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混沌時代の販売情報力黒川想介 現場での経験が営業感覚を磨く

営業職は経験がものを言う世界であることは間違いない。したがって販売員を評価する時に営業経験年数はひとつの目安となる。経験年数が長くなれば業界知識が増えて有利になる。これは他の職業にも同じことが言える。少し違う点は、営業は人間関係の濃いビジネスという点である。色々な人間関係を築いたり、良好な人間関係を保つにはやはり経験年数が必要になるというのが経験を評価する理由なのだ。昨今では営業の即戦力化を目指しマニュアルがつくられる。マニュアルは先人達の経験を生かした知恵が盛り込まれている。

そのようなマニュアルに沿った訓練を受けた販売員が営業の現場に立って活躍をする営業職がある。それらの営業職は判断する余地が狭い仕事であり、相手を洞察する余地の少ない仕事である。例えばコンビニやファストフードのようなショップ営業などがそうだ。これらの営業は経験より即戦力を身につけさせるマニュアル履修の方が有効である。このような営業は必要があって来店されるお客様が相手であるから判断する余地は少ないし、洞察する深さもそれほど必要としない。これに対し電気部品や制御コンポ営業は、必要なのか不必要なのかわからない見込客を相手にして、こちらから押しかけ出向いて行くのである。判断する余地は限りなく大きく、相手を洞察する深さは大いに必要となる。

昨今の電気部品や制御コンポの販売員は、商品知識やアプリケーションの知識をまず履修して営業に出てくる。お客様を訪問し、自社の強みの納期や価格、そして勉強した商品知識やアプリケーションを提示した後に、いかかですかと言いつつ相手の出方を待つ。競争の激しさが増している時代だから即決を求めていくマニュアル的営業はやむを得ないのだろう。

このような販売をくり返していると相手の出方による対応はうまくなるが、それほど技術的説明のいらない単純な商品には手を焼くし、ひと通りアピールした後、反応が鈍い相手には対応の仕方に困る。それに相手と絡むことがほとんどないから人間関係は築けず、すべては見込客次第となる。これはまさに必要があって来店するお客様を相手にするショップ営業と同じような対応である。クラウゼヴィッツは戦争論の中で述べている。軍隊の中で下級の地位にいた時は大活躍した兵士が、地位が上がるにつれ決断ができなくなって逡しゅん巡じゅんするのは、豊富な経験や知性に基づく判断と洞察力がその地位の水準に達していないからだと述べている。

営業活動に関しても同じようなことが言える。即決を求めていくマニュアル的営業は、当たりが良ければ商談テーマの獲得が増える。しかし、そんなに都合の良い見込み客は少ない。それでも訪問件数をどんどん増やして、ぶつかっていく販売員は、いつか他のやり方や工夫に行き着き、多彩な経験をすることができるだろうが、一般的には反応のない見込み客に袖にされても相変わらず即決を求める一本調子の営業を続けているので多彩な経験をする機会から遠ざかってしまう。

クラウゼヴィッツの言う知性はもち論のこと磨かなければならないものであるが、販売員にとって現場の多彩な経験を積み重ねていくことが営業の現場感覚というものを鋭くしていくのである。即決を求める営業も営業活動のうちの一つのやり方であるが、営業の基本的な動作を日頃実践していれば、即決を求めるやり方と他のやり方のバランスのとれた活動ができるようになり、現場の経験年数が生きてくる。
(次回は3月14日掲載)

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