経済産業省は9月時点での地域経済産業調査を行ったが、東日本大震災発生に伴うサプライチェーンの寸断の影響がほぼ解消し、全国10地域の景況は持ち直しの動きが見られる。ただ、為替の動向、電力供給の制約、海外景気動向など先行きには下振れするリスクもあり、予断は許さない面もある。
このうち、設備投資の動向を10地域別に見ると、北海道は維持・更新が中心であるが、能力増強投資なども見られ低調ながら持ち直しの動きとなっている。震災後、リスク分散先、生産拠点の複線先として道内への工場などの立地決定が見られる。
東北は、震災後の設備復旧や新規・増産投資により持ち直しの動きが見られる。多くが被害を受けた設備の復旧を優先し、リスク分散のため海外生産拡大の動きも見られる。
関東は化学、鉄鋼では高付加価値材への投資、輸送機械では生産能力増強などの投資を検討する企業も一部にあるが、国内は維持・更新が中心。大企業製造業中心に海外投資増加を計画する企業も多い。
中部(東海)は製造業を中心に多くの企業で前年水準もしくは増加を計画。内容も国内向けは更新が多く、一部に研究開発拠点化なども見られる。海外向けは新興国需要に対応した生産能力強化が増加している。中部(北陸)は、製造業は新興国需要の増加から、設備増強や研究開発投資が見られたほか、海外現地工場の増強を図る企業もある。
近畿は、海外拠点への能力増強を目的とした投資が拡大し、国内からのシフトが進展している。環境、エネルギー関連、研究開発投資は内外とも積極的で、総じて現状は持ち直し基調を維持している。
中国は、製造業では維持・更新などの動きが続く中、自動車関連を中心に電子部品・デバイスなどにも積極的な投資の動きが見られる。
四国は、設備の維持・更新に絞る企業や、内需不振・円高などで設備投資削減や計画を先送りする企業が見られるものの、電子部品・デバイス、非鉄金属、化学などの製造業を中心に持ち直している。
九州は、今年度上期も前年度に引き続き持ち直し傾向で推移。震災後、首都圏から九州に進出する例や、海外での生産能力増強を図る動きもある。一方、被災したグループ企業の復旧費捻出や海外経済の減速懸念などから設備投資を下方修正する動きも一部で見られる。
沖縄は、製造業では主に既存設備の更新などがあるものの、全体としてはおおむね横ばいとなっている。