スマートコミュニティ 実証実験段階に 7地域の事業から電気設備の未来像を探る 21世紀の効率社会実現の柱

電気のみならず熱や運輸部門も含めたエネルギーを総合的に管理しスマートに使うシステム「スマートコミュニティ」が実証実験の段階に入った。電力・熱・交通インフラを再整備し、ライフスタイルの転換をも図る構想は21世紀の無駄のない効率社会の実現の柱になる。受配電・分電・電気制御など電気設備の有り様も変わる。現在、各種プロジェクトが展開されているが、7地域の2011年度次世代エネルギー技術実証事業から電気設備の未来像を探ってみた。
【農漁村型EMSモデル】(実施主体=水俣市、熊本県、富士電機、テイラーズ熊本、パワーバンクシステム)

事業は(1)次世代低炭素型施設園芸システム=ビニルハウスに太陽光パネルを設置し、直流駆動装置とヒートポンプを活用する省エネ型夜間温度制御装置を開発する。商業の視点から5年弱で初期投資を回収するシステム。

計画は14年に複合環境制御システム発売開始。

(2)海面養殖栽培総合マネージメントシステム=太陽光発電による海上分散自立型電源を用いた養殖いけすシステム及び充放電制御と無線遠隔管理システムを開発。3年で初期投資を回収。

計画は13年度、一次品発売、14年度特注品発売。

(3)エネルギーの見える化、エネルギーの最適運用・制御が容易にできる農山漁村向けEMS(エネルギーマネジメントシステム)及び情報配信システムの共同利用型パッケージ開発。計画は13年度汎用品発売。

【工場―住宅におけるエネルギー融通システムモデル】(実施主体=鳥取市、中電技術コンサルタント、HRD、サンコネックス、鳥取ガス)

(1)「とっとり型植物工場」モデル=UHPS(超高効率太陽光発電システム)とLED駆動方式によるイチゴ栽培。LEDによるイチゴ栽培用植物育成装置の開発。12年度工場建設、14年度栽培装置販売。UHPSは14年度量産開始。

(2)エネルギー融通システム=工場、住宅でエネルギーを融通し合うシステム。エネルギー融通システムにおける商用電力と電気的に切り離した運用及び宅内消費から共同蓄電池へ送る直流配線の自動切替装置開発。12年度機器・蓄電池導入。13年度から横展開開始。

【直流給電モデル】(実施主体=三重大学、シーエネジー、富士電機)

(1)太陽光発電など直流電源を直流のまま利用するインテリジェント型電源をキャンパスや商業施設などへ導入。非常時に再生可能エネルギーを活用するための自立電源技術の開発。12年度に設計・製作・設置、13年度運用・検証。コンビニ10店舗に導入。14年度業務系ビルや病院に横展開。

【ごみ焼却熱最適利用モデル】(実施主体=大阪市、大阪府、川崎重工、大阪ガス)

(1)工場内未利用排熱について、工場内利用と近隣地域への円滑供給の最適化を図るEMSの実証。ごみ焼却大正工場で12年度導入設備設計・製作・工事。12年度~13年度実証運転。13年度~一般工場などへ横展開。

(2)複数熱源と複数熱需要の需給マッチングを考慮した最適熱輸送(配車)方法の立案。12年度熱輸送設備製作、12年度~13年度実証運転。

【EVバス運用モデル】(実施主体=日立製作所、茨城大学、日立市、茨城県、日野自動車、日立電鉄交通サービス、日立ビークルエナジー)

EVバス運用管理システムの根幹はEVバスの電力消費予測技術にあるが、車両やバッテリの特性、距離や起伏など路線の状況、季節変動や乗客の多少などの変動要因に影響されるため、変動要因を地域に応じて適宜補正する必要がある。事業ではEVハイブリッドバスの実証走行により予測値と実測値の比較評価によるモデルを確立。

非接触充電器については、12年度から国内事業者先行導入、その後4年間かけて国内事業者導入を進める。合わせて海外事業者導入も行う。

【船舶を活用した臨海・防災型EMSモデル】(実施主体=岡山大学、ツネイシホールディングス、ツネイシCバリューズ)

船舶内にLNG焚き発電機を設置し、EVへ給電を行うシステム構築。工場の太陽光発電で通勤用EVに充電し、家庭用照明に電力を供給。

【エネルギー使用パターン分析オープンソフトの開発】(実施主体=長崎県、佐世保市、ハウステンボス、長崎総合科学大学、長崎次世代エネルギーパーク運営協議会、双日、SIIIS、伊藤忠テクノソリューションズ、沖コンサルティングソリューションズ他)

職場等のエネルギー使用状況をセンサーで収集、利用者の行動パターンからムダを分析するソフト。

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