三菱電機 「気液界面放電技術」を利用した水処理技術を開発 高効率低コストで18年事業化へ

三菱電機は、気液界面の放電で生成したOHラジカル(ヒドロキシルラジカル)を利用し、難分解性物質を高効率、低コストで分解する水処理技術を開発した。民間の工業廃水再利用装置や、下水の再利用装置として、2018年度の事業化を目指す。

同社が開発した高効率・低コストの水処理技術は、世界で初めて「気液界面放電処理技術」を利用した。気液界面の放電で生成したOHラジカルを利用し、難分解性物質を高効率に分解する。OHラジカルは、極めて強い酸化力を持つ酸化剤。上下水処理に適用されている次亜塩素酸やオゾンに勝る酸化力を有しており、難分解性物質と反応し分解を行う。

内容は、傾斜面に電極を配し、湿潤酸素ガス中を流下する被処理水の気液界面にパルスコロナ放電を誘起させ、OHラジカルを発生させる。OHラジカルの強い酸化力により、塩素やオゾンでは分解が難しい界面活性剤やジオキサンなどの難分解性物質を、二酸化炭素や水などに分解する。

OHラジカルは高効率に生成でき、オゾンと紫外線(UV)照射を組み合わせた既存の促進酸化処理に比べ、約2倍の分解効率を達成。

さらに、湿潤酸素ガス中での安定放電技術により、酸素の再利用が可能で酸素使用量を90%削減できる。反応器のモジュール化により装置構成が簡素化でき、促進酸化処理に比べ大幅に装置コストが低減できる。

また、エネルギー効率は促進酸化法に比べ2倍以上、酸素ガス使用量は同10分の1に削減できることで、運転コストも50%以上削減できる。

なお、電源とパルスコロナ放電に関しては、山形大学理工学研究科南谷研究室の技術協力のもと行われた。特許は国内4件、海外1件。

従来、工場からの廃水を再利用する場合、活性炭吸着処理や促進酸化処理が行われるが、オゾンとUV照射を組み合わせた促進酸化法では、UVランプの寿命による交換や維持費がかさみ、酸素コスト低減には、オゾンの高濃度化が必要だった。また、活性炭に難分解性物質を吸着させ除去する活性炭処理法は、活性炭の再生や交換にコストがかかるという課題があった。

同社では、「今回の水処理技術を工業廃水や下水の処理・再利用分野に応用を図り、持続可能な水循環型社会の実現に貢献したい」としている。

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