【熱対策特集】「安定稼働」「高い信頼性」確立

2018年3月28日

拡大する関連機器市場

制御盤やデーターセンターでの熱対策の重要性が高まっている。機器の小型・薄型化や、コンピュータの高集積化・大容量化などから発生する熱は増加傾向を見せており、対策も重要性を増している。地球温暖化や、機器の信頼性へも影響を及ぼすだけに各方面で取り組みが進んでいる。

制御機器、電子機器などを収納し、屋内、屋外で外部の温度環境から内部機器を保護し、内部機器への直接接触に対する保護を行うキャビネット、ラック、ボックスは、工場、事務所、ビル、店舗、集合住宅などの設備に必要不可欠なものになっている。

こうした設備の内部機器はより高度化して配線、搭載数も増加傾向にあり、内部の温度は上昇、その発熱量によっては自然換気で改善ができない場合があるため、その際は換気扇、熱交換器、クーラーなどの熱対策機器を取り付ける必要性が生じてくる。

これらの熱対策を施したキャビネット、ラック、ボックスとその関連機器の市場は、IT関連でデーターセンター、社会インフラ分野で太陽光発電システムやスマートグリッド機器、FA分野で省エネ関連機器、ホーム分野で分電盤、計測器などに関する投資が増えて、拡大している。最近はデーターセンターや工場内で、サーバ機器の高集積化、CPUの高性能化による発熱量の増加に伴い、空調設備で消費される電力量が急増しており、温暖化やエネルギー問題を助長することが懸念されている。また、制御盤に収納される機器の小型高機能化に伴い、小型キャビネットや樹脂ボックスでも内部の高温化が問題になっている。

配電盤、制御盤のラックシステム内の温度上昇は、電子機器・装置の寿命を短くするばかりでなく誤動作を引き起こす原因になっており、温度上昇によるトラブルを未然に防ぐルーバー、熱交換器、ファン、クーラーなどの熱対策機器が求められている。

消防法では、建築物の火災発生時に人命の安全確保と、初期消火のために非常電源を確保するため、認定された低圧で受電する非常電源専用受電設備の配電盤、分電盤は認定証書が公布され、この認定証書を貼付した低圧で受電する非常電源専用受電設備の配電盤、分電盤(耐熱形配電盤等)は、規定の範囲内において使用することができる。

耐熱形配電盤等の区分としては、一種耐熱形配電盤、一種耐熱形分電盤、二種耐熱形配電盤、二種耐熱形分電盤に大別される。

また、金属製汎用キャビネット、合成樹脂製汎用ボックスの標準使用状態は、周囲温度40℃以下でかつ24時間の平均値は35℃以下と規定されており、ヒーターの近くなど、この温度以上の場所への設置には熱対策機器が必要となる。

 

多様化する冷却方法

これら熱対策機器の分類に当たっては、まず工場、事務所、店舗などの屋内で使用されるか、工場、店舗などの敷地やポールなど屋外で使用されるかの違いがある。

屋内用の場合、温度障害、結露・高湿度などの問題があるが、最も重要なのは高温対策だ。この対策としては、自然換気、強制換気、強制放熱、強制冷却、局所冷却などが考えられる。

自然換気にはさまざまなキャビネットに取り付けできるルーバー、フィルターカセットなどが利用される。ルーバーには、ステンレス製、角丸、R形などがある。

盤内を強制的に換気し、効率の良い熱対策を行う強制換気には盤用換気扇、換気扇付きルーバー、換気扇付きフィルターカセットなどが使われる。盤用換気扇には樹脂タイプ、金属タイプ、防湿タイプ、低騒音のタイプなどがある。

密閉状態の盤内の熱を効率的に放熱し、電子装置を熱・ほこりによる障害から守る強制放熱には、天井取付型、側面取付型などの盤用熱交換器が、密閉状態の盤内を低い温度に冷却し、電子装置を熱・ほこりによる障害から守る強制冷却には水冷熱交換器、コンプレッサークーラー、電子クーラーなどが使用される。それぞれ、用途に応じて側面取付型、天井取付型、耐食性タイプ、高効率タイプなどが用意されている。

屋内でも水滴がかかる場所の高温対策用や、屋外用としては、フード付きのルーバー、ステンレス製ルーバー、ステンレスフード付き換気扇、屋外仕様盤用熱交換器、小型屋外電子クーラー、屋外電子クーラー、屋外コンプレッサークーラーなどを使用する必要がある。

キャビネット内の冷却に最も効果的なのは、電子クーラーで、さまざまなタイプがある。特にキャビネットの熱対策と環境負荷低減を行える小型・高効率の電子クーラーが増えてきている。

電子冷却素子とアルミフィンを採用した高性能ペルチェユニットを組み込んだ電子冷却式のクーラーは、設計を工夫することで、消費電力を従来機種に比べて大幅に減らし、エネルギー効率を表すCOP(成績係数=冷却能力/消費電力)が高いタイプが登場している。

冷却式のコンプレッサークーラーは、高温の工場環境では使用に限界があるが、水冷式の場合、周囲温度に関係なく安定した冷却が行える。キャビネット内の空気を冷却ファンでラジエーターに送風し、低温空気としてキャビネット内に戻す仕組みで、キャビネット内の熱がラジエーターによって冷却水に伝達され、水と共に外部に移動する。

 

進展する新冷媒開発

また、地球温暖化が問題視されるなか、地球環境に配慮したノンフロンタイプのコンプレッサークーラーが主流になりつつある。新冷媒「HFO-1234yf」などを採用、フロン排出抑制法対象外のため、廃棄時のフロン回収や使用時の簡易点検が不要となる。

その他の冷却方法として通風型キャビネットの自然換気には遮光板付きキャビネット、フード付きルーバーが、密閉型キャビネットの自然換気には遮光板付きキャビネットが、通風型キャビネットの強制換気には換気扇付きルーバーが使われる。

これら電子クーラーなどの熱対策機器を設置するときの注意としては、熱対策機器をキャビネットに設置する場所は、周囲の壁、その他障害物などから200-300ミリメートル離さなくてはならない点がある。キャビネット内側の内部機器からも同様に離す必要がある。距離が近いと空気循環が悪くなり、冷却能力が低下する。ファン、フィルター、端子などのメンテナンスができる位置に設置することも重要。

さらに、設置の際には、空気循環がショートサーキットしないように注意する。ショートサーキットとは、通風を妨げる障害物などにより、熱対策機器の吹出口から出た風がそのまま吸気口に吸い込まれる現象で、これにより、盤外側では吸気温度が上昇し、盤内側では吹出口から出た冷風が盤内全体を循環できず、結果として十分な冷却能力が得られなくなる。

盤用クーラーは、密閉型のキャビネットに設置しなければならない。換気口や電線引込口が開いているような密閉性の悪いキャビネットで運転を続けると、冷却能力の低下や結露によるトラブルとなる。

また、盤用クーラーの天井取付型は水平に、側面取付型は垂直に取り付ける必要がある。水平、垂直が保たれないと、キャビネット内への漏水、コンプレッサーの寿命低下など故障原因になる。

また、熱対策機器は、日常点検や定期点検でのメンテナンスが重要。日常点検においては、フィルターの状態を確認し、汚れが目立つ場合は清掃を行う。定期点検においては、ファンモータの異音発生や停止、熱交換フィンの目詰まり、ドレンパイプの目詰まりなどが発生していないか確認し、必要に応じて修理、交換や清掃を行わなければならない。メンテナンスを行わないと冷却能力の低下や故障の原因となる。

 

高まるIoT関連需要

今後の市場としては、大幅な需要増が見込まれるIoTを、都市や道路、公共空間や屋外施設などの、さまざまな屋外環境で構築するための熱対策を施したボックスが伸長しそうだ。ファン、避雷器、電源、監視カメラ、センサや、デバイスをIoTシステムと接続する装置などを内蔵し、電波透過性に優れた高強度・難燃性樹脂、高い防水・防塵性と内部機器熱対策で内蔵機器を守っている。屋外ではカメラなどの防犯・監視システムが各所に設置され、防災無線、太陽光発電関連の施設もあり、携帯電話の小規模基地局の数も増えている。こうしたシステムに対応する屋外用の熱対策通信キャビネットも需要が着実に拡大している。

今後の熱対策機器の課題としては、熱対策をより効率化すると共に、温度上昇試験、荷重試験、防塵試験などの性能評価試験を重ねて行い、さらに信頼性を高めていく必要が求められている。

キャビネット、ラック、ボックスに内装する制御機器、電子機器が多様化し、キャビネット自体の使用機会もIoTの進捗で屋外を中心に増えるなか、今後も小型化、高効率化、省エネを重視した熱対策機器の開発が進むであろう。