産業用ネットワーク市場シェア動向2022 HMS調べ DXで市場拡大続く イーサネット拡大加速フィールドバスも成長

製造業DXやスマートファクトリー、つながる工場を進める上で、生産設備やセンサ、ロボットといったフィールド機器同士を結ぶ産業用ネットワーク選びは重要だ。産業用通信・ネットワーク機器大手のHMSインダストリアルネットワークスは毎年、FA分野で新規設置されたノードが、どの産業用ネットワークでつながれているかを調査し「産業用ネットワーク市場シェア動向」としてまとめている。このほど「産業用ネットワーク市場動向2022年最新版」を公開し、産業用Ethernet、フィールドバス、ワイヤレスのいずれも大きく成長し、22年は産業用ネットワーク市場全体で8%成長となり、さらなる市場拡大の見通しを示した。

21年にFA分野で設置された新規ノードにおける産業用ネットワークの市場シェアは、産業用Ethernetが65%から66%と1ポイント増加させ、フィールドバスは28%から27%と1ポイント減少した。ワイヤレスは7%と横ばいだった。

シェアとしては産業用Ethernetが拡大し、フィールドバスは減少しているが、これは産業用Ethernetの成長率がフィールドバスのそれを大きく上回っているためで、ノード数全体としては拡大傾向にある。22年も産業用ネットワーク市場が拡大するのは間違いない見通しで、同社は8%の成長を予測している。

ネットワーク別では、EtherNet/IPとPROFINETがともに17%で拮抗し、EtherCATが11%で続く。PROFIBUSが7%、Modbus-TCPが6%で続いている。

EtherCAT急伸

産業用Ethernetは10%の高成長率によって年々市場シェアを高め、21年は66%に達した。EtherNet/IPとPROFINETがともに17%で並び、EtherCATが11%で追っている状況は変わらず。しかしEtherCATは8%から11%と3ポイントも上昇させており、初の2桁シェアに乗せて肉薄してきているのは確かだ。

フィールドバス22年は4%成長

フィールドバスは、シェア28%から27%と1ポイント減らし、ここ数年は新規設置されるノード数も減少傾向にあったが、それもいったん落ち着き、22年には4%増加となる見通し。同社はその理由として、コロナ禍やサプライチェーン問題に直面する難しい局面のなかで、新しい技術よりも、実績があり、成熟して確かなソリューションを望む傾向があると指摘している。
 フィールドバス内シェアでは、PROFIBUSが7%と最も多く設置され、Modbus RTUが5%、CC-Linkが4%で続いている。

Modbusに注目

今回の注目技術はModbus。最新の工場内でフィールドバスのModbus-RTUと産業用EthernetのModbus-TCPを使い分け、連携させる利用方法で拡大し、合計で11%のシェアを獲得している。Modbus-TCPは、既設の設備で普及しているModbus-RTUとの接続性を生かし、ゲートウェイを外付けして既設設備をIoT化、デジタル化する形で使われることが多く、シェア6%と健闘している。

またTSNやSPE(シングルペアイーサネット)、OPC UA FLCなど産業用ネットワークの新しいトレンド・話題もあるが、これらは現行の設備や規格等との兼ね合いもあり、まだこれからという段階と位置付けている。

ワイヤレス伸び5G利用に期待

ワイヤレスは8%の成長率で伸びており、シェアは7%。配線の置き換え用途や、ワイヤレスでのAGV制御、モバイル型の産業機器への接続などで増加。さらに次世代FA設備での5G活用という好材料もあり、今後の成長に期待が大きい。

アジアは規格林立

地域別では、ヨーロッパや中東ではEtherNet/IPとPROFINETがリードし、PROFIBUSとEtherCATが続く。またModbus(RTU/TCP)とEthernet POWERLINKも広く利用されている。アメリカではEtherNet/IPが優勢だが、EtherCATが力強く成長して市場シェアを獲得している。

アジア市場は国によって細分化されているが、全体ではPROFINETがリードし、EtherNet/IPが続く。さらにCC-Link/CC-Link IE Field、EtherCAT、PROFIBUS、Modbus(RTU/TCP)が追っている。

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