転換期のFA制御流通市場 商社新商材求め動き活発化 エネルギーや自動車関連に期待 勝ち残りへ特徴ある商社づくりが必要に

FA制御機器流通を取り巻く市場環境は、ここに来て厳しさを増している。東日本大震災とタイの洪水被害からの復興需要などが大きなプラスをもたらした昨年に比べ、今年は市場を牽引する題材に乏しいことに加え、外需を支えていた中国市場の変調が大きな影響を与えている。しかし、国内ではエネルギー関連や震災復興需要が、海外ではアジアや南米などの新興国、米国市場などを中心に底堅い動きも見られることで、先行きへの期待につながっている。同時に、国内市場では、FA以外の市場をターゲットにした取り組みを強化する動きも活発化しており、扱い製品、販売方法も含め、FA制御機器流通市場は大きな転換期に差し掛かっている。

東日本大震災に関連した前倒し需要やタイの洪水復旧需要が、大きな市場牽引役になった昨年に対し、今年はその需要がなくなったことの反動に加え、中国市場での昨年来からの金融引き締め継続の影響や領土問題が、さらに市場拡大の足を引っ張った形になっている。昨年7月からの地上デジタル放送開始に伴う、薄型テレビ需要の激減は、半導体や液晶需要に大きな影響を与えて、厳しい市場環境にさらに追い討ちをかける結果につながっている。

こうした厳しい環境下、流通商社は新しい市場、新しい商材を求めた動きを活発化させている。

そのひとつが、エネルギー関連市場へのアプローチだ。原発事故の発生に伴い、全国的な電力不足に対応した省エネ・節電への取り組みが大きなビジネスになろうとしている。節電では、電力消費の見える化につながる機器販売やソリューション提案、蓄電では充電器や充電池の需要、そして創電では、ソーラーや太陽光などの再生可能エネルギー関連投資の拡大だ。EV(電気自動車)やHEV(ハイブリッドカー)、エコカーといった自動車関連の投資拡大も、自動車生産設備に加え、バッテリーなどの自動車部品や、周辺の充電器スタンドなどにも波及効果をもたらしている。

また、省エネの視点から、LED関連やエネルギーロスの少ないDC電源なども大きなビジネスに発展しつつある。

■他社と協業し販路拡大

工場中心の営業を展開していたFA制御機器商社は、販売先をさらに広げる必要も出て来ることから、販売方法を変更して協業体制をとることも考えなければならないだろう。制御機器、電子部品、機械工具、電材、科学機器、計測機器などでの商社との連携、サービスや保守を行うエンジニアリング会社などとの協力もさらに必要になってくる。

一方、日本から海外への工場移転に伴い、FA制御機器商社も海外に拠点を開設する動きが続いている。今までの取引を継続するためであるが、ここにも課題が出て来ている。一つが日本での仕入先である大手FA制御機器メーカーは、海外ではすでにローカルの販売店網ができあがっているところが多く、日本から行っても販売権が得られないことがあるからだ。もう一つは、取引先がコストダウンを行うために、現地調達を強めており、日本からのFA制御機器を必ずしも採用してくれるとは限らない点である。

こうしたリスクを織り込んだ上での綿密な計画が必要になってくる。

東京都電機卸商業協同組合(TEP)では過日、「海外拠点開設支援セミナー」を開催し、海外での拠点開設での懸念材料、とりわけ売り上げや在庫管理などについて、すでに拠点を開設している商社から経験を聞くために開いたが、こうした情報を収集しながら最小の投資で効果を上げる方法が重要なようだ。

■アジアというくくりで

しかし、逆に中国、台湾、韓国など新興国メーカーの製品レベル向上と、コスト競争力の強さを生かして、日本への輸入販売、あるいは直接海外へ販売を始める商社も増えつつある。国内、海外という考えよりは、アジアという大きなくくりで市場を見ることで、売り上げ確保を狙っている。

店舗を構えた商社に加え、ネット販売なども市場で一定の地位を確立しつつある。通販でビジネスモデルを確立したアマゾンドットコムがFA制御機器流通の扱いを始めるのも時間の問題かも知れない。

FA制御機器には消費財とは違って、販売後のサポート、販売前の打ち合わせなどが必要なものが多いだけに、売り切り販売はできない。また、組み合わせ提案も必要になる。

販売ターゲットの垣根を低くし、顧客から選ばれる商社として勝ち残るためにも、あらためて社員の営業・技術教育を行い、個々の商社がアピールできる特徴ある商社づくりがさらに必要となってきている。

新興国も賃金をはじめコストの上昇が続いていることや、品質向上のためにも自動化・省力化などへの投資が必要になってきている。国内市場が再び、増加に転じる可能性は十分あるだけに、体制だけは整えておきたい。

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