PV(太陽光発電)周辺での雷対策現状を探る  接続箱1台に1台設置需要急増へ SPD過電流・過電圧から機器守る

設備機器の年間被害総額2000億円とも言われる雷からの被害を防ぐ雷害対策への取り組みが進んでいる。2012年7月からPV(太陽光発電)の固定価格買い取り制度がスタートして以降、PVの設置件数は急増している。一方で、PV周辺への落雷や火災の被害の危険性も指摘されており、十分な対応策が求められている。PV周辺での雷対策機器の現状を探ってみる。

経済産業省がまとめた12年(1~12月)の工場立地動向(速報)によると、全国の立地件数は1229件(前年比41.4%増)、立地面積は3144ヘクタール(同207.4%増)と、件数、面積とも大幅に増加し、特に面積は3倍強となっている。

その大きな要因は、昨年7月から始まったPVの買い取り制度に対応して、PV施設の設置を行う電気業が増加したことによるもの。立地面積が増加するのは5年ぶりで、PVの勢いの良さがうかがえる。

PVの買い取り価格は13年度から改定されて多少下がったものの、依然高水準であることから、メガソーラーなどの大型施設や、企業の工場や事務所の建物を利用した設置、農業のビニールハウスや一般家庭の屋上などへの設置も増えている。

こうした一方、PVから派生する雷被害も増加傾向にある。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の08年の調査によると、PVの被害件数は全体の約28%が雷に起因するものとなっている。(図1参照)

PVは非常に広い敷地や建物の屋上に太陽光の遮へいとなる構造物がない場所へ平面的に配置されるケースが多いことから、落雷時における電位差が発生しやすい環境にあると言える。PVは、ソーラーパネル、接続箱、集電箱、PCS(パワーコンディショナー)、受変電設備、売電・買電メーター、表示盤、気象観測装置、監視カメラ、SPD盤などで構成されている。中でも被害を受けやすいのが、PCSや気温・日射計などの気象観測装置で、特にPCSは高額設備の上、破損すると発電停止に繋がるため、十分な対策が必要となっている。

またPVは、各ソーラーパネルをつなぐケーブルや、電力会社の電力系統との接続箱など多くのケーブルや配線ポイント、制御装置が使用されているが、そのほとんどが露出された状態で設置されている。

しかもPVでは、DC(直流)ライン、AC(交流)ライン、計測ラインが一体で混在運用されており、より雷による被害が大きくなる危険性を有している。ソーラーパネルへの直撃雷や接地からの逆流雷、電力配電系系統やシステム内に発生する誘導雷などでPV構成機器が破壊されると、発電がストップし電力供給が停止する恐れが出てくる。(図2参照)

PVを雷害から防ぐ機器として使用されているのがSPD(サージ防護デバイス)である。電源設備や通信設備、電子機器などは落雷があると、その影響で過電圧・過電流が流れ、電源線、通信線の両方につながった電子機器などは雷サージの通路に位置するため、電源と通信回線との間に電位差が生じ、一瞬で破壊される恐れが出てくる。

しかし、SPDを電源設備や通信設備などの保護対象機器の電源、または通信回線引き込み部に設置することで、機器に侵入した雷サージをSPDの内部回路を通過させて逃げ道を作ってやることで、過電流・過電圧から機器を守り、安全に放流して保護する。

PV用のSPDには、雷から機器を保護することと、故障時に安全に分離できることが重要だ。

開放電圧は定格電圧の1.2倍になることから、600V系では720V、1000V系では1200Vの耐量が必要になる。

故障時には、低電流から高電流まで全領域にわたってDCを遮断し、故障したSPDを安全に分離するとともに、故障状態を表示し、外部への警報出力が求められる。

PVは、DCとACが混在使用されていることから、SPDもそれに合わせて使い分けが必要になる。特にDCはACより高圧遮断方法が難しく、雷サージによる動作頻度が多い時や、過電流が大きい場合はSPDの内部素子が劣化し、短絡につながる恐れが出てくる。

また、PVシステムは発電容量、日射量、短絡故障個所など条件によって故障電流が大きく異なり、短絡電流も数アンペアの小電流から発電最大電流まで範囲が広いため、想定短絡電流の全領域にわたって遮断できるシステムが必要になる。これを実現するためにはSPDと保護協調のとれた外付け分離器の遮断領域連携が必要で、短絡電流が日射量によって可変するPVシステムでは重要になってくる。

PVのDC回路でSPDが短絡故障するとSPDに系統全体の短絡電流が流れる恐れが出てくるだけに、SPD固有の定格短絡電流とSPD専用分離器の組み合わせによる短絡保護システムの構築が必要だ。

PVの直流系統におけるSPDの使用数は、接続箱1台(10kW前後)あたり1台が設置され、メガワットクラスPVでは接続箱が100台以上設置される。NEDOによると、国内のPVの設置は30年までに10GW以上を見込んでいることから、SPDの需要も相当数見込まれる。

PVは雷害や過電流などによる防災上の対応策も課題として挙げられているが、今後もこうした課題解決のなかで新たな市場創出につながることが期待されている。
(資料提供=株式会社昭電)

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