FAセンサ市場 拡大基調が継続、半導体・工作機械・ロボット中心に伸長

2018年9月26日

人手不足と高精度生産 需要加速

FAセンサの市場が依然堅調な拡大を続けている。

半導体製造、工作機械、ロボット向けを中心に好調で、物流向けなど非製造業でも需要が増えている。IoTに代表される新たな流れのなかでFAセンサは「つなぐ」ための中核製品としての役割がますます高まっている。

少子高齢化、人手不足、人件費高騰が顕著に進む一方で、高精度、タクトタイプの短縮などFAセンサが補完するシーンは今後ますます増えることが予想され、市場はさらに拡大しそうだ。

 

期待高まる物流市場

日本電気制御機器工業会(NECA)の2017年度(17年4月~18年3月)の検出用スイッチ出荷額は1215億円で、16年度比111.8%となって、2桁の伸長となり、過去最高となっている。

FAセンサでも接触型に比べ非接触型の伸びが著しくいずれも2桁の伸びで、特に輸出は115.7%となっている。国内では安全関連のセンサが124.8%と大きく伸長している。人手不足を補うためのロボット導入が進んでいることも大きな要因となっているものと推測できる。

FAセンサを取り巻く市場は、ロボットをはじめ、半導体製造関連、工作機械、自動車関連、インフラ関連で旺盛な需要となっている。FAセンサの大きな市場である半導体・FPD製造装置は、日本半導体製造装置協会(SEAJ)の出荷統計では、17年度は2兆5352億円であったが、18年度は2兆7943億円が見込まれており、2兆円市場が継続する。

スマホの1台当たりの半導体の搭載数が増加し、画面の有機EL採用も進んでいる。IoTに伴う情報化で半導体を使用する、情報端末、カメラ、自動車の自動運転、ビッグデータ処理に伴うデーターセンター需要などで、半導体需要の山谷に期間が従来に比べ長くなり、スーパーシリコンサイクルに入ってきていることから、この高原状況が続くとする声が強まっている。

 

半導体・液晶製造装置と並んで好調なのが工作機械の出荷で、日本工作機械工業会(JMTBA)の17年の出荷額が前年比131.6%の1兆6455億円と過去最高を更新し、18年も1兆7500億円と2年連続で過去最高更新を見込んでいる。自動車、通信機器、建設機械などを中心に旺盛な需要が継続しており、今年の見込みをさらに上回るという強気の見方もでているが、工作機械用の部品の納期が長くなっていることから、計画通りの生産ができなくなっているところも多く、懸念されている。

工作機械同様にロボットの需要も著しい。日本ロボット工業会(JARA)の生産統計では、17年の生産額は前年比128%の9000億円台乗せとなっており、18年はさらに上乗せされて1兆円を突破し、1兆1000億円も視野に入ってきている。

国内では深刻な人手不足、海外ではアジアの新興国を中心とした人件費の上昇から生産自動化への投資意欲が高まっていることに加え、特に中国では人件費の上昇だけでなく、工場ワーカーが集まらなくなっていることから、ロボットなどの自動化機械への置き換えが進んでいる。

 

国内でも人手不足に加え、自動機やロボットでないと人では作れないものも増えており、自動化投資が取り組まれている。ロボットの稼働域周辺を柵などで囲まず、人といっしょの環境で稼働する協働ロボットの開発が普及を後押しする一因として挙げられるが、結果的にFAセンサの使用個数が増えることにつながっている。

ロボットはある意味でFAセンサの塊ともいえ、センサの使用個数が増えることはあっても減ることがないことから、今後の普及に伴い、さらにセンサ市場拡大を牽引するものと見られる。

最近は食品工場や薬品開発・製造でのロボット活用の取り組みが意欲的に進められており、先行き需要への期待が高い。ただロボットは、稼働させるためのシステムエンジニアの数が不足しており、導入が簡単に進まないという側面が懸念材料となっている。

 

FAセンサの安定した市場となっているのが、食品・医薬品・化粧品の3品業界である。製造ラインにおける各種認識・識別、不良品検知などの用途で、重要性を増しており、「安全」「安心」といったキーワードに即している。製品トレーサビリティ用途に加え、このところは人手不足などに対応して、ロボットを活用に向けた投資も積極的に行われていることから、今後もさらに期待市場として注目されそうだ。

そして、いま最も注目されているのは、物流関連業界でのセンサ需要である。AGV(無人搬送車)をはじめ、仕分け作業も含めた自律的な搬送システム実現に向けた取り組みが進んでいる。AGVでは、搬送軌道をフレキシブル化した自動走行でのインテリジェントセンサの技術開発が著しい。2Dや3Dのレーザーセンサ技術の応用しながら、搬送、追跡や障害物を検知しながら実現している。

今後はAI技術を活用して搬送履歴に基づいた最適な搬送経路策定や、搬送と作業を同時処理できるような開発も志向されている。

 

機能充実、各社進む差別化

FAセンサの中でも市場の大きい光電センサは、LEDや半導体レーザを光源にした非接触センサとして、主にワーク(製品・部品)の有無確認のために用いられている。

検出方式は透過型、回帰反射型、拡散反射型などがあり、年々性能が向上している。長距離検出には透過型が最適である。回帰反射型は、透過型で必要だった投光部と受光部の配線が不要で、その代わりにセンサの対向側に反射板を配置し、配線工数や設置工数を半減できる。

特に反射型の性能向上、コストダウンが最近顕著で、従来苦手であったワークの色変化や傾きに強いタイプや、水や油などの環境に強いタイプなども存在感を増してきている。

 

そのほか、超小型ヘッドで取り付けスペースが小さいアンプ分離型、非FA分野で多く使われる、AC電源で使用でき取り扱いが容易な電源内蔵型、取り付け場所を選ばず微小物体も検出できる光ファイバー式などがある。

特に光ファイバー式は、先端のファイバー部のラインアップが多彩で、取り付けや用途に合わせて選定がしやすくニーズが高く、数百種もラインアップをそろえているところもあり、あらゆる用途に用いられる。アンプ部も数値管理できるタイプが主流になってきており、パワーや精度、コストといった基本性能もさることながら、制御機器との通信機能、他センサとの互換性など各社さまざまな機能で差別化を図っている。

半導体や液晶製造装置では、微小物体検出用として、高精度、ローコスト、取り扱いやすいことから光電センサの需要が多く、大きな市場を形成している。最近は、小型化と長距離検出、高い保護特性など進化し、検出距離50メートル、保護特性IP69Kなどの製品も伸長している。特に耐環境性が高い製品は、従来接触式センサが用いられてきた工作機械などの分野でも採用が進み、装置設計の自由度を高めることに貢献している。

 

食品機械などの光沢検出、包装機械などでのマーク検出の分野では、従来色判別用光電センサが主力であったが、画像センサのローコスト化により、求められる速度や、検出内容により使い分けられるケースが増えている。カメラ、照明、カラーモニタを一体化したローエンドセンサの導入も増加傾向である。同センサは、色面積や印字有無判別、シール有無判別、シール異種混入判別、文字認識などが容易に行える。

3品業界では、このようにユーザーのニーズに合わせた用途限定センサや提案解決型センサなど専用センサの需要が高まっており、余分な機能を省くことでローコスト化が図られている。

光電センサは、オートチューニング機能など使いやすさを追求した機能が一般化している。また、多点制御や差動検出など入光量をアナログ的に制御できるアナログ出力の光ファイバー式光電スイッチもある。最近では通信機能も備え、PLCと通信して、設定値を集中管理できるタイプも普及してきている。自動感度補正機能も各社搭載しており、ファイバー先端に汚れによる光量低減が生じても自動的に感度を補正するだけでなく、先端部の清掃を行った後も自動で元の感度に復帰するもので、再ティーチングの必要がない。

 

また、光源に用いられているLEDの経年劣化による光量低下にも追従するタイプもある。

さまざまな対象物のインライン形状計測を実現した2次元形状計測センサは、帯状に広げたレーザ光を対象物に照射し、その反射光をCCDで撮像し、断面形状を計測する非接触型センサで、撮像情報から形状のプロファイルを生成し、対象物の断面形状(2次元形状)から、高さ・段差・幅・位置・交点・傾きなどの寸法形状を瞬時に計測。

近接センサは、耐環境性に優れて、高温・多湿、水中などで使用できるという、他のセンサにはない大きな特徴がある。直径が3ミリの超小型タイプや、オールメタルタイプなどラインアップも増え、金属体、非金属体の混流ラインでも使用できる。検出距離は、数ミリ~数十ミリが一般的だが、最近は長距離タイプも発売されている。

 

安全対策用センサもマットスイッチ、ライトカーテンなど、接触式、非接触式など多様で用途に応じ使い分けされている。中でもセーフティレーザスキャナは、ソフトウエアで危険領域を限定でき、ロボットが使用されている工程や、無人搬送車などにも搭載されている。

セーフティライトカーテンも、設計や取り付け・調整などの手間を省く改良がされ使いやすさが増している。光を用いた同期をすることで、省配線を実現、複数のセンサを使用しても干渉しない工夫がされているタイプもある。従来は誤作動による原因追求に工数がかかっていたが、LED表示や通信により、状況を知らせる機能も各社強化しており、導入後の工数も削減できる。

レベルセンサは、液面や粉体面が設定レベルになった時に信号を出力するセンサ。一般的なタンクや容器内の内容物のレベルを検出する用途が多いが、河川や湖沼の水位・水量測定、下水や排水の液面測定などにも利用されている。

 

最近では、災害防止の観点から設備を強化する取り組みが行われており、無線通信機能を持たせて遠隔地のデータを伝送できるタイプや、光ファイバーを用いた通信を採用し、強いノイズ環境でも使用できる製品も現れている。

さらに、自動車や二輪車などのエンジン周りや、外食産業の厨房にも採用されており、新規市場への浸透が進んでいる。レベルセンサに温度センサを内蔵し一体化することで、スペースの削減とトータルコストの低減も図られている。

超音波センサは、比較的超距離・広範囲の検出ができるのが特徴であるが、近距離での特性も向上している。また、超音波センサを複数同時使用時の音波のクロストーク対策として、自動同期機能を内蔵した製品も発売され、信頼性も高まっている。

 

自動運転への応用も進展

ロボットの用途開拓が進むなかで、測域(レンジ)センサのアプリケーションも拡大している。測域センサは、周囲の障害物などの状況を把握する。レーザ光線で対象物までの距離を測定し、270度の視野に対して自分を中心に平面地図のような測域情報を得ることができる。

長距離で高感度の検出が可能なため、最近では立体駐車場や、トンネル前での車両の高さ検出など、屋外や交通分野、さらに安全分野を中心に用途が拡大している。この領域では、画像データと組み合わせて精度を向上させる取り組みもなされており、活用の場が広がっている。

MEMS技術を応用したセンサは、フローセンサ、加速度センサ、非接触温度センサなどが挙げられる。フローセンサは、外乱による影響が少なくなり、高速応答を実現している。高感度のMEMS非接触温度センサは、広い空間でも人のセンシングが可能で照明環境に強く、静止している人もセンシングする。

店舗や駅構内など、人の混雑状況をリアルタイムにセンシングすることで空調制御などのほか、防犯対策用としても需要が伸びている。加速度センサは、ロボット制御などでも活用されており、小型化、高精度化が年々進んでいる。MEMSセンサでは、モーターなどの音や振動エネルギーの異常振動を察知し、予知保全に応用できるMEMSセンサシステムもある。

 

FAセンサ技術の波及として期待されているのが自動車の自動運転への応用だ。自動運転で使用されるセンサは多岐にわたるが、センサの集合体が自動運転を支えているだけに、その波及効果は大きい。自動車関連では、EV(電気)カーの普及に伴う関連需要や、自動車ボディの軽量化に関連投資などへの期待も高まっている。

センサの周辺を支える機器も充実してきている。コネクタ、配線システムなどは接続性やインテリジェント化が進んでおり、センサの機能さらに引き出す役割を果たしている。そのひとつとして注目されているのが、センサデータの活用領域を広げるIO-Linkだ。ⅠO-Linkは拡張性に優れた通信で、いままで利用できなかったセンサ内部の情報をユーザーがアクセスでき、しかもリアルタイムでクラウドベースでも利用できることで、最適制御、予知保全などへ大きく利用領域が広がる。

センサのON-OFF情報だけでなく、状態管理、緊急判断といった場面でのAIと連携した活用も進むことが予想され、センサがものづくりを大きく左右するキーパーツとしての重要性をますます増しそうだ。