押しボタンスイッチが使えるとともに、危険場所に配線する本質安全回路の断線・短絡・地絡や、非本質安全防爆回路のトラブルの波及など、あらゆるトラブルが生じても安全性を確保する。光電スイッチやブザー、ランプが使えるバリアもある。

こうした中でイーサネット技術を使った防爆制御ソリュ-ションが提案されている。

有線フィールドネットワーク「Advanced Physical Layer(APL)」は、IEEE 802.3cg 10SPEに準拠した全2重、2線式伝送で、1キロメートルの長さのイーサネット用の物理層について標準化し、フィールド機器の本質安全防爆を低消費電力で実現している。すでに、プロフィバス協会(PROFINET)、ODVA(EtherNet/IP)、FieldCommGroup(HART-IP)が本質安全防爆の詳細を規定することで合意している。

 

国内認証機関が増加

取得期間、大幅に短縮

一方、防爆構造の電気機械器具を日本国内で使用する場合には、日本で再度防爆認定を受ける必要がある。この認定は従来、産業安全技術協会(TIIS)が国内唯一の登録検定機関として業務を行っていたが、15年6月の制度変更で、海外の機関でも登録業務が可能になった。すでに海外からは、イギリス・CML、カナダ・CSA UK、オランダ・DEKRAの3社が外国登録型式検定機関として日本法人を設立して業務を開始している。

また、米・ULも検討している。防爆構造の機器需要が増加傾向の中で、従来は型式認定を受けるまでの期間が長いことで申請者からの不満が多かったが、型式認定にかかる時間が大幅に短縮されて、販売機会を逃さない製品の市場投入が可能になるとして、申請者からは好評だ。費用負担の軽減にもつながるとして期待する声も高まっている。

防爆機器には最近、タブレッド端末やデジタルカメラなどの採用も増えてきているだけに、正しい防爆知識と対策により、災害を事前に防止する取り組みがますます求められてくる。

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