産業用ロボットを巡る 光と影 (8)

■ドクターブレードのシェア日本一の「ドクター製作所」 初心者が見事に成功!

ドクター製作所は、製紙・製鉄機械になくてはならない「ドクターブレード」という、ロール表面の汚れや異物を取り除く装置を製作している会社です。この会社がなぜ産業用ロボットを導入したのか、その契機等を聞きました。

Q. ドクター製作所の優れている点は?

35年積み重ねたノウハウで、材質の選定から独自の設計・加工・組み立てができるため、お客さまのニーズに合わせて製作ができます。「ドクターブレード」において、ここまで専門性のある会社はほかにありません。

出荷後のアフターフォローも丁寧に行っておりますので、お客さまからとても定評があり、おかげさまでシェア日本一を継続しております。

Q. 産業用ロボット導入の契機は?

溶接作業者のベテラン化です。実は、以前にも一度導入を検討しておりましたが、新しいものや作業に対する不安、「ロボットではベテラン技術者に劣るのではないか」という現場の声もあり、ロボット化に踏み切ることができませんでした。

そんなときある鉄骨製造会社を訪問すると、ロボットが溶接をしていたのです。弊社のベテラン社員たちも実際に目で見て驚嘆し、会社としてロボット導入にかじを切ることができました。

Q. 産業用ロボットを導入して良かった点は?

新人が溶接をマスターするには10年かかりますが、溶接ロボットを使えば初心者でも溶接ができるようになります。ロボットの導入がきっかけで他部門の社員も溶接に興味を持ち、コミュニケーションや相互理解が深まったことも意外な収穫でした。

また、3K (きつい・汚い・危険)を回避することで職場環境の改善ができました。作業場の省スペース化により、これまで環境的に難しかった空調の整備等も進めています。

Q. 産業用ロボットで苦労したことは?

ソフトの方は若い社員がやれば、何の問題もありません。

ハードの方は、条件だし(電流・電圧の選定)に苦労しております。ただ、これは経験を積めばできるようになることですし、この苦労は弊社のノウハウになるため、弊社だけでなく各企業は望んでやるべきだと思います。

Q. その他、導入にあたって御社ではどのようなことをされましたか?

人員の配置換えです。溶接部門にはベテラン社員が多く固定観念が強いため、ロボット導入を機に思い切って溶接経験のない若い社員を配置しました。

この配置転換が良い方向に進みました。溶接に関する潜入知識がないために、かえってロボットでの溶接作業がスムーズにいっております。

もちろん、ただ若いだけでなく、新しいことを取り入れるのが得意な社員を選定することが重要だと思います。

Q. 産業用ロボットを安川電機にしたのはなぜですか?

導入にあたって溶接ロボットに定評のある複数のロボットメーカーからのプレゼンテーションを受けました。安川電機は「初心者でもすぐにティーチング作業ができること」という弊社の意向をくんで富士ロボットを紹介してくれたのに対し、他のメーカーからは「初心者がすぐに熟練のティーチングを行うなんて不可能。年月をかけてティーチングに慣れてください」との回答でしたので、安川電機に決めました。

おかげさまで、製品のほとんどが一品一様にもかかわらず、ロボット溶接中に次のティーチングが終了しています。富士ロボットを紹介してくださった安川電機の担当者さまには大変感謝しております。

Q. 富士ロボットのティーチングソフトはどうですか?

すぐに二つ目を購入しました。

弊社のような全くのロボット素人でも、ゲーム感覚で簡単にティーチングできますし、キャリブレーション機能があるためティーチングの微調整をする必要がありません。ロボットが弊社に初めて設置された次の日から溶接ロボットが稼働しました。これにはロボットメーカーさんも「ソフトからのデータなのに、なぜ現場で微調整無しに稼働できるのか?」と驚いておりました。

溶接現場でなく、設計室でティーチングを行えることがうれしく、弊社を見学に来たお客さまからも「3Dと連動してロボットを稼働する、最先端の技術を取り入れている会社」との評価を頂いております。

◆山下夏樹(やましたなつき)
1973年生まれ。富士ロボット株式会社(http://www.fuji-robot.com/)代表取締役。産業用ロボットコンサルタント。サーボモータ6つを使って1からロボットを作成した経歴を持つ。自社のオフラインティーチングソフトでさまざまな現場で産業用ロボットのティーチング工数を10分の1にするなど、生産効率UPを実現してきた。さまざまな現場での問題解決の方法を知る、産業用ロボットの導入のプロ。コンサルタントは「とりあえず無償相談から」の窓口を設けている。

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