注目集めるハイブリッド配線システム 電力の供給と利用を効率化直流/交流併用の環境整備 制御機器業界も需要期待

2010年4月21日

CO2削減・省エネにつながる次世代の住宅内配電システム「AC/DCハイブリッド配線システム」など、電力の供給と利用を効率化する「スマート・グリッド構想」を実現する動きが加速しているが、各住宅メーカーでは電力を効率的に利用する次世代住宅の研究・開発を推進しており、これらに関わる制御機器業界としても、民生用分野における大きな需要を形成するものとして期待を寄せている。
AC/DCハイブリッド配線システムは、電力会社から送電される交流電力と、太陽光発電システムや燃料電池などで作られる直流電力を効率よく配電するシステム。地球の温暖化が問題視される中、電力の送電網とITを融合し電力の供給と利用を効率化するスマート・グリッド構想が拡大している。

一方、一般家庭ではLED照明器具や換気扇、デジタル家電製品など本来直流で駆動できるものの、交流で駆動している電気設備が増えている。こうした状況下、太陽光発電システムの採用増加に伴い、直流電力が利用しやすい状況になっている。

家庭内に直流電力を供給することで、現在、交流電力を直流へ変換して使用しているLED照明器具や、換気扇などの電力効率が高まるとともに、CO2削減にも繋がる。

制御機器メーカーの中では、パナソニック電工が09年度からNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「次世代高効率エネルギー利用型住宅システム技術開発・実証事業」に参画し、次世代の住宅内配電システムといわれるAC/DCハイブリッド配線システムの研究・開発に積極的に取り組んでいる。

この実証事業は、住宅内の交流・直流併用システムによる省エネルギー効果を実証し、普及促進のための機能を検討することで、民生部門でのエネルギー消費量削減に貢献することを目的とする事業。

同社では、創業時の配線器具をはじめ、家庭内の配電システム設備などで長年培ってきた配線・配電技術を駆使し、交流電力と直流電力を上手に使い分けることで省エネを実現する次世代のAC/DCハイブリッド配線システムの実用化を目指しており、パナホームに同システムを提供し、実証棟の建設を進めている。

住宅内電力の合理的な配電インフラシステムの構築と、情報化・DC化に対応した安心・安全確保の製品開発を目指しており、当面は設備系機器から導入・普及を図り、将来的には直流汎用コンセントから高容量機器への展開を図る予定である。

同社では、同システムを導入することで、交流から直流へ変換するロスがなくなり、家全体で5~10%の省エネ効果が見込めるとしている。また、蓄電池との組合せで停電時バックアップの容易化などのメリットを挙げている。

一方、住宅メーカーでもスマート・グリッド構想を視野に入れ、各種の電力効率化に向けた取り組みが加速している。

積水化学工業では、住宅事業において光ネットワークにも対応する新築住宅向け家庭用有線LAN・情報配線システムとして、独自の技術によるハイブリッド配線システムを紹介している。LANケーブルやテレビ同軸ケーブル、電話線などをまとめて集中制御でき、LANによる高速ギガビット通信など、美しく安全で便利な配線システムを謳っている。

ミサワホームでは、エネルギーを最適に制御する「スマートハウス」の実証実験に乗り出しており、燃料電池や蓄電池を搭載した実証棟のデータ収集を開始している。また、住宅内のエネルギーの見える化が図れる「エネルギーモニターシステム」を開発、昨年商品化した。同システムを導入することで、家庭の住人の省エネルギー意識を喚起させ、省エネ行動でエネルギーの消費を抑えようというもので、10%程度の節電効果が期待できるとしている。

また、大和ハウス工業は、太陽光で発電した電力や割安な夜間電力を蓄え、光熱費の節減や省エネを進めることを目的に、蓄電池付き住宅の商品化を推進している。

このように、各住宅メーカーでは電力を効率的に利用する次世代住宅の研究・開発を加速させており、関連するメーカーや商社では大きな期待を寄せている。