「人類最大級の革命“インダストリー4.0”」と「中小製造業での取り組み事例」 株式会社 アルファTKG社長 高木俊郎

2016年4月20日

実行するMINI Industry4.0(Most Intelligent & New Initiative Industry4.0)

【1】18世紀に人類が学んだ“工業化”の魔力
第1次産業革命がなかったら、大英帝国は世界の覇権を握れなかっただろう。産業革命により大英帝国は、資本主義と帝国主義を推し進め、インド・中国始め、北米・アフリカ・オセアニア・アジア諸国を次々と傘下に収め、覇権国となった。人類は初めて“工業化”の魔力を学んだのである。

【2】人類最大の工業化は、アメリカで起きた「第2次産業革命」であった
19世紀末、第1次世界大戦をキッカケに急速台頭したアメリカが、徹底的な工業化を推進した。大英帝国の成功を学び、工業化による国家の利益を追求したのである。人類が初めて手にする新エネルギーである「石油」と、新技術「電気」を動力源とする重化学工場への投資がアメリカの戦略であった。この投資により、工業製品が大量生産され、第2次世界大戦も勝ち抜いたアメリカは、世界唯一の実力を持つ“覇権国” にのし上がった。大英帝国の第1次産業革命をはるかにしのぐ革命がアメリカで起きたのである。これを、第2次産業革命と呼んでいるが、この革命の影響は今日まで続いている。

家庭や工場の津々浦々まで敷設された商用電源ネットワークが社会の根幹を支え、石油は依然としてエネルギー源の中心であり、今でも電気や石油がない世界はあり得ない。第2次産業革命が人類に与えた影響は壮大であり、100年以上経過した、今日の製造業の技術革新もすべてこの延長線上にあり、「第2次産業革命こそ人類最大の産業革命であった」と結論づけることができる。

【3】インパクトの薄い「第3次産業革命」と、ピンとこない「インダストリー4.0」
第3次産業革命は、日本が主役となった「パソコンを使った、自動化工場の誕生」と解説されているが、その規模や期間は第1次・第2次の産業革命とは比べようもないほど小さく、革命と呼べる程の経済効果は起きていない。インダストリー4.0は、第4次産業革命と訳され、さまざまな解説がなされているが、そのメリットと将来戦略につながる本質を理解するのは容易でない。悪いことに、インダストリー4.0の専門家は「オープン化・規格化」に執着し、専門用語を羅列し、あまりピンとこないメリットを誇張しているために、インダストリー4.0には否定的な声が渦巻いている。

【4】「人類最大級の革命”インダストリー4.0″」
しかしインダストリー4.0を広義な視点で捉えると、驚異的な将来像が透けて見えてくる。人工知能やクラウド技術の急速な進化が、インダストリー4.0の中核技術になることは明白であり、製造業の未来がこれらの技術によって激変することは疑いようのない事実である。

100年以上の昔、電気が実用化され、われわれの前に現れた。エネルギー源としての並外れた多才さから無制限の用途が生まれ、製造業も新しい姿に変貌した。

今日、インターネットが実用化され、われわれの目の前に現れている。情報源としての能力に加え、クラウドや人工知能は、人間を超える多才な能力を有している。製造業においても熟練工を超える判断力を備えた人工知能が活躍する未来工場も想定される。製造業への影響は予想できないくらい大きく、過去の産業革命をはるかに超える「人類最大級の革命」となるであろう。

【5】【実行するMINI Industry4.0】で中小製造業の経営者の意識が変わった
当社は創業以来、中小製造業・町工場の生産性向上をテーマに、インダストリー4.0を具体的に実行するための仕組みとソフトウエア・システムを開発している。

このコンセプトを、【実行するMINI Industry4.0 (Most Intelligent & New Initiative Industry4.0)】と名づけ顧客への提供を行い、多くの成果を生んでいる。商品名は、「alfaDOCK304」である。

「alfaDOCK304(※当社商品名)」を導入した中小製造業経営者の意識は、導入前と導入後では大きく変わる。導入前には、目前の“導入効果”を期待して導入決定するが、導入後には目前の効果もさることながら、インターネット&クラウドを活用した新技術の活用イメージがひらめき、未来への航路が一気に開けるのである。

「百聞は一見にしかず」のことわざ通り、実際にインターネット&クラウドを活用した新しい仕掛けを体感することで、経営戦略が明確化する好例である。

【6】【実行するMINI Industry4.0】は、中小企業・町工場のためのシステムである
当社の顧客は中小製造業・町工場なので、顧客のコンピュータ・リテラシーには人一倍気を使っている。コンピュータ・リテラシーとは、コンピュータを使いこなす能力であるが、中小製造業では、コンピュータ・リテラシーを持つ社員は、ほんの一握りである。

コンピュータの複雑な操作性には嫌悪感を覚える熟練工が多いが、この中小製造業の現実とはかけ離れ、製造業向けソフトウエアの多くは、コンピュータ・リテラシーを、当然のように顧客に要求するので、大きな導入障壁となっている。

3次元CADを例に挙げると、大手製造業とは対象的に、中小製造業では普及していない。3次元CADの立体モデルが、工程全体に対して合理化特効薬となることは、すでに実証されているが、中小製造業では3次元CADを使える人が限られているので、実現が非常に難しいのが現実である。

この問題を解決する一例として、当社では、2次元図面から簡単に3次元の立体モデル生成を作成する機能を開発し、「alfaDOCK304(※当社商品名」の機能の一部として顧客に提供している。これは、当社の独自新開発の2次元/3次元の合成モデルであり、「4D-PHD(4D-PeperlessHyper Document)」と呼び、「alfaDOCK304」に標準搭載している。当社のインドテクニカルセンターが顧客の専任スタッフとして操作をサポートするので、コンピュータ・リテラシーを必要とせず、翌日から3次元の立体モデルを活用することができ、大好評を博している。

【7】【実行するMINI Industry4.0】は、顧客の現有資産を活用するシステムである
当社の重要コンセプトは、「顧客の現有システム(ソフト・機械・装置)には変更を加えない」ことである。どんなに小規模な会社であっても工場内には、今まで導入してきたCAD/CAMや生産管理、図面のスキャナー等の膨大なデータが存在しており、さまざまな種類のデータがさまざまなコンピュータのハードディスクに個別保存されている。また時として、動画・静止画も別の管理・保管となっている。

「alfaDOCK304(※当社商品名」を導入した顧客では、バラバラになっていた各種情報が、「alfaDOCK304」に搭載された強力なサーバーシステムですべて“一元管理”されると同時に、クラウド上のサーバーとの2重管理システムが自動構築される。

また、「alfaDOCK304」のサーバー内で、すべての情報が「4D-PHD」とひも付けできることが、他に類を見ない新機能である。

これを体感した導入顧客では「現存する情報価値が何十倍にも上がる」ことに驚愕し、明確な生産性向上の打ち手と将来航路を見いだしている。

【8】【実行するMINI Industry4.0】は、早期立ち上げのシステムである
当社が中小製造業・町工場向けに独自開発した「情報ソケット」機能が不可欠である。

企業秘密的な独自機能「情報ソケット」は、「alfaDOCK304」を工場内に設置し、顧客のLANに接続した瞬間に、工場内に存在するすべての情報を自動で探し、その種別を自動判断し、情報の入り口を自動的に作り出す画期的機能である。インテリジェント機能を備えた「情報ソケット」によって、「alfaDOCK304」の導入・立ち上げ時間は究極のスピード短縮が実現した。当社の導入顧客の平均従業員数は、50名前後の工場であるが、その導入・立ち上げ時間は、設置および説明を含め平均4時間である。

【9】【実行するMINI Industry4.0】は想像を超える導入効果を生み出す
「alfaDOCK304」の導入顧客から、更なる活用要望が相次いでいる。想像を超える反応が起きている。工場の見える化・つながる工場・考える工場は、すでに実現した機能も多いが、要望を集約すると、人工知能の活用がトップであり、次には「4D-PHD」の2次元/3次元モデルの活用によるデジタル作業指示書およびペーパーレス化である。そして意外と多いのが、サプライヤーとの情報共有システムが挙げられる。

【10】【実行するMINI Industry4.0】は、結界(けっかい)構築から始まる
結界(けっかい)とは、二つの異なる世界の境界線のことであり、本来は仏教用語であるが、襖(ふすま)や障子(しょうじ)も、同様の意味で広義の「結界」である。別の世界と行き来する境が、結界である。

インターネット&クラウドの世界は、われわれの目の前に現れた「サイバー世界」である。中小製造業が、第4次産業革命を実現するためには、「サイバー世界」に自社の仮想工場(サイバー工場)を構築することが絶対条件であるが、その入り口が、実に不明確である。

「alfaDOCK304」の導入がこの問題を解決する。

「alfaDOCK304」を使うと、簡単に、誰でも、どこからでも、自社専用のクラウドサーバーにアクセスでき、自社の仮想工場に入ることができる。仮想工場(サイバー工場)と現実工場(フィジカル工場)の結界が「alfaDOCK304」である。

コンピュータ用語では、「ポータル」と呼ぶ。「ポータル」とは、豪華な入り口の意であり、ウェブの世界に入る入り口を「ポータル」という。皆が使うWWW…である。

しかし一般的なポータルでは、自社専用の仮想工場は構築できない。「alfaDOCK304」導入顧客は、自社専用のポータル「My Portal(マイ・ポータル)」を自動的に構築している。これが、仮想工場と現実工場との結界となる。

結界を実際に手に入れると、CPS(Cyber Physical System)のイメージが一気に湧いてくるのである。結界の確立こそ、インダストリー4.0実現の第一歩である。

■株式会社 アルファTKG社長 高木俊郎
1953年長野市生まれ。2014年3月までアマダ専務取締役。電気通信大学時代からアジアを中心に海外を訪問して見聞を広め、77年にアマダ入社後も海外販売本部長や欧米の海外子会社の社長を務めながら、グローバルな観点から日本および世界の製造業を見てきた。