富士キメラ総研 2018 人工知能ビジネス総調査 SaaS利用進む 30年度に60%

富士キメラ総研は労働人口の減少や長時間労働、業務プロセスの改善といった課題解決のために注目されているAI(人工知能)ビジネスの国内市場を調査し、結果を「2018 人工知能ビジネス総調査」にまとめた。

■AIビジネスの国内市場

16年度はAI関連技術で多くの実証実験(PoC)がスタートし、17年度はAIの本格運用に向けた導入期となった。19年度から21年度にかけて市場は成長期を迎え、AI関連技術は企業経営に不可欠なIT技術として浸透していくとみられる。

サービスはSI中心に市場が拡大するとみられ、AI実装に向けたコンサルティングや導入検証を経て、AI環境の本格的な構築が進むとみられる。

アプリケーションはAI搭載製品を中心に市場が拡大する。16年度はデータマイニング、テキストマイニングなどアナリティクス関連製品のソフトウェア導入が中心となったが、今後は営業支援システム、デジタルマーケティングなど、SaaS化が進んでいるアプリケーションにおいてAI搭載が進む。16年度のSaaS利用の割合は全体の31.1%にとどまったが、30年度には60.2%とソフトウェア導入の割合を上回る。

プラットフォームは、クラウドやAPIで提供されるAI/コグニティブサービスに対する需要が高まっている。

■業種別動向

業種別でみると、金融業の割合が大きく、組立製造業、情報通信業と続く。金融業ではAIに対して多額の投資を行っているものの、実証実験が長期化しており実用化は2018年度以降に進むとみられる。製造業ではIoTとの連携が加速しており、他業種よりも早期に実用化が進む。そのほか、働き方改革という業種共通の課題を解決する技術が注目されている。

プロセス製造業ではロボットや機器に設置したセンサーデータをもとにAIによる制御や管理を行う工場内管理が中心となっている。特に注目されるプラント管理は、実証実験が長期化しているものの、プラント自体の企画・設計から施工、運転・メンテナンスと幅広い領域でのAI活用が期待される。また、バイオ産業に参入する企業では膨大な研究データや実験データを、AIを活用して解析し、新製品の発見や開発などにつなげるといった取り組みが広がっている。

組立製造業ではセンサーデータをAIで解析し、故障予知、省エネ、機器稼働の最適化、画像による検品や品質管理などで活用が進むとみられる。経営/生産管理では、需要予測、生産適正化の精度を高める手段としてAIの活用が期待され、機器稼働管理は、稼働状況の確認や故障予知、消耗品の補充など、主にアフターサービス分野での需要が増加する。また、製品開発では、ユーザー評価を総合的に解析して製品開発につなげるといった活用が考えられる。

金融業では積極的にAIの導入が行われており、2016年度はAIビジネス市場全体の30.1%を占めた。顧客管理系ではコンタクトセンターでのAI導入がメガバンクに続き、地銀、証券、保険などでも進んでおり、市場は拡大していくとみられる。審査/予測系では、証券会社における取引システムにAIによる株価予測機能を組み込む動きがみられる。

公共/教育業では洪水対策、地震対策、台風対策、土砂災害対策など防災対策でAIの導入が進んでおり、実証実験段階の案件が多いものの、徐々に実導入案件も増加している。住民サービス支援は、チャットボットやコンタクトセンターでの問い合わせ対応で導入が検討されている。

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