分岐点

2010年6月23日

来道望、38歳、トップセールスマンの1日。朝6時に起こされる。「あと10分……」と言うと、来道の体内センサーの情報を検診したロボットが「体調良好」を告げ、手を引っ張って目を覚まさせる。来道は、ロボットから睡眠中にインプットされた今日のスケジュールの行動を始める。

8時に世界5カ国の営業会議。仕事部屋のスクリーンを見ながら販売促進を話し合う。椅子に座り会話ボタンを押す。画面には機械同時通訳による日本語が表示され、外国語の不得手な来道も会話に不便を感じない。会議を終え、訪問先の資料を整える。自家充電を終えた自動車の座席で行き先を入力すると、目的地まで自動運転してくれる。

衛星通信で高速道、一般道を使い分け最短時間で到着する。訪問先の担当者が工場を見たいと言うので、来道は端末機に映し出す。高齢者、女性に混じりロボットが仕事をしている。高齢者をアシストしたり、部品を器用に取り付ける者(?)など、いろいろな特技を備えたロボットがいる。

夕食は友人との話が弾み酔いも回った。今は、自動運転なので飲酒運転の罰則はない。午後10時帰宅。マイクロバブル付き湯船で頭や身体を洗う。手がかからない。湯上り酒を口にしたとき、体内センサーから「禁止」の信号が出てロボットが横取りする。寝床に就き「俺は人間か」との疑問が過ぎる。手には読みかけの「科学技術未来予測」が握られていた。