課題と対策2011年版 半導体製造装置編集 他企業との戦略的提携が必要

【現状】

半導体製造装置産業は、半導体の製造に必要となる各種装置を製造する産業である。半導体の製造工程は複雑かつ高度な技術を必要とし、製造工程ごとに多種多様な装置が存在しており、我が国では、装置ごとに生産している企業が異なっている。世界市場におけるシェアは、米国製造装置メーカーが約47%、我が国製造装置メーカーが約33%と両国が突出しており、その他は一部の欧州製造装置メーカー以外には主な製造装置メーカーは存在していない。

半導体製造装置産業の業況は、一般に半導体産業の設備投資動向に左右される傾向がある。2009年度の日本製半導体製造装置の販売高は、世界経済の低迷等により半導体デバイスメーカーが設備投資を凍結・先送りしたことから、半導体製造装置産業の業況は大きく後退し、年度後半で回復の兆候が見られたものの、前年度比17・9%減の6528億円となった。2010年度は、世界半導体の市況回復に伴い、半導体デバイスメーカーの設備投資が再開され、半導体製造装置市場も大幅な回復が期待される。

2011年度からは継続的な成長局面に入ると思われる。我が国製造装置メーカーの装置の販売先は、比較的外需比率が高くグローバルに事業を展開しているものの、依然として国内市場にも依存している。また、外需の内訳に関し、近年輸出は、韓国や台湾および中国をはじめとするアジア向けが伸びてきている傾向がある。

今年3月に発生した東日本大震災により、東北地方を中心に東京エレクトロン、日立ハイテクノロジーズ、ニコン、キヤノンなどの多くの半導体製造装置メーカーが被災し、インフラの停止や建物、工場設備の一部損傷により一時的に操業停止となったが、その後の復旧作業により3月下旬から5月上旬にかけて生産が再開された。
【我が国半導体製造装置
産業の強みと弱み】

(1)強み

半導体製造装置には幅広い技術が必要になるが、我が国半導体製造装置産業は、米国と並び高い技術力・製品開発力を有している。これは我が国半導体デバイスメーカーとの間で構築されたものであり、例えば、量産工程での使用結果を製造装置にフィードバックし共同で評価実験を行うなど、密接な関係によるところが大きい。加えて、我が国は、ウェハ、薬品、ガスなどの部品・材料産業、およびクリーンルーム、搬送装置などの設備産業など、半導体産業全体として分厚い産業集積を形成しており、これらが総体として競争力を有している。

また、製造装置別に見ても、塗布・現像装置、洗浄装置、メモリテスタなど、我が国製造装置メーカーが世界市場においてトップシェアを獲得しているケースが少なくない。
(2)弱み

我が国主要製造装置メーカーの売上高に対する研究開発費比率が、海外製造装置メーカーと比べて概して低い。半導体市場において、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリ)などのメモリからMPU(超小型演算処理ユニット)などのロジック(演算などデータを処理するIC)への投資が増加傾向の中で、これに応える検査装置等における我が国製造装置メーカーのシェアは低い傾向にあり、今後、こうした分野における我が国製造装置メーカーの競争力の強化が必要となっている。

また、我が国製造装置メーカーはプロセス装置ごとに競争力を持っているのに対し、海外大手製造装置メーカーは、製造工程を幅広くカバーし製造ラインの一括受注をするビジネスモデルを構築している。
【世界市場の展望】

2009年度における半導体製造装置の日本市場は、世界経済の低迷等により半導体デバイスメーカーの設備投資が凍結・先送りされたことから、前年比61・7%減の2130億円と大幅な減少を記録した。

また、世界市場においては、年度後半から回復の兆候が見られたものの、前年度に引き続き低迷し、前年比7・9%減の2030百万ドルとなった。地域別販売高シェアは、台湾が31・0%と最大の仕向地となり、次いで韓国が20・8%、北米が15・7%、日本が11・4%となった。今般の世界的な半導体需要の低下を受け、我が国半導体デバイスメーカーによる統合などの業界再編の動きもでてきており、半導体製造装置業界にとっても大きな影響が生じるものと見込まれる。
【我が国半導体製造装置
産業の展望と課題】

(1)今後の競争力強化に向けた対応

半導体デバイスの急速な微細化・高集積化、ウェハの大口径化、銅配線・低誘電率絶縁膜などの新材料利用などに対応するため、ますます高度な技術が要求されており、積極的な研究開発の取り組みが必要となっている。

一方、そのための研究開発コストが増大しつつあり、製造装置メーカーは各プロセス装置分野において高いシェアを有さなければ収益が維持できない状況にある。

我が国製造装置メーカーの世界市場におけるシェア拡大のためには、半導体デバイスメーカーをはじめとする他企業との連携を一層強化し、研究開発費や実用化リスクを分担しながら、得意技術を持ち寄って、新たな装置開発に取り組んでいくような、戦略的な提携関係を構築していく必要がある。

また、現状の優位性に楽観することなく、半導体デバイスメーカーとの緊密な連携を維持・強化し、今後とも高いアドバンテージを維持する必要がある。
(2)東アジアを中心としたグローバル戦略

我が国製造装置メーカーの輸出比率が年々高まっている中で、特に近年、韓国や台湾及び中国をはじめとしたアジア市場の重要度が増してきている。

こうした中で、これら東アジア地域において、独自の製造装置産業の育成を国策として講じていることから、我が国においても、より一層の技術開発や徹底した知的財産管理などを講じる必要がある。

オートメーション新聞は、1976年の発行開始以来、45年超にわたって製造業界で働く人々を応援してきたものづくり業界専門メディアです。工場や製造現場、生産設備におけるFAや自動化、ロボットや制御技術・製品のトピックスを中心に、IoTやスマートファクトリー、製造業DX等に関する情報を発信しています。新聞とPDF電子版は月3回の発行、WEBとTwitterは随時更新しています。

購読料は、法人企業向けは年間3万円(税抜)、個人向けは年間6000円(税抜)。個人プランの場合、月額500円で定期的に業界の情報を手に入れることができます。ぜひご検討ください。

オートメーション新聞/ものづくり.jp Twitterでは、最新ニュースのほか、展示会レポートや日々の取材こぼれ話などをお届けしています
>FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

FA・自動化、デジタル化、製造業の今をお届けする ものづくり業界専門メディア「オートメーション新聞」

オートメーション新聞は、45年以上の歴史を持つ製造業・ものづくり業界の専門メディアです。製造業DXやデジタル化、FA・自動化、スマートファクトリーに向けた動きなど、製造業各社と市場の動きをお伝えします。年間購読は、個人向けプラン6000円、法人向けプラン3万円から(いずれも税抜)

CTR IMG