IDEC 舩木俊之 代表取締役会長兼社長に聞く

22年度 売上1千億円目指す 新規事業に制御技術活用し「システム」確立

APEMグループを子会社化

IDECはスイッチを中心とした制御機器だけではなく、環境エネルギー、農業、ファインバブルなど新規事業にも積極的に投資を行い、経営理念にある「社会貢献を念頭においたものづくり」を行っている。2016年末には仏スイッチ大手のAPEMグループの子会社化を発表。さらにグローバル化を加速させている。同社の取り組みや事業方針について、舩木俊之代表取締役会長兼社長に話を聞いた。

-事業の進捗について聞かせてください

2022年度に1000億円、営業利益率15%を目指して活動を行っています。今期に関しては上期に厳しい市況が続いたものの、下期から回復基調にあり、売上410億円を見込んでいます。農業、ファインバブルなど新規事業においても、投資段階から事業として収益が見込める状態まで成長してきました。

-APEMグループを子会社化します

非常に大きなシナジー効果を期待しています。APEMグループは世界に14の製造拠点と10の販売拠点を持っており、売上規模も約120億円、営業利益率も16%以上と業績も好調です。

APEMグループとは以前より提携関係にありましたが、製品領域や対象市場の重複も少なく、地域特性やビジネスモデル、市場戦略における補完性も非常に高いです。買収は実質2カ月という極めて短期間のハードな交渉でしたが、双方にとって非常に良い買収になりました。

-グループ化で期待することは

欧州、北米を含めた多数の生産・営業拠点と、優秀なマネジメント人材がIDECグループに加わることで、一気にグローバル体制を構築できる環境が整ったことが大きいです。また、グループ化により提供できる製品領域が大きく広がりりました。

当社が従来提供していた製品の市場規模は約1500億円でしたが、建設機械や農業機械といった特殊車両などの市場を含め、約3400億円の市場に対してビジネスチャンスが広がりります。共同開発、共同購買、製造能力最適化も積極的に進めます。

APEMグループには優秀な若い経営層がいるため、人的交流や技術交流を活性化しながら、自主性を尊重してシナジー効果を追求していく予定です。

-海外事業についてはどの様に取り組みますか?

各地域でAPEMグループとの補完関係を活用します。欧州はIDECブランドで高い評価を頂いており、APEMグループの販売網と人材を生かし拡販を進めていきます。北米もIDECとして200以上の代理店がありますが、APEMグループとの重複も少なく、製品とあわせ補完的なマーケットポジションにあるため相乗効果が期待できます。アジアも従来からの当社の強みを生かしながらAPEMグループの製品販売を進めます。

また、IDECの海外拠点では現在日本人責任者が多いですが、今後は現地の優秀なスタッフに経営を任せられる体制に変えていきます。グローバル化に合わせ、(社内の)英語公用語化も進めています。

-製品戦略について教えてください

2017年1月に主力製品である押ボタンスイッチや表示灯などのコントロールユニットで、コンタクトブロックの統一化を行いました。従来品を採用いただいているお客様にも互換性を考慮しながら、安全性や利便性を大幅に向上し、シェアアップに寄与すると考えています。生産面でも、原材料や色を統一することで、コスト削減効果が期待できます。今後もIoTの普及やロボット活用現場の広がりなど変化に対応しながら、既存事業の強化を進めていきます。

-新規事業はどうでしょうか

当社のコア技術である「制御技術」を活用した事業に引き続き注力していきます。再生可能エネルギーは、従来から取り組んでいるメガソーラー事業やパワーコンディショナ事業に加え、小型風力発電の実証実験を米国で行っています。農業事業については、メガソーラー事業を目的に設立した兵庫県佐用町との共同事業を拡大し、中規模なグリーンハウスを建設し、事業として採算を取れるようなトマトの生産体制を構築しています。当社のトマト「夢茜」は、試験販売したところ、販売開始後すぐに売り切れるほど高い品質が評価され、食料自給率が低いハワイでも同様の取り組みを始める予定です。

ウルトラファインバブル発生装置「GaLF」についても、「植物育成」「工業用途の洗浄」「食品洗浄」「鮮度保持」「生物濾過」これら5分野に注力し、まずは来年度に2~3億円の事業規模を目指しています。協働ロボットも当初は食品業界と梱包工程にターゲットをしぼり、来年度に3~5億円のビジネスに育てる予定です。

-今後の抱負について聞かせてください

新規事業は農作物や水、電気を売るのが本来の目的ではなく、当社の制御技術を活用した「システム」を確立することが目的です。その「システム」を通じ食糧・エネルギーといった社会問題解決につなげながら、当社の中核をなす制御機器製品などの事業を着実に成長させ、中期経営目標に掲げた2022年度売上1000億円、営業利益率15%達成を目指します。

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