- FA業界・企業トピックス
- 2022年9月28日
日本ロボット産業の再興に向け AI×ロボティクスで官民の動きが活発化 経産省、25年度内に新戦略策定 民間で大規模M&Aも

これまでロボット業界は産業用ロボットが市場の中心を担っていたが、サービスロボットの普及によって両者間の垣根が低くなり、さらにAIの進化によって、ロボットの活動範囲は、限定された空間内の単一作業の繰り返しから、日常空間でのさまざまな作業を担う多用途に広がる道がひらけつつある。中国や欧米ではすでに先行して取り組まれているが、日本でもここに来て、国による支援戦略や企業同士の共創による開発プロジェクト、M&Aなどが活発化。世界一のロボット大国の復権に向け正念場を迎えている。
官ではAIロボティクス戦略、ロボット議員連盟など
経済産業省は、ロボティクス産業の潮目の変化を受け、8月から9月にかけてAIロボティクス検討会を開催し、2025年度末までに「AIロボティクス戦略」を策定し、多用途ロボットの開発と実装を推進することを決定した。
検討会では、これまでの国のロボット支援策については、2015年のロボット新戦略や2019年のロボットによる社会変革推進計画でロボット導入の環境整備を進めてきたが、一定度の成果はあったものの、全体としては期待されるほど社会実装は進まなかったと総括。さらに、サービスロボットでは他国に遅れをとっている現状を認識し、その上で、AIを搭載して自律制御ができ、多用途に使えるロボット開発と導入を進めていく方針とし、国産のロボットメーカーやSIerの育成、構成するコンポーネンツやソフトウェアスタックに対する適切な支援策を整備していく考えを示した。
また3月には、自民党の国会議員の呼びかけでロボット議員連盟が設立。日本のロボット戦略をアップデートし、ロボット大国・日本の再起を目指すことを目的とした国会議員が集まり、政治の世界でもロボット産業への関心は高まっている。
SBによるABB買収や人型ロボット開発の連合組織など
民間の動きも活発化している。
安川電機は、2015年創業のロボティクススタートアップで、ロボットシステムの開発・製造・販売を行う東京ロボティクスを買収し子会社化。ヒューマノイド向けのアクチュエータ開発を強化している。
ソフトバンクグループは、産業用ロボットのグローバル大手の一角、ABBのロボティクス事業の買収を決定。買収金額は約8200億円。ABBロボティクスは、自社の先進技術と業界の知見に、ソフトバンクのAI、ロボティクス、次世代コンピューティングが加わることで事業強化ができるとし、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は「ソフトバンクの次なるフロンティアはフィジカルAI。ABBロボティクスと共に、世界最高水準の技術と人材を、 ASI(人口超知能) とロボットの融合という共通のビジョンのもとに結集させ、人類を前進させる画期的な進化を推進していく」とした。
ほかにも、7月には日本のヒューマノイドロボット産業の再興を目指す新団体「一般社団法人KyoHA(京都ヒューマノイドアソシエーション)」が設立。早稲田大学、テムザック、村田製作所、SRE ホールディングスが設立メンバーとなり、ヒューマノイド開発に必要なハードウェア開発の国産連携体制の構築や国産サプライチェーン構築などに取り組んでいる。新たに沖縄科学技術大学院大学(OIST)、マブチモーター、カヤバ、NOK、ヒーハイストも参画し、その輪が広がり始めている。
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/ai_robotics/20251008_report.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000086174.html
https://new.abb.com/news/ja/detail/129685/abb-to-divest-robotics-division-to-softbank-group
