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省エネ追い風に好調なインバーター 電力の効率使用に向けて市場が急拡大 省エネ法改正で需要増に拍車外需も中国市場が大きく牽引

08年のリーマンショックの影響を受けていたインバーターの生産も、1年を経過した昨年秋以降、急ピッチで需要を盛り返している。経済産業省の機械統計をベースにして日本電機工業会(JEMA)がまとめている生産統計では、08年度は対前年度比12・5%減の754億円となった。09年度も08年度後半の落ち込みの影響を受けて同30・6%減の523億円と2年連続減少となっている。しかし、9月以降の下期は急ピッチで回復傾向を見せており、10年度の見通しは、24・7%増の652億円としている。

この見通しも、今年1月頃の状況をベースに立てていることから、実態はさらに好転している。インバーター各社の今年3月、4月の生産状況は、昨年同月比で170~180%と倍増近い状況が続いている。昨年の今頃がインバーター生産の最も底の時期であったことから、多少割り引いて見る必要があるものの、JEMAの見通しからは10ポイント以上高い伸びが続くことはまず間違いないと言えそうだ。このようにインバーターの需要が拡大している大きな要因として、中国市場の急回復が挙げられる。中国は景気刺激策として、家電品や自動車の普及に向けた補助金政策や、社会インフラ整備に向けた積極的な投資を行っている。家電品の普及は電力消費を増大させるだけに、省エネ対策と新エネルギー拡大は重要な柱となる。インバーターはエネルギー効率を向上させる機器だけに、インバーターを搭載した機器を優先的に採用する傾向が強まり需要増加に繋がる。家電機器だけでなく、空調やエレベーターといった建物関連向けでも需要が伸びている。

また、新エネルギーであるソーラーや風力といった発電の周辺機器でもインバーターの需要が生まれている。

国内市場も同様の傾向であるが、中国市場ほど社会インフラ絡みの投資や、工場の生産拡大向けの投資が少ない。中でも建物向けの需要は、新規と並んで市場を牽引してきたリニューアル工事が先行き伸び悩むという見方が強くなっており、気がかりな点といえる。

ただこうした急速な需要の立ち上がりは、低水準の生産体制を敷いていたインバーターメーカー各社の販売計画を大きく狂わせ、納期対応が厳しくなっている。パワー半導体、抵抗、コネクタなどといった電子部品の供給不足も加わり、増産体制が取りづらいという背景もあり、需要と供給のバランスが崩れているのが現状だ。さらにインバーターにとって地球温暖化問題は、他の機器以上に大きな追い風になっている。

97年の地球温暖化防止京都会議(COP3)で、各国の温暖効果ガスの削減目標が定められ、先進国全体で08年から12年までの平均値で、90年の排出量に対して5%削減(日本は6%削減)することになっているが、鳩山政権はこの数値を20年までに25%削減する方針を掲げている。

今年4月からの改正省エネ法では、これまでの工場・事業所単位から企業全体としてCO2の使用削減目標が設定されることになっており、さらに規制が厳しくなった。

温暖効果ガス排出量の大半はCO2で、なかでも工場など産業部門からの排出が40%を占めているとされ、そのうちモーター負荷から生じている割合が70%といわれ、ファンやポンプなどの空調関連機器、搬送用のエレベーターやクレーン、コンベアなどで使われるモーターの省エネ対策が大きな鍵を握っている。モーターへのインバーター装着率は年々上昇し、現在は30%程度にまで高まっていると見られているが、誘導モーター(IM)や同期モーター(PM)にインバーターを装着することで、インバーターが自動的に最大効率運転を行ってくれるという省エネ・省力化などの効果が、徐々に評価・浸透しつつある結果といえる。

新規購入のモーターはほとんどがインバーターを装着しているものと見られることから、既設モーターのインバーター装着を促進することが普及の大きな鍵とも言えそうだ。

現在のインバーターは、産業用モーターの可変速装置から省エネ機器の制御装置としての役割へ大きく変化しているともいえる。

インバーターは、ビル・工場では空調機器や各種換気用ファン、給配水ポンプ、ボイラ、それにエレベーター制御などで使われている。さらに、搬送機械や加工機械、製紙・印刷機械、工作機械などから食品機械、環境・生活関連機器、医療・健康関連機器、アミューズメント、農業機械など、産業用から民生用まで、あらゆる分野の可変速用途や省エネ用途に浸透している。新用途では、レジャー設備であるパチンコの玉搬送システムやゴルフ練習場のボールセッティングシステム、外食産業の鮨ロボット制御システムなどにも広がっている。

インバーターは、直流を交流に変換することで、モーターの可変速制御を実現する。要求される負荷の種類によって最適なモーターを選定することで、省エネ効果がさらに発揮できる。クレーンなどでは回生エネルギーの処理が省エネに繋がり、負荷に応じてモーターを高効率運転することでも省エネ効果を生み出す。いま太陽光発電用などに使われているパワーコンディショナの出力制御部にはインバーターが使用され、新たな需要を生み出している。太陽電池モジュールから得られた直流電圧を交流に変換制御する役割を果たしているが、この時のパワーコンディショナに内蔵されているトランジスタへの負荷低減や、電磁ノイズの低減、出力リアクトルの小型化などにも繋がっている。

最近のインバーターは、性能の向上とともに誰でも扱える操作の簡便性や小型・軽量化、低騒音化、安全性、ネットワーク対応などがあげられ、なかでも使い易さと省エネ性の向上は重視されている。

周波数やパラメーター設定がジョグダイヤル式コントローラーを回すだけでできる機種が一般化しているが、一方でこうした複雑で面倒なパラメーター設定を不要にしようと、ファン、ポンプ、コンベア、昇降機などの用途を選択するだけで、自動的に最適なパラメーターに設定できる製品もある。また、配線を簡単にするための着脱式制御端子台の採用も一般的になっているが、最近はパラメーターバックアップ機能付きの端子台を採用した製品もあり、ユニット交換時に制御配線とパラメーター設定が不要になることで、作業工数が従来品比で約5分の1になるといわれ、メンテナンスの省力化などに大きく繋がる。

端子台も、日本はねじ式が一般的であったが、最近は欧州方式と言われている圧着端子を使わないスプリング式が増えている。

スプリング式は、配線ケーブルの皮むき作業が不要で、端子台にケーブルを差し込むだけで配線が完了することから、配線作業時間が大幅に削減できる。スプリングによる配線保持機能で、振動による緩みでの接触不良も防止でき、メンテナンス作業が省ける効果もある。海外向けは、こうしたスプリング式タイプがほとんどであるが、国内ではユーザーによって両方が使われている。このためインバーターメーカーの対応も、すべてスプリング式にしているところと、2方式を併用販売しているところに分かれている。

インバーター各社とも良好なトルク特性をアピールしており、短時間最大トルクを3・7kW以下で駆動周波数1Hz150%から0・5Hz200%が増えている。短時間過負荷耐量も200%で0・5秒から3秒にアップさせ、過電流トリップになりにくくねばり強い運転を可能にしている。しかし、こうしたなかで過負荷定格を、軽負荷と重負荷に分けることで定格出力電流を調整し、最大適用モーター容量の拡大によるインバーターサイズの小型化使用を可能にしている。

モーターの開発も進展している。誘導モーター、同期モーターに加え、最近は永久磁石埋め込み形同期モーター(IPM)や表面永久磁石形同期モーター(SPM)を使った製品が市場に投入されてきた。

これらは、永久磁石を回転子に使用したもので、誘導モーターより7~10%効率が良くなるといわれている。

00年には「JIS

4212高効率低圧三相かご形誘導電動機」規格が制定された。ここでの高効率モーターは、損失が標準モーター比約20%低減されて省エネ効果が得られるほか、温度上昇も小さく長寿命・高信頼性にも繋がる。長時間使うことで省エネ効果も高まり、ランニングコストの軽減も図れる。JEMAの資料によると、高効率モーターは標準モーターに比べてイニシャルコストは30%ほど割高であるが、消費電力が節約できるため、稼働時間が長くなるほど電気料金が割安になり、初期の設備経費増加分を短期間で回収できるとしている。

従来高効率モーターの駆動には専用のアンプが必要であったが、これをインバーターのアンプを使い、誘導モーターだけでなく、同期モーターも駆動できるインバーターが各社から発売されつつある。設定の切り替えで両方のモーターに対応できることで、インバーターが1台で済み、導入にあたっても、予算に応じてモーターを段階的に購入していくことも可能になる。

09年度からは、高効率モーターを搭載した空調用機器の送風機及びポンプを公共工事の調達の際にグリーン購入法で指定された。

チューニングの技術も進んでいる。オートチューニング機能では、調整項目を自動化し、加速時間や減速時間の調整、出力電圧の調整、さらに加減速パターンや上限周波数の調整まで自動的に行えるものもある。

停電時にモーターが暴走しないように素早く安全に停止させる減速レートや、設定したモーターパラメータと実際値を近づけて補正の自動調整を行うチューニングもある。

こうしたチューニングが簡単に行えるようにすることで、機械・機器にあまり熟練していない人でもインバーターを容易に扱える環境が整いつつある。

省エネ化への貢献というインバーター化ニーズに応え、省エネ度を数値で表すことができる省エネモニターが搭載されている。

省電力率、省電力量、省電力平均値などの省エネ関係の数値が、インバーターの操作パネル上のほか、出力端子やネットワーク経由でも確認でき、省エネの効果が一目瞭然となる。設備メンテナンスの点から、モーター累積運転時間やインバーターの運転・停止などの起動回数を、自動的に積算できる機能を内蔵している。インバーターは、セットメーカーの機械に組み込まれて海外で利用されることも多いが、制御ロジックのシンク/ソースの切り替えができ、グローバル対応が可能な機種も数社から発表されている。

小型・軽量という面では、盤や機械の省スペース化に対応した小型機種が、各社から豊富にラインアップされている。

シンプル構造の名刺サイズのものもあり、スピードコントローラーの置き換え需要などとしての搬送用途などが増加している。

異なる容量でも高さ・寸法を統一することにより、盤内のレイアウトの容易さを図った機種や、取り付け場所に合わせて「サイド・バイ・サイド」で密着して取り付け設置が可能な製品も一般化している。

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