- コラム・論説
- 2020年5月13日
【FAトップインタビュー】シュナイダーエレクトリック、新たな製品カテゴリ「Easyシリーズ」本格展開 品質とコスパを両立した戦略的製品群 第一弾として積層表示灯「XVGKシリーズ」発売

シュナイダーエレクトリックは、シンプルな機能と高い信頼性、優れたコストパフォーマンスを持つ製品カテゴリとして「Easy(イージー)シリーズ」を世界で展開し、このほど日本市場でも展開を進めている。Easyシリーズとして電磁リレーやパワーサプライ、HMIを既にローンチしており、この度、機械の上部に取り付けて、機械の状態の可視化と報知を司る積層表示灯「XVGKシリーズ」を新たにラインアップに追加した。
Easyシリーズは、中国などローカルのFAメーカーが力をつけ、価格競争で攻勢を強める市場で、そこへの対抗手段として投入され効果を発揮。シェア争いを有利に運ぶことに一役買っている。
そんなEasyシリーズを日本市場に投入する理由はなんなのか?どう提案していくのかについて、シュナイダーエレクトリック 川田 氏に話を聞いた。そんなEasyシリーズを日本市場に投入する理由はなんなのか?どう提案していくのかについて、シュナイダーエレクトリック 川田 氏に話を聞いた。

(インダストリアルオートメーション事業部 商品企画本部 本部長 川田 学)
安価で高品質、価格競争力に優れた「Easyシリーズ」
――今回、新たに投入する「Easyシリーズ」は、どういった位置づけの製品群なのでしょうか。
「Easyシリーズ」は、FAの主要なコンポーネントを「シンプルかつ高い信頼性を持つ製品」として再定義したシュナイダーエレクトリックの新しいサブブランドになります。
このシリーズが生まれた背景には、当社のグローバル戦略である「マルチハブ戦略」があります。これは「地産地消」の考え方で、地域のお客様のニーズに合わせてものづくりを行い、その地域で販売するというものです。特に中国をはじめとする新興国市場では、何十年も前からこの戦略を展開してきました。
――欧州基準で開発した製品をそのまま新興国で販売するには、価格や仕様の面でギャップがあったということですね
その通りです。例えば中国市場では、現地の開発部隊「China Hub」が中心となり、中国のローカルメーカーと十分に戦える、コストパフォーマンスに優れた製品を開発して展開してきました。ローカルメーカーの製品は、想像を超えるほど安価で提供されており、新興国の厳しい市場で勝ち抜くためにEasyシリーズは生まれました。
いまEasyシリーズを日本市場に投入する理由
――であれば、新興国ではない日本でEasyシリーズを投入するのでしょうか?
近年、市場環境が変化し、日本の機械メーカーの多くが、より一層、輸出、特に東南アジアを含めたアジア市場への展開に力を入れるようになっています。そうなるとお客様である日本の機械メーカーは、現地のローカルメーカーとの激しい価格競争に直面することになります。
市場を分析する中で、そうした日本の機械メーカーが競争に打ち勝つための「伴走者」として当社が何ができるかを考えた結果、その答えがEasyシリーズを日本のお客様にも提供することだったのです。
――新興国向けに開発された製品を、日本の輸出機械メーカーにも活用してもらう狙いということですね。実際、Easyシリーズの品質面については、従来シリーズと比べてどうなのでしょう
Easyシリーズは「必要として十分な機能と、高い品質」をコンセプトに、コストパフォーマンスを高めるために、お客様のメインの需要から外れるような余分な機能はそぎ落としています。一方で、製品を製造している工場や流通経路、品質基準は、これまでの製品と全く同じ。世界でも優れた工場として認められている「Lighthouse」で製造している製品もあります。機能がシンプルな分、お求めやすい価格でありながら、ブランドとしての信頼性はしっかりと担保されている。それがEasyシリーズの最大の特長です。
Easyシリーズの新ラインナップとして、積層表示灯「Easy Harmony XVGKシリーズ」が新発売された。製品やターゲット、販売戦略について、坂本 氏に聞く。

(インダストリアルオートメーション事業部 商品企画本部 シグナリング製品担当 坂本 麻乃 )
――Easyシリーズとしてどんな製品を展開していくのですか?
日本市場へ展開するEasyシリーズに、積層表示灯「Easy Harmony XVGKシリーズ」を新たに追加します。XVGKシリーズは、「使いやすさ」コンセプトに掲げ、「設計」「取り付け」「品質」に特長があります。
「設計」の面では、市場で最も需要の高いAC/DC24Vの3段タイプなどを中心にラインナップを絞り込み、お客様が選びやすいようにしています。機能を厳選しシンプルな設計とすることで、コストの最適化も実現しています。
「取り付け」では、4種類の取り付け方法を用意しています。特に好評なのが、輸送時に折りたたみ、現地での立ち上げ時に六角レンチ1本で作業が完了する「可倒式」のタイプです。
――品質やデザイン面はいかがでしょうか。
品質面では、保護等級は最大でIP65に対応し、厳しい環境でも安心してご使用いただけます。製品保証も18ヶ月間設けています。
デザインについては、グローブ(発光部)が凹凸のない滑らかな形状にすることで、埃がたまりにくく、清潔感を保ちやすいデザインとなっています。スタイリッシュな外観は、機械全体のデザイン性向上にも寄与します。
――どういった業界、業種の機械メーカーをターゲットとしていますか?
半導体製造装置をはじめ、各種王策機械や包装機、あるいは制御盤など、標準的な仕様の積層表示灯をたくさん使うお客様に最適です。特に、量産される機械に標準採用することで、昨今の部品価格高騰に対するコスト改善に大きく貢献できます。
競争激しい積層表示灯市場とシュナイダーの勝算
――積層表示灯の国内市場は、競争が激しくなっています。
この製品が単なる「新しい安価な製品」ではないという点に勝算があると考えています。Easyシリーズは、日本市場よりもさらに厳しい価格競争にさらされている中国などの激戦区で、現地のローカルメーカーと戦うために開発され、実績を積み重ねてきた製品群がベースになっています。最近の中国ローカルメーカーは、もはや「安かろう悪かろう」ではありません。機能も品質も十分に高く、それでいて価格は非常に安い。そうした手ごわい相手と戦っていくなかで磨かれた競争力が詰まっています。
――価格だけでなく、品質やブランド力も武器になるということですね。
価格だけでは、お客様に安心して採用いただけません。シュナイダーエレクトリックというグローバルブランドが長年培ってきた品質への信頼と、世界中に広がるサポート体制が、他社やローカルメーカーとの明確な差別化要因になると考えています。
価格についても、国内の競合製品と十分に戦える、「驚くほど安い」と感じていただけるような意欲的な価格設定になっています。
――どのように拡販を進めていきますか?
当社のHMI製品である「Pro-face」のお客様を、はじめの主なターゲットと考えています。Pro-faceのHMIが付いている機械でも、積層表示灯は他社様の製品が使われているケースが非常に多く、当社にとって大きなチャンスです。
「Pro-faceの隣を獲る」を合言葉に、すでに取引のあるお客様に対して、積層表示灯も当社製品に切り替えていただくことで、品質、サポート、そしてコストといったトータルでのメリットを享受していただけるよう積極的に提案していきます。
「Easyシリーズ」でFA市場に新たな価値提供を
――今後に向けて
アローブランドからの長年の採用実績を背景に、Easy Harmony XVGKでは設計とラインアップを大きく見直した満を持して投入する新製品です。「シュナイダーの新しいタワーライトを採用して本当に良かった」と思っていただけるよう、しっかりとお客様に価値を届けていきます。
また、単なる新製品追加ではなく、この製品を起点に「Easy シリーズ」という新たなカテゴリーを市場に強く訴求していきます。
高機能・高性能な標準品に加え、コストパフォーマンスに優れたEasyシリーズという選択肢が増えることで、お客様のあらゆるニーズに、よりきめ細かくお応えできるようになります。FAのコンポーネントを幅広く持つシュナイダーだからこそできる価値提供を、さらに推し進めていきます。
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