儲かるメーカー改善の急所101項【急所84】日本が目指すモノづくり 製品作りから魅力づくりに転換せよ。

日本の製品が世界を席巻していた時には、「Made in Japan」はとにかく性能が良く壊れないことを示す品質表示であったといえます。
40年も前の話になりますが、私は家族でアメリカに2年間住むことになり、基本的な家財道具を現地でそろえる必要がありました。まず近所の巨大なスーパーマーケットでアメリカブランドのテレビを買ったのですが、一目見て映りがくっきりはっきりしていないなぁ…という印象を持つようなものであり、その上ひと月しないうちに壊れてしまいました。
仕方なく中古の日本製のテレビに買い替えたところ映りは良いし壊れないし、という大きな違いがありました。それ以外にも現地で買う子供服は洗濯機で洗うとすぐにほつれが出てくるけれど、日本から持ってきた子供服は全く問題起きないなど、「やはり日本のモノはいいなあ…」と実感したものでした。そして驚いたことに、現地のアメリカ人の友人なども同様に「日本製のモノは品質が良い」と口をそろえて言っていたのを覚えています。
すなわちその時は壊れないに代表される「機能品質」で評価されて売れていたことが分かります。ところが機能品質というレベルなら世界中のどこでも達成できるようになり、今ではそれが当たり前になっています。供給過剰で価格下落が止まらないデジタル製品はその最たる例でしょう。製品の機能性で戦っているうちは、世界を相手にした価格競争を強いられることになるのです。
中小メーカーがめざすべきことは、スペックや機能といったものを越えて、魅力があるから買うと言われる次のステージのモノづくりに転換していくことでしょう。小さくてもブランドを育てれば魅力で売れるようになるからです。
自分たちが造っている製品をお客様がどう評価してくれているかに着目して魅力品質の向上を行いましょう。

■著者プロフィール

【略歴】柿内幸夫 1951年東京生まれ。(株)柿内幸夫技術士事務所 所長としてモノづくりの改善を通じて、世界中で実践している。日本経団連の研修講師も務める。経済産業省先進技術マイスター(平成29年度)、柿内幸夫技術士事務所所長 改善コンサルタント、工学博士 技術士(経営工学)、多摩大学ビジネススクール客員教授、慶應義塾大学大学院ビジネススクール(KBS)特別招聘教授(2011~2016)、静岡大学客員教授。著書「カイゼン4.0-スタンフォード発 企業にイノベーションを起こす」、「儲かるメーカー 改善の急所〈101項〉」、「ちょこっと改善が企業を変える:大きな変革を実現する42のヒント」など。

一般社団法人日本カイゼンプロジェクト

改善の実行を通じて日本をさらに良くすることを目指し、2019年6月に設立。企業間ビジネスのマッチングから問題・課題へのソリューションの提供、新たな技術や素材への情報提供、それらの基礎となる企業間のワイワイガヤガヤなど勉強会、セミナー・ワークショップ、工場見学会、公開カイゼン指導会などを行っている。
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