富士経済レポート FA向け画像システム 20年、6854億円に拡大 カメラや観測・測定牽引

富士経済(東京都中央区、清口正夫社長)は、画像処理システムの2020年世界市場予測レポートを発表した。FA向け画像処理システムは、20年には15年の21%増となる6854億円になると予測している。レポートでは、FA向けの単体機器12品目と検査用機器5品目、観察・測定関連機器5品目、都市アプリケーション向け10品目の世界市場の現状を調査した。

FA向け画像処理システムは、人件費の高騰や品質安定の向上などを背景とした製造システムの自動化の流れを受けて需要が世界的に増加。15年は中国の景気減速の影響で設備投資の抑制があったが、通年ではスマートフォン関連の設備投資拡大を受けた製造装置向けや、自動車関連の検査向けの増加により拡大し、全体で5645億円となった。

16年は、前半はスマートフォン関連の設備投資計画の遅延により需要は低調だったものの、人件費高騰への対応や品質の安定などのため生産システムの自動化への取り組みが進んでおり、目視検査などの代わりに画像処理システムを導入するケースが増加。15年比2%増の5761億円になる見込み。

20年にかけてはカメラ分野や観測・測定関連機器分野が牽引して市場が拡大。カメラは赤外線サーモグラフィ低価格化、観測・測定関連機器は非接触三次元測定器の自動車分野での需要増加を予想。画像処理システムはアナログからデジタルへの移行が進み、現状、Camera
Link採用を中心に8割以上がデジタル化している。欧米やアジアでは9割以上がデジタル化し、特にGigE、USB3.0などのカメラインターフェース対応商品が増加している。

個別製品では、FA用エリアセンサーカメラは主流だったCCDからCMOSイメージセンサーの採用が増加。各社が高速デジタルインターフェースへの対応を強化し、GigEやUSB3.0対応のラインアップ拡充が進んでいる。欧米ではUSB3.0、中国ではCoaXPressの採用が増えている。また高画素化で4~5メガクラスの需要が増加している。

16年は、前半は中国などのスマートフォン関連の設備投資計画の遅延により苦戦したが、4月以降は設備投資が復調し、400億円になる見込み。今後もスマートフォンやタブレット関連、自動車関連の設備投資が続き、半導体や電子部品関連の装置メーカー向けの増加を予想。20年には476億円に拡大すると予想している。

画像処理装置(筐体型)は、人件費の高騰や労働力の確保、品質安定の向上などの要因による世界的な生産システムの自動化の流れに伴い、市場が拡大。スマートフォン関連の製造装置向けは落ち着きつつあるが、自動車関連の検査向けが増加。今後、中国や東南アジアで組み立て、色の確認、汚れ・傷検査などで画像処理を活用した自動化用途で拡大を見込む。16年は867億円で、20年には1005億円になると予測。

またレポートでは、都市アプリケーション向けの画像処理システムの世界市場も調査している。15年は世界的に防犯・テロ対策意識の高まりにより、セキュリティ分野の市場の伸びが顕著だった。人力では対応しきれない場所・地域の監視や広範囲監視のために画像処理システムの需要が高まっている。交通分野は、定点監視による撮影映像量が膨大となり人力によるモニタリングが困難になってきたため、画像処理システムを活用した自動化が欧米を中心に進んでいる。市場は15年が2兆597億円で、16年に2兆2323億円、20年には3兆7129億円になると見込んでいる。

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