基礎から学ぶ中国工場管理〜実例で学ぶ管理のポイント〜 (12)

2018年12月5日

赴任者のための現地(中国人)社員のマネジメント(その2)
-労務管理・リスクマネジメント-⑤

通訳は万能ではないと認識を

今回は、通訳に関するリスクについて書きたいと思います。

中国で仕事をするうえで通訳にもリスクがあることを認識することが必要です。異国の地で仕事をする生活をおくる場合には、大なり小なり言葉の壁というものが存在します。その存在をしっかり認識しましょう。多分みなさんには通訳が付くと思いますが、それで言葉の壁がなくなるということではありません。もちろん中国語がペラペラで通訳不要と言う方もいるでしょうが、全体としてみれば少数だと思います。

繰り返しますが、通訳を使っても言葉のリスクや問題は存在します。それは通訳側の問題の場合もありますし、通訳を使うこちら側の問題の場合もあります。そういう意味では、通訳を使いこなすのも中国で仕事をするうえで大事なノウハウのひとつです。

 

伊藤忠商事は中国で成功を収めていますが、その要因のひとつはこの言葉の壁・通訳リスクを正しく認識して対処したためと言われています。

こちらの言うことが正確に伝わるか伝わらないかは通訳の技量によってしまう部分もあります。みなさんが頭に入れておくべきことは、通訳は万能ではない、通訳を100%信用するのは危険だということです。常にこちらの意図が相手である中国の人に正しく伝わっているかに注意を払う必要があるのです。

こちら側に起因する通訳リスクの代表的なものは、日本人同士で話している感覚で通訳に対して話をしてしまうことがあります。日本でよく使われている口語を何気なく使ってしまいがちですが、通訳はまったくわかっていません。例えば「ハードルが高い」「パクる」などは理解していないので使ってはいけません。また、日本人独特の曖昧な表現「検討の余地がある」なども、そのニュアンスを通訳が理解するのは難しいと考え、使わないようにします。

 

他にも通訳を使った会議で中国の人に評判の悪いことのひとつに、日本人は話し相手である中国の人の顔や目を見ないというのがあります。議論が佳境に入ってくるとつい通訳と議論をしているようになってしまい、本当の議論の相手が通訳の先にいる中国の人であることを忘れてしまうのですね。

また、ちょっとした通訳リスクのひとつですが、こうした議論をしているときに通訳が自分の意見を入れて訳してくることがありますので、注意が必要です。

中国に赴任した方は、このシリーズで紹介したリスクがあることを頭に入れた行動を心がけてください。

 

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◆根本隆吉
KPIマネジメント代表・チーフコンサルタント。電機系メーカーにて技術部門、資材部門を経て香港・中国に駐在。現地においては、購入部材の品質管理責任者として購入部材仕入先品質指導および品質改善指導。延べ100社に及ぶ仕入先工場の品質改善指導に奔走。著書に「こうすれば失敗しない!中国工場の品質改善〈虎の巻〉」(日刊工業新聞社)など