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不連続戦線に異状なし(52) 黒川想介

■想像力もとに現場感覚 企画と営業 すり合わせ必要

ナポレオン語録には数々の名言がある。「予の辞書に不可能という文字はない」はあまりにも有名である。やってできないことはないという自信と、そのエネルギッシュさはまさに天才肌である。ほかにも現代流の地政学を思わせるような「一国の地理地形を把握すれば、その国の外交政策が理解できる」という名言を残している。

「戦争論」の著者クラウゼヴィッツは本の中で、軍事的天才の持つ数々の特性の中には地形に関する想像力のはたらきがあることを述べている。生死を賭ける軍事行動にとって、想像力は有益であるよりむしろ有害である。希望的予測がどうしても入り込むからである。

しかし地形となると話は別である。指揮官の活動範囲がかなり広大な土地であるため、指揮官の目でその広大な地域を通観することができない。そこで地形感覚と呼ばれる想像力のはたらきは有益になるという。知識や経験で地形を把握し、それらで及ばない部分を補い、また目で断片的に見た所見を総合して、全体を鮮やかに心の中に映し出すのは、想像力と呼ばれる特性であるとクラウゼヴィッツはいう。ナポレオンは天才的慧眼(けいがん)を持って戦場の地形を把握して、相手がどのような動きをするかをたちどころに理解して軍を動かしたという。

長大に伸びた戦線でナポレオンが直接指揮を取っていなかった戦場では、ドイツ参謀本部が勝っていても、その戦場にナポレオンが軍を率いて駆けつければ負けるということを繰り返した、幾度となくナポレオンに敗戦したドイツ参謀本部は、地形によって軍の流れを鮮やかに映し出すナポレオンの想像力は天才的なものであり、これと対決するのは得策ではないと考え、戦略を変更した。

ナポレオンが出て来れば整然と退却。ナポレオンが別の戦場に移動すれば、退却した軍は再びその戦場に現れてナポレオンのいない軍を翻弄し、ナポレオンを疲れさせた。その上で最終決戦場をベルリン近郊のライプチヒに決めて、全軍あげて進軍し、乾坤一擲の勝負に出てドイツ軍は勝った。

その後のドイツ参謀本部は、地形感覚がいかに重要かを再認識した。ナポレオンのような地形と軍の動きを鮮やかに映し出す天才的想像力に近づけるためにも地理の知識と豊富な経験の必要性を痛感した。若い参謀を養成する陸軍士官学校の強化には旅行という科目を設けて旅行を頻繁に実施して、地形の想像力を磨いたという。

19世紀にできたドイツ参謀本部は、現代の企業に引き継がれて事業企画や営業企画になっている。それぞれの企画が鮮やかに顧客や市場の現場を映し出すためには、まず市場や現場の知識や経験を豊富に持つことが重要だということをドイツ参謀本部が示唆している。

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