【寄稿】AutoStore 「ジャスト・イン・ケース物流」の5つの戦略 著者 Clement Yew AutoStore 東南アジアビジネスデベロップメント担当ディレクター

トヨタは、より無駄のない効率的な在庫管理の方法として「ジャスト・イン・タイム」製造を普及させました。しかし、ここ数年、多くの産業がこの考えを捨て、「ジャスト・イン・ケース」モデルに移行しています。ここでは、その転換を図るための5つの戦略をご紹介します。

Covid-19のピーク時には、建物の閉鎖、一般人の立ち入り制限、労働力不足、そしてスエズ運河の閉鎖のような事件が、商品の製造と配送に前例のない困難をもたらしました。手元に十分な原材料が確保できないことから、多くの企業が納品義務を果たせなくなり、収益と顧客ロイヤリティの低下を余儀なくされました。この教訓を踏まえ、サプライチェーンマネージャーは、広く採用されている「ジャスト・イン・タイム」方式から「ジャスト・イン・ケース」方式への移行を実行しています。

このパラダイムシフトは、従来のやり方である、従業員が、限られたスペースでオペレーションを実行する企業にとって、大きな挑戦です。ジャスト・イン・ケース型を採用するには、何が必要なのでしょうか?まず、ジャスト・イン・タイムとジャスト・イン・ケースの違いを理解する必要があります。

ジャスト・イン・タイム戦略とは?

ジャスト・イン・タイム戦略では、生産スケジュールに合わせてサプライヤーに原材料が発注されます。必要なときにだけ品物を受け取ることで、効率を上げ、無駄を省きます。これにより、在庫コストの削減を可能にします。その例としてよく知られているのが、トヨタ生産方式、Motorolaのショートサイクル生産方式、IBMの連続フロー生産方式です。多くの場合、仕掛品の過剰生産を避けるためにカンバンスケジューリングシステムが併用されます。ジャスト・イン・タイム方式は、精度の高い需要予測、高品質な仕上がり、機械の故障がないこと、信頼できるサプライヤーによって実現可能となります。

ジャスト・イン・ケース戦略とは?

ジャスト・イン・ケースは、ジャスト・イン・タイムの対局に位置しています。ジャスト・イン・タイムが無駄のない在庫・配送に重点を置いているのに対し、ジャスト・イン・ケースは必要以上の材料を備蓄したり、販売見込以上の製品を生産したりすることに重点を置いています。

ジャスト・イン・ケース管理の導入方法

ジャスト・イン・タイムの在庫レベルを維持するということは、特にパンデミックのような危機の際には、企業の在庫バッファがほとんど底をついてしまうことを意味します。一方、ジャスト・イン・ケースでは、より健全な在庫水準で運用することができるため、耐久力の確保が可能となります。

ジャスト・イン・ケース物流を採用する際に課題となるのは、商業用不動産が割高な地域において十分な保管スペースを確保することです。ここでは、ジャスト・イン・ケース物流を機能させるための5つの戦略をご紹介します。

5つのジャスト・イン・ケース戦略

1. 保管スペースを最大化

在庫が増えると、どうしてもさらに広い保管スペースが必要になります。最も簡単な解決策は、現在の倉庫の面積を増やすか、別の倉庫を取得することです。しかし、これらの最も簡単な解決策は、財務的理由から、常に実行可能であるとは限りません。そこで最良の選択肢となるのが、現在の倉庫スペースを見直し、収納を最大化する方法を再検討することです。AutoStore™は、最高密度の回収およびキューブストレージソリューションの一つで、保管スペースを、一般的な手動ラック倉庫の設置面積に対し最大4倍まで拡張することが可能になります。

2. 労働リスクを最小化

COVID-19のパンデミックピーク時には、職場でのウイルス蔓延を防ぐために行動制限が設けられました。倉庫内の商品をピッキングする作業員は、他との接触が禁止または最小限化され、人と人との間に安全な距離が保たれるように配所されました。AutoStoreはGTP(Goods to Person:棚搬送型)システムであるため、作業員は、作業を行うポートで在庫が格納されたビンが搬送されてくるのを待ち、ビンから商品を取り出すだけです。ポートを等間隔に配置することで、作業員同士が安全な距離を確保できます。

3. ダウンタイムを削減

多くの場合、倉庫システムのダウンタイムは、下流工程、特に生産に影響を与えるため、常に懸念事項となります。AutoStoreシステムでは、独自の構造により、すべてのロボットがシステム内のどのビンにも到達できるため、単一障害点が存在しません。49カ国以上で1,150以上のシステムの導入実績を持つAutoStoreは、倉庫および物流業界で比類のない99.7%の稼働率を誇る実証済みのテクノロジーです。

4. エネルギー消費を低減

エネルギーコストは一般的に、倉庫の運営予算の15%を占めていると言われています。倉庫に自動化を導入すると、光熱費がかさむ可能性があります。そのため、企業はコスト削減と持続可能性のために、倉庫のエネルギー効率を高めることを強く望んでいます。AutoStoreのロボットは、稼働中の消費エネルギーがわずか100ワットです。10台のロボットの消費エネルギーは、掃除機1台分と同等です。営業時間外に照明や空調の使用を制限してシステムを稼働させることも可能です。エネルギー消費量が少ないため、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用してシステムを稼働させることもできます。

5. 将来的なリスクに対応するオペレーションの確立

拡張性と柔軟性のある倉庫自動化の実現は、現在進行中のIndustry 4.0の重要なトレンドです。競争力を維持するために、現代の企業は、現在のオペレーションを改善し、需要の変化に応じて容易に拡張または縮小できるテクノロジーに投資する必要があります。AutoStoreでは、自動化のレベルを常に調整できます。例えば、保管スペースを追加で必要となった場合、ビンを追加できます。スループットを向上させるために、ロボットを追加することも可能です。その可能性は無限大です。AutoStoreは、あらゆる主要産業の現在と未来のビジネス課題に対応できるように設計されたモジュール式ソリューションなのです。

まとめ

近年のグローバルトレンドに対応するため、多くの企業では、ジャスト・イン・タイムモデルからジャスト・イン・ケースモデルへの移行を余儀なくされています。ジャスト・イン・ケース型のサプライチェーンモデルへ移行するにあたり、企業は保管スペースの最大化、労働リスクの最小化、ダウンタイムの削減、エネルギー消費の低減、そしてオペレーションの将来への対応を実現するための戦略を実施する必要があります。AutoStoreシステムは、企業がこれらの課題を解決し、競争力の維持に貢献する柔軟な倉庫自動化の一例です。拡張性のあるテクノロジーに投資することで、企業は将来起こりうる混乱に備えて、回復力と持続可能性を確保しておくことができます。

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