操作用スイッチ特集 半導体製造・自動車関連が堅調 医療関連も有望市場 操作性・視認性が向上

操作用スイッチの市場が底堅く推移している。インフラ関連の需要が継続していることに加え、設備投資も比較的堅調な動きとなっている。日本電気制御機器工業会(NECA)の2015年度(15年4月~16年3月)出荷額は388億円(前年度比3.1%減)となったが、16年度上期は前年同期比1.4%減となっている。製品傾向は小型・薄型化に加え、環境特性の向上、省配線・省工数化、DC電源対応、デザイン性などが重視されている。

操作用スイッチの出荷額は、NECAが産業用や業務民生機器用を中心にまとめており、15年度の出荷額は、前年度比3.1%減の388億円となっている。輸出は3.6%増と前年度を上回ったが、国内が6.0%減少したことで、前年度割れとなった。この結果、輸出比率は1.1?増加の32.2%とスイッチ全体の3分の1まで拡大し、過去最高になっている。
輸出地域別では、中国向けが全体の3分の1強まで高まる一方、北米向けの販売が減少している。産業分野別では、工作機械、自動車部品向けが増加し、開閉制御装置向け、民生電子機器向けに減少傾向が見られる。
16年度の出荷は、同2.1%増の400億円を見込んでいるが、上期は前年同期比1.4%減の198億円となっており、若干マイナスとなっている。
操作用スイッチの統計は、NECA以外でも、電子情報技術産業協会(JEITA)が、家電など民生機器用や車載用などの統計をまとめている。これらの生産を加えると操作用スイッチとしての市場はさらに大きくなる。
操作用スイッチ市場を取り巻く環境は、社会インフラ整備から、ビルや公共施設などの投資が継続し、受配電盤、制御盤、エレベータや空調関連での需要が継続している。今後、東京オリンピック・パラリンピックに向けた投資がさらに加速するものと見られる。
製造業で自動車、半導体製造装置、工作機械、電子部品実装装置、ロボット、3品(食品、薬品、化粧品)関連機械などが比較的安定した需要を維持している。特に、半導体製造装置、自動車は好調で市場を牽引している。
薬品を含めた医療関係のスイッチ需要は今後の有望市場として各方面から注目を集めている。病院などの医療機器、介護などの福祉機器、心身の強化に向けた健康機器など、さらには、温水洗浄便器用など、関連機器の需要が今後右肩上がりでの増加が見込まれている。
日本の医療機器が海外へ輸出される割合も増えており、国内外での市場拡大に期待が高まっている。NECAのスイッチ業務委員会では、医療機器市場でのスイッチの動向を把握するため、大学や関係機関への調査活動を実施した。この結果、スイッチが多く使用されている機器として、電子内視鏡、透析器、酸素供給装置(人工呼吸器)などを挙げている。
医療機器は人命に直接影響を与える機器であることから、予期せぬスイッチ操作でヒヤリハットにつながるケースも多いと言われる。スイッチ業務委員会では、こうした予期せぬスイッチのON・OFFを防ぐ仕組み、スイッチの状態が容易に分かる仕組み、スイッチの操作方法の統一といった、スイッチの使用に関する提言をまとめ、これを切り口にした医療機器業界の市場開拓への取り組みを強めることにしている。
また、スイッチ業務委員会ではこのほかに、農業関係のスマートアグリ市場のスイッチ需要についても研究を行っている。
操作用スイッチは、押しボタン、照光式押しボタン、セレクタ、カム、トグル、ロッカー、フット、多方向、デジタル・DIP、シートキーボード、タクティルのほか、イネーブルやセーフティなど安全関連で、多種多様なスイッチが使用用途によって使い分けされている。

環境特性・デザイン重視

製品全般に小型・薄型・短胴化傾向はほぼ一巡し、現在は安全性、信頼性、保護構造、デザイン性などをポイントにした開発が進んでいる。中でもデザインと保護構造の進展は著しい。機能を果たせば良いとされていた操作用スイッチであるが、最近は搭載機器とのマッチングを重視する傾向が強まってきている。
スイッチ筐体をメタル調の素材にしたり、本体の色合いを一般的に黒が多い中で、赤や橙といった目立つスイッチも増えている。こうしたデザインはスイッチの機能を果たせば良いという従来の考えから、スイッチも目立たせることで、機器全体のイメージが上がるという設計コンセプトが大きく影響している。
目立つスイッチのためにはデザイン性も重視され、機械・装置が稼働していない時のデザイン、稼働している時のデザインといったように、使用している周囲環境に配慮した製品も発売されている。
押しボタンスイッチでは、操作部分の高さを抑えた薄型・フラットタイプが浸透している。薄いことによるデザイン性の良さだけでなく、凸凹の少ない操作パネル面は、食品機械や半導体製造装置においてゴミやほこりの付着を防ぐとともに、パネル面の突起部分を抑えることで誤操作などの危険性を低くする。
スイッチを押す力で発電する電気を活用した自己発電式と、ワイヤレスでスイッチ間の送受信ができるスイッチを組み合わせた製品も注目されている。電源のないところでも使え、スイッチ間の配線作業も不要なことから、操作用スイッチの新しいスタイルとして今後の普及が期待されている。
表示灯とスイッチが一体化した照光式スイッチは、スペース性の良さから操作用スイッチの中で最も使用されているが、ここで使用されるLEDの高輝度化も著しい。
LEDは高輝度、長寿命、低消費電力が大きな特徴であるが、特に低消費電力は大きな魅力で、装置全体でスイッチを多数使用する場合、メリットが大きい。高輝度LEDの開発で視認性が向上し、また、少ないLEDチップ数でも輝度を確保できることに伴い、スイッチの薄型化や小型化をさらに進める効果につながっている。光源はLEDだけでなく、液晶や有機ELなども使用されている。
タクティルスイッチは、プリント基板に直付けし、シートキーボードスイッチやパネルスイッチなどと組み合わせて使用することが多く、特に携帯電話の多機能化に伴い、需要が拡大している。低背化、インチピッチを採用した端子が特徴で、丸洗い可能な密閉構造や照光タイプなどもあり、確実な操作感が得られる。
DIPスイッチやデジタルスイッチは、プリント基板上にCPUを搭載したボードコンピュータや、情報・通信機器などで数多く使用されている。特にDIPスイッチは、一般的に一度設定するとその後はあまり操作しないことから、接触信頼性の確保が求められる。ナイフエッジ構造などにより、フラックスなどの浸入による接触不良の解消を図るとともに、プリント基板実装後の洗浄もシールテープなしで可能である。
ロッカースイッチは、電源のON・OFFなどによく使われる最も一般的なスイッチ。比較的大電流の入り・切りを行うため、操作時の突入電流による接点やハウジング対策が重要となっている。機器の小型化が進む中で、シーソースイッチの小型化も進んでいる。同時に、屋外や環境の悪いところでの使用に対応して、防塵・防水対策を施した製品も増えている。

材質・回路など研究進む

ソーラー発電や充電スタンドなどではDC(直流)機器が使用されることが多いことから、DCの高電流対応品の開発も進んでいる。
シーソースイッチでDC400Vや600V、さらには1000Vといった高圧なDC機器のスイッチ開閉が必要となる。
大きなアークの発生など接点への負荷が大きくスイッチの構造に高度な技術が求められることから、材質や回路設計など、各社が工夫を凝らし開発に取り組んでいる。
トグルスイッチは、IP67相当の保護構造を実現しており、水のかかる用途でも高い信頼性で使用できる。
操作レバーを全面照光式にした製品もあり、暗い場所でもON・OFFが操作レバーの位置で確認できる。一部のトグルスイッチやスライドスイッチでは、スナップアクション方式を採用。クイックな動作で出力の安定を図り、接触信頼性を高めると同時に長寿命化を実現。
多方向スイッチは、1本のレバーで多くの開閉が可能で、細かな操作を行う用途に最適である。

無接点化やワイヤレス化の取り組みも進んでいる。カムスイッチは、多くの回路とノッチが得られるため、複雑な開閉などに対応できる。用途によって操作開閉頻度に大きな差があるため、接触信頼性の確保が最優先で求められている。
フットスイッチは防浸・防水性能が向上しており、水中での使用や医療分野、食品分野でも安心して使用できる。安全操作の面でも、同時にBluetoothなどを使用したワイヤレスタイプは、配線がないことで、医療現場などたくさんの機器が使用されている中で、ケーブルがあることによるトラブルを防ぐことができる。LED表示もできるようにすることで、動作や電池充電・エラーなどが目視で確認でき、より安心した操作につながる。
操作用スイッチは、機器・装置のインターフェースを担っており、1個は必ず使用する。最近はプラグラマブル表示器などの採用が増えつつあり、用途によっては置き換えられる傾向が強まっている。ただ、基本的にメカニカル動作であることなどから確実な操作性が確保できるとして信頼感が高い。
IoTの進展する中で、今後、ワイヤレス化や自動車の自動運転などの新しい需要が出てくることから、操作用スイッチの果たす役割はさらに高まるものと見られる。

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