令和の販売員心得 黒川想介 (112)強豪打破だけに固執をしない チャレンジする目標見つける

世間では「いい陽気になりました」「寒くなってきました」等と言って、あいさつを交す。同じ様なあいさつでもビジネス世界のあいさつは「忙しいですか」「景気はどうですか」となる。世間のあいさつと同様に軽いコミュニケーションではあるがビジネス世界ではさらりと相手の状況を知ろうとしているし、無意識に自分の状況はどの位置にいるのかを確かめている。国内の経済状況はマスメディアや肌感覚でわかっているが自分の属する業界や周囲の人達はどんな状況にあるのかを知りたいと常に思っているから、あいさつはその様になるのだろう。営業が次年度の売上目標を設定する時には景気動向が気になる。景気は国の経済状況に左右される。経済には国内総生産(GDP)と総需要と国民総所得は一定期間を経て等しくなるという経済三面等価の原則がある。売上と一途に思う営業は国内需要の動向が気になる。総需要はGDPと等しくなるから国内景気動向を見る時には先ずGDPの伸びを気にする。そのGDPを構成する中味は個人消費が約60%あり、次に設備投資が20%内外あり、残りは政府支出と純輸出である。機器部品の需要動向は特に設備投資に関係している。そこで営業は扱う商品によって製造業と非製造業の設備投資を分けてそれらの伸びを見る。最後に取引きある顧客から日頃の情報入手などを加味して次年度の売上目標を設定する。目標を持つことは大事なことである。それが支えられた目標でも活動する時の励みになるからだ。機器部品の販売員に「当期又は当月の売上目標は幾らか」と問えば、幾らだったかなどと言いながら思い出そうとしたり、パソコンや手帳を見る販売員は少なくない。個人情報を相手にする金融、不動産、耐久消費材の営業が目標に向う姿勢とは違う感じがする。機器部品を扱うFA営業でも草創期の頃には売上目標は厳しく管理されていたから売上目標は常に頭に置いて活動した。目標数字に対する管理はそれ程に厳しかった。しかし70年代後半に入るとFA業界は今では考えもつかない位の好景気が続いた。売上が毎年あまりにも伸び続けたために売上目標は常に達成するどころか毎年オーバーを続けた。そのために営業は売上目標を二ツ持つことになった。一ツ目の売上目標はライクリー目標と言って通常的にがんばって達成する目標であり、もう一ツはチャレンジ目標と言って10%以上のアップ目標設定であった。工場団地は増え、工場設備の増設があっちこっちで実施されたから前年比110%位は常態化していた。今のFA販売員が聞いたらうらやまし過ぎる状況であった。平成になってからのFA需要は拡大基調から安定基調へと変った。勢い各社の競合状況が激しくなると単純にシェアの拡大が販売戦略の要になった。したがって売上拡大の目標は他社商品の切り換えで達成する施策が横行した。本来戦略を立てる時の原則の中に代替案の原則というのがある。それは戦略を立てる時にもしもその戦略で目標が達成しない場合はその目標と同じくらい効果のある目標に変えて実行する代替案の戦略を作って置くことである。したがってこの場合、シェア拡大戦略で、競合商品品切り換えの施策を幾つか実行しても、売上目標に到達しそうもないと判断したら別の戦略に変えてそれを進めて行くことである。実際に当期の売上拡大目標と同じ位の効果とは次期以降確実に成長軌道に乗せることである。したがっていつまでも競合打破に固執せずに当時売上拡大目標はライクリー目標としてそのまま進め、成長軌道に乗せるチャレンジ項目をみつけチャレンジ目標を設定し平行して進めればいい。

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