製造業のデジタル化の加速に必要な専門人材とは?生産プロセスと設備理解は必須 現場リーダーのデジタル人材化がカギ

日本の製造業におけるDXやデジタル化、スマートファクトリー化について遅い/早いなど様々な意見があるが、実際のところはどうなのだろうか。取り組み具合、成果の有無、ボトルネック要因、誰が何をすれば加速するのか。いくつかの調査をもとに考える。

スマートファクトリーに取り組む企業は4割

村田製作所が2023年1月に国内の製造業従事者1万1084人と、そのうち自社のスマートファクトリー化に携わる500人に行なった調査によると、スマートファクトリー化の取り組みを実施、または実施検討している企業は38.1%。

IIJ(インターネットイニシアチブ)が2023年8月に国内の製造業従事者3344名とそのうち自社工場のスマートファクトリー化に携わる500人に行なった調査では、IoT導入によるスマートファクトリー化への取り組みは全体の約40%が取り組みを実施、または実施検討している。
いずれの調査でも4割程度の企業が取り組みを開始またはやろうとしているが、6割は始めていない、考えていない状態だ。

8割以上が成果を実感 トップの理解と専門部隊の設置が成功に必須 取り組んだ成果はどうなのか。
村田製作所の調査では、スマートファクトリー化の取り組みに関わっている人のうち86.0%が成果を感じていると回答。IIJの調査でも、「成果をとても感じている」が38.4%、「やや感じている」が50.4%となり、取り組んだ企業の8〜9割が成果を実感している。
比較的成功していると言っていい取り組みだが、成功の要因はどこにあるかを調べると、村田製作所の調査では、「トップの理解」が67.7%で最も多く、「専門部隊の設置」が53.0%と続く。IIJの調査でも「トップの理解」が63.8%と最も高く。「専門部隊の設置」が52.3%、「専門人材の獲得/育成」が51.3%と続き、社長をはじめ経営陣の覚悟と、専門に取り組む人を集め、組織化することは必須だ。

障害は専門人材の不足と予算 スマートファクトリー化の取り組みの障害となっている要因は何か。
村田製作所の調査では、「専門的な技術者や人材がいない」が55.7%、「費用対効果が示せない」が45.7%と多かった。IIJの調査では「費用対効果が示せない」が48.0%、「費用が高い」が40.0%と費用に関する項目が多く、「IT/OTなど製造以外の知識不足」が32.0%と続く。
また、成果が上がらない企業がつまづいているポイントについては、村田製作所の調査では、成果を感じていない70人は、主に「データ分析・予測」「データ収集・蓄積」でつまずいており、IIJの調査でも「データ収集・蓄積」のステップで52.0%、「データ分析・予測」でも36.0%がつまづいていて、データの取り扱いにハードルがある。

カギを握るのは生産を熟知する管理職・リーダー

成功要因は専門部隊の設置、障害となっているのは専門人材や知識、技術のなさ。成否を分けるのは、現場に専門技術を備えた人間を配置できるかどうかにかかっている。では、そこにはどんな人材をあてるのが良いのか?
労働政策研修機構が、プラスチックや金属製品、機械、電気、情報通信、輸送機械等の製造業で、従業員数30人以上の企業2万社に行った「ものづくり産業のデジタル技術活用と人材確保・育成に関する調査結果」によると、デジタル技術を活用し、導入にあたって先導的な役割を果たすことができる人材に必要なことでは、「自社が保有する設備・装置や、担当する工程(開発・設計、製造、品質管理等)での仕事を熟知している」が60.2%で最も高く、次いで「自社が保有する技術や製品について熟知している」(51.7%)なり、「デジタル技術を自社の事業で活用・応用できる能力(生産性向上、技術革新など)」(47.2%)、「会社の経営方針やものづくり方針を理解している」(45.1%)、「会社が置かれた経営環境や事業環境を理解している」(43.4%)、「コミュニケーション能力がある」(42.6%)、「新しいことを発想したり積極的に情報収集・学習する姿勢をもつ」(41.5%)などとなっている。
また、導入のノウハウに精通すべき社員層については、「デジタル技術を利用・活用した部門のリーダー社員」をあげる企業が5割以上にのぼり、次いで「工場長やデジタル技術を利用・活用した部門のトップ」(49.8%)、「社内で特にデジタル技術に精通した社員」(43.4%)、「経営トップ」(31.8%)、「現場のものづくり人材」(24.7%)と続く。自社の製品と生産プロセス、保有している設備を理解している社内のリーダーや管理職に、デジタル技術を習得してもらって推進するというのが現実解だ。

現場リーダーを社内外で支える体制づくりを

デジタル化・スマートファクトリー化をやるやらないを考える時代はとうに過ぎ、どこもやらなければ生き残れない時代になっている。さらに、段階は経営者の判断から、誰がどうやるかの段階に来ている。そこで一番重要となるのは、デジタルやデータ活用の技術の知識や技術の有無ではなく、自社が作っているもの、その生産プロセス、そこに使われている設備への理解。いまも稼働している現場を、動かしながら、どう進化させていくかを、現実論で考えられるかどうかだ。そのためには導入・推進主体は、製造や生産技術、保全といった現場を熟知している部門の管理職やリーダーが適任で、彼らにデジタル技術や知見を学んでもらう。それをメーカーや商社、SIer等など外部が支えていくのが望ましい形だ。

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