オムロン復興に向け供給を最優先第2四半期以降部材調達リスクの可能性

オムロンは2012年3月期の業績見通しを、東日本大震災による影響がはっきりしないとして第1四半期の売上高1450億円(前期比1・3%減)を公表するのみに留まった。一方、同社では今期は第1四半期まで部材の確保ができているが、第2四半期以降は部材確保のリスクが残るとしている。こうした中、同社作田久男社長は「震災復興のため、メーカーとして全力を挙げ供給責任を果たしていく」と、供給を最優先にしていくことを表明した。

同社の11年3月期は、国内外ともに主力の制御機器事業が好調だったことで、売上高6178億円(前期比倍率1・18倍)、営業利益480億円(同3・67倍)、税引前純利益417億円(同4・09倍)、純利益268億円(同7・61倍)と大幅な増収増益となった。

一方、同社グループの国内全17拠点は、震災による直接的な人的被害や物的被害はなく、通常通りの生産を行っているが、間接的影響により、オムロン飯田(長野県)で車載電装部品の一部、オムロン阿蘇(熊本県)で環境関連機器の一部生産を停止している。

また、今後のセグメント別の需要・部材調達の見通しに関しては、各セグメント別の需要の増減は想定できるものの、通期での見通しは不透明な状況としている。また、各セグメントとも第1四半期での部材は確保、生産は通常通り実施できるとしているが、第2四半期以降は旺盛な需要となった場合、部材調達リスクが残るとしている。

各セグメント別の具体的需要見通しは、IAB(工場自動化用制御機器)が海外は震災の影響がなく拡大基調が継続、国内は需要増加が見られるが供給逼迫を受け前倒し需要の可能性もあり、需要増の継続には不透明さがあるとしている。EMC(家電・通信用電子部品)も海外は拡大基調が継続するが、国内は民生分野で一時的に需要の減少が見られるという。

一方、AEC(自動車用電子部品)は震災が大きく影響し、国内外ともに顧客の生産計画が不透明な状況で推移することを予想、SSB(社会システム)とHCB(健康医療機器)は震災の影響が大きく、需要の減少を懸念している。現在、CPU関連や電解コンデンサ、コネクタなどの部材がタイトであるが、同社では震災後の経済復興に寄与するため、供給責任を果たすことを最優先にし、部材調達力の強化と柔軟な生産体制を採ることで、IAB、EMCなど主力事業の供給力を確保していく。

作田社長は「震災復興のため、メーカーとして全力を挙げ供給責任を果たしていく。また、グローバルビジネスの拡大と構造改革の推進は、継続して加速させていく」と当面の方針を語っている。なお、同社では震災の影響を早期に見極め、6月中旬を目処に今期の業績予想を発表する予定である。

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