混沌次代の販売情報力黒川想介 変わる「得意な販売のやり方」

2013年3月27日

戦略商品という商品がある。頭に戦略という重々しい言葉が付いているのであるから、戦略に寄与する商品なのだろうし、戦略的に売らねばならない商品ということになる。戦略的なのであるから、何らかの目的を達成するための商品であることには違いない。施策上の明確な目的を示さずに、「積極的に売って欲しい」「売り上げが落ちてきているので拡販に力を入れて欲しい」という程度の商品では、戦略商品という言葉は似合わないということなのだ。

昨今よくやっているキャンペーンで、拡販の対象になる商品に戦略商品という言葉が使われる。キャンペーンには目的がある。その目的達成のために戦略商品を選定するのである。だから、その商品を単に何個売るというのが目的ではない。何のためにするキャンペーンかという目的があって、戦略商品をその目的にどうリンクさせるのかが明確になっていなければならない。

例えば、キャンペーンの目的が期間売り上げをどうしても達成しなければならないために期間売り上げの確保とするなら、目的の売り上げ額に寄与する商品を選定すべきである。その上で期間売り上げの何%に寄与するとか、売り上げ予測に対する何%の純増分になるという、明確な指標を示すから納得性のある戦略商品ということができるのである。

またキャンペーンが沈滞しているムードを吹き飛ばすことを目的としているのなら、売れなくて困っている商品を戦略商品に選定して、がんばろうと言って、しらけムードをつくるより、ここは日頃売れている商品で、アクセルさえ踏めば受注が舞いこみ、盛り上がるような商品を戦略商品に選定して、販売員コンテストを実施すれば、当初の目的と合致して社内が活気を帯びてくるというようなことである。

キャンペーンで使われる商品の他に、社運をかける商品や次世代を狙う商品がある。重々しいが、ちゃんとした目的を持っているから当然に戦略商品ということがわかる。

もともと戦略とは軍事上の用語であり、戦さに勝利するために行う諸々のことである。戦いは戦略で決められたことに基づき、それぞれの戦場での戦術が立てられる。それらの戦術を実行して戦闘を行う。その戦闘の折りに戦闘教義というものが大きく物を言う。技術や武器の発達にともない戦闘教義もまた大きく変わってきた。

現代の営業戦線において戦闘教義に相当するものは何かというと、それは『得意な販売のやり方』ということになる。時代や業界や会社によって得意とする販売のやり方は変わってきている。

現代のこの業界の営業では、戦闘教義に相当する『得意な販売のやり方』が戦略商品ありきで営業のやり方を組み立てている。

戦略商品をかかげて、営業にハッパをかけることに他ならない。そのため、ツールの充実を図り、徹底的に戦略商品の勉強をしてもらい、個数目標を目指して拡販することになる。戦闘教義は時代を反映してきた。

だから現代営業の戦闘教義に相当する『得意な販売のやり方』は戦略商品拡販ということになる。

しかし、日本の産業は裾野は広いし、複雑に絡み合っている。販売する部品や機器も単純なものから複合した機能のものまで多様である。単純明快な実際の戦さとは違って、その時代に合った戦闘教義は一つではない。つまり『得意な販売のやり方』は戦略商品拡販ひとつではないはずだ。

商品にこだわるあまり、戦略商品ありきで販売戦術を組み立てているが、もっと市場や顧客を研究して『得意な販売のやり方』を開発しなければならない。
(次回は4月10日掲載)