日本政策金融公庫総合研究所「中小製造業設備投資動向調査」中小製造業も設備投資は旺盛 過去20年で最大となる見通し 既存設備の更新、維持がメイン 省力化や新製品生産も上向きに

日本政策金融公庫総合研究所は、中小製造業の設備投資の動きをまとめた「中小製造業設備投資動向調査」の2025年4月調査版を公開し、2025年度の中小製造業の国内への設備投資の総額は前年度より0.8%増で計画されており、コロナ禍前の状況を超え、リーマンショック前の水準かそれ以上まで伸びてきている。
調査は、総務省事業所母集団データベース(令和3年次フレーム)をもとに、全国の従業員20人以上300人未満の中小製造業5万5633社のうち3万社を選定してアンケート調査を行い、7298社からの回答からまとめたものとなる。

2024年度に中小製造業で行われた国内への設備投資額の実績は、前年度比8.4%増の3兆421億円。過去20年で初の3兆円超えとなり、最高額を記録。
業種別では、金額の多いものから食料品が9.8%増の5187億円、金属製品が0.1%減の3339億円、生産用機械が3.9%減の2974億円、輸送用機器が16.0%増の2345億円、化学が9.1%増の2230億円となった。全17業種のうち12業種でプラスとなり、食料品、輸送用機器、化学のほか、繊維・繊維製品で41.3%増、木材・木製品で45.0%増、業務用機械で42.6%増、はん用機械で27.4%増となった。
設備投資額の目的別では、構成比の高い順に「更新、維持・補修」が37.2%、「能力拡充」が25.1%、「新製品の生産・新規事業への進出、研究開発」が16.8%、「省力化・合理化」が13.8%となっているが、ここ数年の増減率の推移をみると、「更新。維持・補修」は老朽化設備対応で年々増加傾向にある一方で、「能力拡充」は部材不足、納期問題への対応のため数年は増加が続いていたが、それが落ち着いたために減少し、それに代わって、控え、抑えられてきた「新製品への生産」や「省力化・合理化」の割合が上向きになってきている。

2025年度の計画は、前年度計画の0.8%増となる2兆7954億円。計画段階では過去20年で最高額を記録。
業種別では、金額の多いものから食料品が4994億円、生産用機械が2632億円、金属製品が2624億円、化学が2246億円、輸送用機械が2159億円としている。
設備投資の内容では、機械・装置が前年度計画比0.7%増の1兆6030億円。機械・構築物が3.2%減の8579億円、車両や運搬具、1年以上の工具や備品が2.1%減の1993億円、土地が43.4%増の1442億円。土地の取得が大きく増加している。
設備投資額の目的別では、構成比の高い順に「更新、維持・補修」が37.8%(8.3%増)、「能力拡充」が25.1%(11.0減)、「新製品の生産・新規事業への進出、研究開発」が15.7%(4.9%減)、「省力化・合理化」が14.0%(1.4%増)となっている。
また、1年を通じて計画値に対して実績値が増加するのが定番となっており、2024年度の実績と比べて増減の可能性があるかどうかについては、DIは3.7ポイントで増加する可能性があると見ている企業の方が多くなっており、実績額でも最高額の更新が期待される。特に輸送用機器では7.7ポイント、食料品で6.3ポイント、化学で6.0ポイントと額の大きな業種でDI値が高く、その理由として、設備の更新や維持・補修以外に、輸送用機器と化学は新製品開発に向けて、食料品では人手不足に対する機械化を挙げている。

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