【灯台特別編】2026年の成長のためのキーワード安心・安全・安易(簡易)・安定+安価日本のFA・製造業の底力を信じよう

2026年が幕を開けた。 FA業界の市況は決して万全とは言えないが、回復基調にあるのは確か。日中・米中関係など地政学リスクは依然としてくすぶっているが、人手不足に対する世界的な自動化需要は日本のFA・製造業界にとっても追い風。これをどう獲得し、成長につなげていくかが今後の成長を左右する。
日本のFA・製造業は世界でも高評価を受けているが、その実力を一番信じきれていないのが足元の日本市場だったりする。今後の成長・発展にはその認識を改めることが不可欠であり、日本市場から成長の芽を産み出すことが重要。そのきっかけ、ポイントとなるのが「安心・安全・安易(簡易)・安定」と「安価」という「4+1の安」であり、2026年のキーワードだ。

1つ目の「安心」は、日本の製造業とその製品は、高品質と高信頼性、高機能で世界に認められている。本来は貴重なはずだが、顧客にとってはこれが当たり前になっており、その価値は忘れられ、見落とされがち。さらに近年は、製品そのものの質の高さに加え、遠隔監視やリモートメンテナンスなどで不安なく使える環境構築を通じて、「安心」の提供を強化している。「日本の製品は安心して選べて、使える」という価値をメッセージとして伝え、当たり前ではないことを再認識させることが大切だ。

2つ目は「安全」。二つの重要な側面があり、 一つは「労働安全」。人手不足が深刻化するなか、企業にとって現場で働く人々はかけがえのない財産。かつ近年はロボットなど機械と人が協働する製造工程も増えてきており、現場の人を守り、安心して働ける環境を提供するための安全への関心はかつてなく高まっている。
もう一つは「サイバーセキュリティ」。工場内のあらゆる機器がネットワークでつながる時代、サイバー攻撃の脅威は拡大の一途をたどっている。いまや物理的な安全だけでなく、デジタルな脅威から現場を守るサイバーセキュリティ機能の実装は、機器選定の必須条件となりつつある。

3つ目は「安易(簡易)」。現場を支えてきた熟練技術者は減り、経験の浅い作業者や多様な人材が現場を担う場面が増えるなか、高機能であっても専門家しか扱えないのでは意味がない。誰もが直感的に、簡単に、深く考えなくても現場で設置・設定でき、使いこなせることの価値は年々高まっている。

4つ目は「安定」。 これは機械の安定稼働ではなく、「製品の安定供給」を指す。ここ数年、製造業回は納期遅延や受注残の消化に苦しみ、市場は混乱し、業績の足を引っ張った。その反省に立ち、「欲しい時に、確実に手に入る」という安定供給能力は、以前にも増して重要な信頼の指標となっている。

そして、最後のもう一つの「安」が「安価」だ。これまで日本の製造業は、高付加価値・高単価なハイエンド市場を目指し、安価な汎用ゾーンは中国や新興国に譲ってきた。しかし電気代や材料費が高騰する今、顧客はコストに極めてシビアになっている。「安かろう悪かろう」だった新興国製品も年々品質を高め、これまで培った信用やブランド、長期運用に耐える信頼性といった点以外に、単純な性能では差がなくなりつつある。このままでは安価な汎用品で実績を上げてハイエンド市場に侵食してくることが容易に想像できる。
それを防ぐためにも、意図的に安価な土俵で勝負することが重要であり、実際にセカンドブランドや設計・製造地域の見直しで対抗しようとするメーカーも出てきている。新興国の人件費も高騰し、日本とのコスト差も昔ほどなくなるなかで、あえて価格競争力の高い製品で戦いに挑むことも戦略のひとつだ。

結局のところ、「4+1の安」と言ってもその本質は、いかにお客様の要望や事情、そしてそれを取り巻く市場環境に寄り添った製品づくりや提案ができるかということに尽きる。とかく売る側は未来や最先端を語りがちだが、顧客が求めているのは「目の前の現実的な課題」の解決法だったりする。
2026年に限らず、今後の日本のFA・製造業が取るべき戦略は、お客様と自社都合のバランス。少しお客様側に重心を預けてみると、違った世界、新たなチャンスが見えてくる。

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