【2021年度機械工業生産額見通し】70兆5371億円 前年度比8.9%増 復活鮮明も22年下期が正念場

日本の機械産業は、コロナ禍で大ブレーキがかかった2020年上期に底を迎え、2020年下期、2021年上期と勢いが加速し、コロナ前の状態まで一応の回復を果たした。

日本機械工業連合会によると、2021年度の機械工業生産額は、前年度比8.9%増の70兆5371億円になる見通し。好況だった2018年度をピークに、その反動で沈んだ2019年度、コロナ禍で急激に落ちた2020年度と下り坂が続いていたが、そこから回復すると予測している。

しかしながら2021年下期は、半導体や樹脂等の部材不足による納期遅延、原材料と原油価格の高騰、輸送費の増大、さらにはオミクロン株による新型コロナウイルスの世界的な再拡大等の問題が表面化してきており、数字上は好調だが、不安要素に囲まれ、足元は盤石ではない。先行受注が好調で2021年度、2022年度上期は安泰という企業は多いが、それ以降は不透明、不安しかない、勢いは継続すると意見が分かれている。そんな中で2022年下期をどう乗り越えるかが、今後のカギになりそうだ。

一般機械 15兆8169億円(10.9%増) 半導体製造装置、ロボットが牽引

一般機械の生産額は、前年度比10.9%増の15兆8169億円となる見通し。ここ10年間で最も多かった2018年に続く2番目の数字となった。

主な品目別の状況は、半導体・FPD製造装置は、19.1%増の3兆3900億円となる見通し。需要の急拡大で半導体の世界的な不足が大問題となっており、台湾、韓国、北米、日本をはじめ世界中で新工場や生産能力の増強が行われている。引き続きロジック、メモリ、ファウンドリ向けのいずれも好調となっている。

ロボットは、自動車向けが不透明なものの、中国向けや半導体関連向けが好調。欧米や国内の需要も回復すると見込み、12.9%増の8650億円。

金属工作機械は、上期が中国向けを中心として回復し、下期は旺盛な需要は続くものの、半導体等の各種部品の需給逼迫により弱含む可能性もあると見込み、年度では18.0%増の8586億6700万円。

そのほか、冷凍機・同応用装置は、エアコンディショナ等の比較的高水準の生産が続いていた品目の減少や、半導体不足による生産鈍化を見込み、全体で4.5%減の1兆9545億4900万円。

土木建設機械は、主力機種の油圧ショベルを中心に、国内は公共投資の下支えがあり、輸出は主要な需要先である北米、欧州、アジア向けのいずれも増加を見込み、14.2%増の1兆6306億1200万円。

ボイラー・原動機は、ボイラー・タービンが国内は大型のバイオマス発電向けが一巡するものの、国内、輸出共に維持・更新での需要増を見込み、はん用内燃機関はガソリン機関が減少、ディーゼル機関、ガス機関は増加を見込み、ボイラー・原動機全体で7.7%増の1兆2707億8900万円。

油空圧機器は、油圧機器が土木建設機械向けは落ち込むものの、輸出が回復、空気圧機器は半導体製造装置分野でのメモリ関連向けの需要が継続すると見込み、全体で7.7%増の8306億9000万円。

運搬機械は、輸出が自動車、電子部品・デバイス向けに加え、搬送設備の需要やクレーンの更新需要も好調で、15.0%増の7654億7300万円。

食料品加工機械は、乳製品加工、飲料加工、肉類加工業界向け等が微増、製パン・製菓、水産加工業界向け等で減少を見込み、全体で1.5%減の5770億9800万円。

農業用機械器具は、国内が消費税増税前の駆け込み需要の反動減からの回復と経営継続補助金の影響により増加、輸出は北米向けが好調、欧州向けは回復による増加を見込み、全体で25.0%増の5179億4600万円。

ポンプ・送風機・圧縮機は、国内が官公庁向け、輸出は電子機械産業向けが需要を下支えし、5.0%増の4618億5300万円。

動力伝導装置は、変速機は受注が持ち直し増加、歯車は大幅増、スチールチェーンは伝動用、搬送用、自動車用等いずれも大幅な増加を見込み、全体で20.7%増の4606億9700万円。

包装機械・荷造機械は、国内が引き続き厳しいものの、輸出は米国、アジア向けで回復を見込み、0.2%増の4240億円。

合成樹脂加工機械は、国内、輸出共に電子部品・デバイス、自動車関連向けで堅調を見込み、10.0%増の2116億8000万円。

繊維機械は、化学繊維機械が減少するものの、紡績機械、準備機械、織機、編組機械等は回復による増加を見込み、全体で45.2%増の2043億円。

化学機械は、国内が食品、医薬品関連向けは堅調なものの、輸出は石油・ガス関連向けの減少を見込み、5.0%減の1592億円。

印刷・製本・紙工機械は、国内が厳しいものの、輸出は主要な北米、中国向けを中心として回復することから、印刷、製版、製本、紙工機械のいずれも伸びを見込み、8.2%増の1527億7100万円。

第二次金属加工機械は、せん断機等が前年度の反動減により減少を見込むものの、機械プレス、液圧プレス等は回復により増加し、全体で18.4%増の1460億円となった。

民生用電子機器・コンピュータ・情報通信機械 2兆6308億円(0.7%減) リモートワーク需要も微減

情報通信機械の生産額は、前年度比0.7%減の2兆6308億円となる見通し。

民生用電子機器は、薄型テレビが減少するが、デジカメ、カーナビが増加となり、全体では12.3%増の4367億円。

通信機器は、リモートワークによる需要で有線通信機器のうち電話応用装置が増加。有線ネットワーク関連機器の交換機、搬送装置は5Gに対応した基地局構築への投資シフトにより減少し、有線通信機器部品は多機能携帯電話向けの輸出が増加の見込み。

ネットワーク接続機器は設備投資や更新需要の回復を見込む。無線通信機器は多機能携帯電話、基地局の増加が見込まれるものの、無線応用装置は減少が見込まれ、通信機器全体では1.4%減1兆2481億円。

電子計算機と関連装置は、モニタが微増、記憶装置、プリンタは増加。パソコンはリモートワークでノートPCの需要があるものの、法人需要が一段落して減少を見込み、全体で4.8%減少の9458億円と予測している。

電子部品・デバイス 7兆1646億円(12.6%増) DX、EVや5G等好材料多く期待 

電子部品・デバイスの生産額は、前年度比12.6%増の7兆1646億円となる見通し。

世界的なデータ通信量の急増によるデータセンターの拡張や増強へのニーズの高まり、ネットワーク環境の高度化、5Gやローカル5G対応の進展による新たな需要、自動車の電装化やEV化など好材料が多く、小型・薄型・省エネルギーに貢献する高信頼性電子部品や半導体に対するニーズが高まり、電子部品は14.4%増加の3兆1993億円、電子デバイスは11.2%増加の3兆9652億円と予測している。 

計測機器・光学機器・精密機械 1兆3174億円(6.9%増) 半導体関連向け測定器、顕微鏡好調

精密機械の生産額は、前年度比6.9%増の1兆3174億円となる見通し。

計測機器全体は3.2%増の9961億円。内訳は、計量機器が国内、輸出共に回復を見込み9.6%増の3314億円。光学・精密測定機は、半導体向けを中心に受注が順調に回復しており22.7%増の660億円。分析機器は医用検査機器の輸出が減少すると見込み2.3%減の5500億円。測量機器はインフラ整備の関連工事向けの需要が堅調で16.1%増の787億円。

光学機械全体は18.7%増の2572億円。内訳は、写真機が19.7%増の1007億円。望遠鏡・顕微鏡は生物顕微鏡、半導体関連市場向けが堅調な工業用顕微鏡のいずれも回復が見込まれ8.7%増の535億円。

自動車・鉄道・航空・輸送機械 30兆5512億円(8.9%増) 自動車、前年比増も回復途上

輸送機械の生産額は、前年度比8.9%増の30兆5512億円となる見通し。

自動車は、東南アジアでのロックダウンによる部品供給の遅れや半導体不足による減産・生産調整があるものの、受注は堅調。上期は厳しく、下期の回復を見込み、自動車全体では7.0%増の18兆4218億円の予測。コロナ禍前の2019年度に届かず、回復途上にある。

自動車部品は、自動車生産台数の回復により部品も増加を見込み、17.1%増の8兆5000億円。

産業車両は、国内が旺盛なeコマース需要等による物流施設の新設や効率化による需要増、輸出も回復を見込み全体では14.5%増の3410億円。鋼船は、受注が回復しているものの操業の回復は先を見込み、2.1%減の1兆4000億円。

航空機は、長距離路線を中心に航空輸送需要減が続き、官需が多くを占める機体、発動機は増加するものの、民需が多くを占める発動機部品は厳しかった前年度から微増、機体部品および装備品のうちの民需が大幅に減少し、全体では5.9%減少の1兆614億円。

鋳鍛造品・ダイカスト・銑鉄鋳物 2兆5589億円(12.8%増) 自動車、産業機械向け回復期待

鋳鍛造品の生産額は、前年度比12.8%増の2兆5589億円となる見通し。

粉末冶金製品は、6.5%増の2290億円。鍛工品は、自動車、産業機械、土木建設機械向け等のいずれも増加を見込み、15.7%増の6357億円。銑鉄鋳物は、電気機械、輸送機械向け等のいずれも増加を見込み、9.2%増の6669億円。可鍛鋳鉄・精密鋳造品は、14.0%増の666億円。非鉄金属鋳物は、19.9%増の3652億円。ダイカストは、12.5%増の5953億円の見通し。 

ばね、機械工具、バルブ・継手・金属製品 2兆8697億円(6.4%増)自動車、半導体、工作機械向け増加

金属製品の生産額は、前年度比6.4%増の2兆8697億円となる見通し。ばねは、前年度後半からの回復が続くと見込み、15.9%増の3330億円。

機械工具は、全体で26.8%増の5611億円。内訳は、特殊鋼・超硬工具が主要な需要先の自動車、工作機械向けが堅調で、輸出も回復を見込み27.1%増の4694億円。ダイヤモンド/CBN工具はグラインディングホイール、CBN工具等全ての品目で回復を見込み25.2%増の916億円。

バルブ・コック・鉄管継手は、電力、建築設備向けが減少、半導体関連向け、非接触操作型水栓は増加を見込み、全体で5.8%増の5912億円。

鋸刃・機械刃物は、機械刃物、丸のこ、帯のこのいずれも回復を見込み、14.6%増加の1012億円。

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