欧米市場に初の拠点黒田精工、英AIP社を買収

黒田精工(黒田浩史社長)は、英国の駆動精密部品メーカーAIP社(Avingtrans Industrial Products)の全株式を取得し完全子会社にした。欧米市場に初めて製造・営業拠点を持つことにより、グローバル展開を加速させる。総投資額は13億円。

同社は今年3月期連結売上高117億9032万円のうち、海外売り上げが29億8301万円(構成比25・3%)となっている。海外市場はアジアが74・0%と高く、北米15・3%、欧州8・4%、ブラジルなどその他2・3%。生産・営業拠点も韓国、中国、マレーシアの3カ国。販売・生産ともにアジア中心のため、欧米市場の事業展開が課題であった。今回、英国AIP社を買収したことにより、英国、独、米国に生産・営業の橋頭保を築くことができた。

買収したAIP社は、独(ボールねじ・精密ギヤなどの製造販売)、英国(スピンドルなどの製造販売)、米国(ボールねじ・直動部品などの製造販売)の3子会社を有する持ち株会社。3社合計の今年5月期決算は売上高1183万9000ポンド、営業利益133万3000ポンド、純利益94万3000ポンド。同社がアジア中心に対し、AIP社は欧州が主体で補完性が高い。販売顧客も同社が半導体製造関連、AIP社は工作機械や自動車、医療・光学関連の比率が高く、相乗効果が期待できる。また、以前から保守ビジネス事業への参入を検討しており、AIP社のボールねじやスピンドルの保守ビジネスノウハウを取得できる利点もある。同社は「重要な経営戦略であるグローバル展開を加速でき、そのうえ製造が日本に集中している駆動システム、機工・計測システム事業の生産分散化、為替リスク対策が可能」としている。

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