WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS、世界半導体市場統計)の2024年秋季半導体市場予測会議が米国サンディエゴで開催され、2025年の世界の半導体市場は前年比11.2%増で市場拡大するとの見通しを示した。AIの裾野の広がり、世界経済の緩やかな拡大が半導体需要を押し上げると予測している。
世界と日本の半導体市場動向
2023年の世界半導体市場は8.2%減の5268億8500万ドル(日本円で約74兆円)となった。世界的なインフレや利上げ、地政学的リスクの高まりなどが個人消費や企業の設備投資等に影響した。AI 関連・自動車用途を除き半導体需要は低調だった。
2024年は、19.0%増の6268億6900万ドル(約95兆円)で再拡大となる見込み。AI関連投資が好調で、メモリやGPUなどロジック製品の需要が拡大し、市場を牽引。AI以外では、前年好調だった自動車用途が低迷し、設備投資の冷え込みによる産業用途の不振など、多くの製品で前年比マイナス成長になると見ている。
2025年は、11.2%増の6971億8400万円(約104兆円)で市場の拡大を見込む。AI関連ではデータセンター投資が継続し、さらにエッジAIをはじめAI機能搭載端末の増加など、裾野の広がりが半導体需要拡大に寄与する見通し。世界経済の緩やかな拡大も半導体需要を押し上げ、メモリー製品や GPUなどのロジック製品以外の製品でも前年比プラス成長に回帰すると予測している。
日本の半導体市場動向は、2023年は3.8%増の約6兆5637億円。2024年は8.7%増の7兆1345億円で、プラス成長が加速する見通し。2025年は8.3%増の7兆7240億円と成長が継続すると予測している。
製品別市場動向
2024年と2025年の製品別の市場動向は、ディスクリートは2024年は315億ドル(11.2%減)、2025年は334億ドル(5.8%増)に拡大。オプトは421億ドル(2.5%減)から437億ドル(3.8%増)に。センサー&アクチュエーターは187億ドル(5.1%減)から200億ドル(7.0%増)とした。
IC全体は、2024年は5345億ドル(24.8%増)。このうちメモリは81%増、ロジックは16.9%増、マイクロは3.9%増、アナログは2.2%減。2025年は、IC全体は6001億ドル(12.3%増)。このうちメモリは13.4%増、ロジックは16.8%増、マイクロは5.6%増、アナログは4.7%増と予測している。
WSTSは、世界の半導体メーカーが自主的に加盟している半導体市場に関する世界的統計機関として1986年に設立。現在、WSTSには49社の半導体メーカーが加盟している。WSTS世界半導体市場統計は、加盟会社の半導体販売額・販売数量の実績値を製品別・地域別に同一分類基準で毎月集計したデータをもとに統計として発行し、世界の半導体市場を同一基準で分類、集計した統計となっている。
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20241203WSTS.pdf