PIとCLPA カプラー仕様書策定 ネットワーク間の相互接続加速

I4.0の流れ 統合後押し

日欧を代表する産業用オープンネットワークが相互接続性を実現するための仕様が確定し、このほど発表された。欧州のPI(PROFIBUS&PROFINET International)と日本のCC-Link協会(CLPA)が展開している、Ethernetを使った通信ネットワーク「PROFINET」と「CC-Link IE」間で相互接続を簡単にできる共同仕様書を策定したことで実現したもの。両団体は、それぞれの特徴をアピールしながら普及促進を行っているが、インダストリー4.0(I4.0)や産業用IoT(IIoT)に対応した動きが強まる中で、エンドユーザーの相互接続を求める声に応える形で共同仕様書を策定した。今後、Ethernet/IPやEtherCATなども含め、容易な相互接続実現に向けた動きが加速化しそうだ。

他団体への波及は必至

両団体は1年前に相互接続の共同仕様書作成で合意し、今年1月からワーキンググループ(WG)をスタートさせて、「カプラー」と「リンク」という二つのゲートウェイ仕様書を作成に取り組んできた。
エンドユーザーは世界中から生産機械を調達することから、同一工場内の機械間で異なるプロトコルを介して通信を行うことが多くなる。そこでエンドユーザーの中には必ずしも標準ではない通信方式を採用する異なるシステムを混在させて、通信の統合化を図ろうとするために、エンジニアリングコストの増加につながっているのが実情。
このほど公開されたのは、「カプラー」の仕様書で、「PROFINET」と「CC-Link IE」間でシームレスに双方向通信が可能になることから、ユーザーは意識することなく異なる生産ラインシステム間通信を効率的に行うことができる。カプラーは2017年中には市場に投入される予定で、エンドユーザーの利便性が高まることになる。
PI対応製品は欧州・アジアを中心に15年末で世界に、PROFIBUSが約5370万台、PROFINETが1280万台出荷されており、CLPAは日本、及びアジアを中心に会員数約2800社、約300社から1500を超える認定製品が出荷されている。
産業用オープンネットワークでは、米国を中心に普及しているCIP(DeviceNet、EtherNet/IP)が世界3大ネットワークとして普及しており15年末でEtherNet/IPの出荷台数は約5700万台と見られている。また、最近普及が加速しているEtherCATは、出荷台数は公表していないが、世界のメンバー数が4000社を突破したとしており、欧・米・アジアに満遍なく会員が増えている。
産業用オープンネットワークではこのほかに、Modbus TCP/IP、POWERLINK、sercosなどがあり、日本発のMECHATROLINK、FL-netなどが主要なものとして挙げられる。
今まで、それぞれの地域的な強みを生かして、欧・米・日で棲み分けしてきた要素が強く、現状はそれぞれのネットワークの中核メーカーであっても、その地域に強いネットワークに対応した製品を開発し販売している。
グローバルな市場の広がりの中で、エンドユーザーのどこでもどんな機種でも繋がることを求める声がネットワーク間の壁を壊し、「真のオープンネットワーク化」に向けて一層加速するのは避けられない状況になってきたと言えるだろう。

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