低消費電力の無線通信「BLE」 FA分野でも関心高まる

低消費電力による無線通信「Bluetooth Low Energy」(BLE)がFA分野でも関心が高まってきた。従来のBluetoothよりも数分の1から数十分の1という低電力で無線通信でき、ボタン電池1つで機器が数年間稼働するという特徴から、BLE対応のLSIやアナライザなどが開発され、ヘルスケア分野ではすでに実用化されているが、今後、FA分野やオートモーティブ分野、スマートエナジー分野への実用化が期待されている。

BLEは、近距離無線規格Bluetoothの仕様策定団体「Bluetooth
SIG」が策定した新しい無線規格。2006年にノキアが開発し、07年にBluetooth傘下となり、開発が進んでいる。

BLEは、Bluetooth同様、2・4GHz帯の免許不要の小電力電波で無線通信ができる。最大1Mbpsの通信が可能。対応チップは、通常のBluetoothに比べ、3分の1程度の電力で動作するなど低消費電力で通信でき、ボタン電池やコイン電池一つで数年間稼働が可能である。

FA分野では、すでにLED照明の調色制御に取り入れられているほか、ロームの子会社であるラピスセミコンダクタが、BLEに準拠し2・4GHz帯無線通信を行うLSIを発売した。このLSIは低消費電力で、ボタン電池で数年間駆動する。

さらに、Bluetooth通信に必要なハードウェア・ファームウェアを標準で内蔵しており、プロファイルソフトウェアと組み合わせることで、既存のシステムを簡単に無線化することができる。

米国フロントライン社は、BLE対応のプロトコルアナライザを発売している。小型ながらリアルタイム解析を行うことができ、データ取得と信号復調、結果表示、エラー検出などが同時に解析できる。

一方、ヘルスケア分野では、すでに歩数計や心拍計、体温計、体重計などに採用されている。

東芝では、今年2月にヘルスケア機器などのウェアラブル端末向けにBLE通信用ICのサンプル出荷を開始した。独自の低消費電力回路や高効率DC―DCコンバータの搭載で、送受信時のピーク電流を6mA以下に低減。コイン電池で長時間動作が可能で、ウェアラブル端末やセンサ機器など、小型通信機器を搭載することができる。

このほか、実用化が進む分野として、自動車分野では車体のセンサからの情報による安全性の向上、スマートエナジー分野では、電力メータを通信することで機器の消費電力削減、ホームオートメーションでは、電灯やエアコン、監視カメラなどのモニタリングなどが挙げられる。

BLE向けのプロファイル(通信手順)も11年以降、順次開発されており、現在では、利用する目的やシーンに合わせプロファイルが開発されている。

BLEのプロファイルは記述する量が小さく、開発作業時間の短縮が図れる。

これに向けたデバイスなどの開発では、ソフトウェアをコンパクトに実装することで、製品のタイムリーな市場投入や、コードメンテナンスの負荷低減にも貢献する。

今後、様々なアプリケーションに向けたプロファイルの開発が進展するものと予想され、BLEの実用化が進むものと期待される。

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