産業用トランス 引き続き堅調な動き リーマンショック前まで回復

トランスは、電源電圧を安定させたり変圧させたりする役割を持っており、機器を陰から支える重要な部品として、あらゆる産業機器に使用されている。電力系統に使用される大型タイプから、電気設備、電子機器・装置に組み込まれる小型タイプまで、多種多様な製品がそろっており、安定した市場を形成している。

産業用トランス市場は、リーマンショックの危機を乗り越えた2010年以降、FA分野、工作機械分野、電子部品分野など市場の回復とともに需要が急速に回復、ほぼリーマンショック前の状態にまで回復している。さらに電力関連やインフラに絡むエンジニアリング関連の需要も旺盛で、高容量・大型のトランスが伸長、大型・高容量トランスの製造ラインを増設するメーカーもある。

経済産業省の機械統計によるトランス(インダクタを除く)の生産金額は、09年(1~12月)はリーマンショックによる市場の落ち込みで140億円と減少したが、10年はリーマンショックからの回復で162億円と前年比15・7%増加、11年は同4・3%減の155億円となっている。

■メガソーラー向け需要拡大

FA分野やロボット工作機械分野以外にも、IT分野、情報・通信分野、アミューズメント分野、医療機器分野などでトランスの需要は堅調に推移している。さらに、新エネルギーへの関心の高さから、風力発電向け製品は以前から需要が伸びていたが、東日本大震災により改めて安全・クリーンな風力発電に注目が集まっており、太陽光発電関連とともに、さらなる市場の拡大が予想される。特に海外では、メガソーラー向けの大型トランスの需要が拡大している。

特注品やカスタムメードトランスの比率も高まっている。ユーザーからは「同じ大きさで容量の違うトランスをシリーズで設計・製作して欲しい」や「同じ容量でサイズが半分のトランスを製作して欲しい」といった様々な要望が多く、専業メーカーでは各種のニーズに合わせた改良・工夫を進めており、新たなアプリケーションの拡大につながっている。

一方、原材料価格は、銅相場が08年の夏にキロ当たり1000円を超えたが同年秋口から急速に下落、10年から上昇に転じたが、今年に入ってからは600円から700円の間で推移しており、比較的落ち着いている。鉄の価格も昨年はトン当たり8万円まで上昇したが、現在は7万円前後で推移、こちらも落ち着いた動きになっており、製品値上げなどの動きは出ていない。

■製品値上げの動きない

樹脂や石油化学製品は、一昨年の原油価格の高騰で昨年はじめに10%から20%値上げされたが、以降は世界的な景気の不透明感から原油価格が下落、値上げなどの動きはなかった。しかし、今年に入ってから核兵器開発が疑われるイランが、米欧による制裁強化に反発し、海上原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖をちらつかせていることなどから、原油価格が高騰しており、今後、石油化学製品への影響が懸念される。

トランスの材料に使用される石油系製品では樹脂のほかにワニス、テープ類などがあるが、トランスは本体の原材料の約80%が鉄や銅で占められており、製造原価に対する材料費が30~45%と高い。例えば容量30VAでは材料費が約30%で、容量が大きくなるほど材料費の比率が高くなる。

トランスメーカーでは、「現在の原材料価格は、決して安いとはいえないが、製品値上げという段階には至っていない」としている。

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